内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【012】|雷保護装置

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

住宅用分電盤への雷保護装置の設置|内線規程に基づく対策ポイント

近年、雷による電気機器の故障や火災といった被害が増加傾向にあります。特にパソコンやネットワーク機器など、精密な電気機器を多く使う現代の住宅では、雷対策は欠かせません。この記事では、内線規程に基づいた「住宅用分電盤への雷保護装置設置」の基本とポイントを解説します。


雷保護装置の必要性とその効果

落雷が発生すると、**高電圧の「雷サージ」**が電線を伝って住宅内に侵入し、接続された電気機器にダメージを与えることがあります。これを防ぐのが雷保護装置(SPD:避雷器)です。

  • 雷保護装置の役割
     雷サージを抑制し、機器への損傷を防ぎます。すべての雷を完全に防げるわけではありませんが、被害を大幅に軽減できます。

  • 設置の効果は条件による
     効果は、雷のエネルギーや侵入経路、装置の性能によって異なります。

  • 雷の多い地域では注意
     特に日本海沿岸のように雷の多い地域では、高性能な製品を選ぶことが推奨されます。


設置場所と適合すべき規格

雷保護装置は、分電盤内の引込口装置の負荷側に設置します。これは、外部から侵入する雷サージを最も早く受け止めるための位置です。

  • 使用する遮断器
     過電流保護機能付きの漏電遮断器を引込口装置として使用します。

  • 製品の選定基準
     **日本配線システム工業会規格 JWDS0007-付3(2013)**に適合した製品を選ぶことが求められます。

  • 雷のエネルギーが大きい地域では
     公称放電電流や最大放電電流の定格が高い製品を選びましょう。


雷保護装置の接地工事

雷保護装置の効果を十分に発揮するには、接地工事が極めて重要です。

  • 接地方式
     D種接地工事に準じた接地が必要です。

  • 接地線の条件
     - 使用材料:IV電線または同等以上の絶縁性能を持つ銅線
     - 配線方法:できるだけ短く、合成樹脂管などで保護します。


分電盤内の「集中接地端子」の活用

雷サージの抑制効果と接地工事の効率化のために、分電盤内に集中接地端子を設けるのが効果的です。

  • 接続方法
     - 分岐回路の接地線は集中接地端子に集めて接続します。
     - 雷保護装置と接地端子をつなぐ接地線は、50cm以下とします。

  • 接地線の共用
     接地工事を行った機器と雷保護装置の接地線は、集中接地端子で共用することができます。

  • 配線上の注意点
     多心ケーブルの1心を接地線として使うか、IV電線などを沿わせて配線し、接地線と電源線を近接させるのが望ましいです。


雷保護装置の選定ポイント

選定時は以下の項目に注目してください。

  • 規格適合:JWDS0007-付3(2013)に適合

  • 性能:公称放電電流・最大放電電流の定格を確認

  • 設置性:分電盤のサイズやスペースに適合すること

  • 信頼性:メーカーの信頼性や保証内容の確認も重要


まとめ|雷対策で安心・安全な住宅へ

雷保護装置の設置は、住宅内の電気機器や家族の安全を守るうえで、非常に重要な対策です。適切な製品の選定と確実な設置・接地工事を行うことで、被害を最小限に抑えることができます。

✔ ポイントまとめ

  • 雷保護装置は引込口装置の負荷側に設置

  • **JWDS0007-付3(2013)**に適合した製品を選ぶ

  • D種接地工事に準じた接地が必要

  • 集中接地端子を設けることで、効果と効率がアップ

  • 雷が多い地域では高放電容量の製品を選ぶ

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