出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
電磁障害の防止対策|家庭や現場でできる基本とポイント
電気機器を安全に使うためには、目に見えないトラブルにも気を配る必要があります。そのひとつが「電磁障害(でんじしょうがい)」です。この記事では、電磁障害を防止するための基本的な対策を、機器の種類や配線方法に合わせてわかりやすくご紹介します。
電磁障害ってなに?
電磁障害とは、電気機器が発する高周波の電流が、近くにある無線設備や通信機器に悪影響を与える現象のこと。とくに、蛍光灯や電動工具などの機器が原因になることがあります。
対策①|機械器具ごとの基本的な対応
● 蛍光放電灯(けいこうほうでんとう)
蛍光灯のノイズを抑えるために、専用のコンデンサを設置します。これにより、高周波電流の発生を抑えることができます。
● 小型交流直巻電動機(電気ドリルなど)
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電気ドリル用とそれ以外の機器で対策が異なります。
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それぞれに合ったコンデンサの設置が必要です。
● ネオン点滅器
こちらも高周波が発生しやすいため、専用の防止装置を設置して対策します。
※設置方法には細かなルールがあり、機器の種類や場所によって変わります。
対策②|高周波電流発生防止装置の設置
もし、上記の対策をしてもまだ電磁障害が発生する場合は、**「高周波電流発生防止装置」**を取り付けましょう。
⚠️注意点:
この装置の接地側端子を、接地していない金属部分に接続するのはNGです!
対策③|接地工事も忘れずに
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コンデンサや防止装置の接地側端子には、D種接地工事が必要です。
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安全のために、適切な太さの銅電線を使って、しっかりと接地工事を行いましょう。
対策④|コンデンサの性能確認も大事
設置するコンデンサは、決められた交流電圧に1分間耐えられる性能が必要です。
耐電圧性能の確認は、安全な電気環境をつくるための基本です。
対策⑤|防止器の設置方法と配線のポイント
防止器(電波障害防止器)の設置にもいくつかルールがあります。
● 機器に直接設置する場合
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高温になる場所は避ける
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露出した充電部から離す
● 配線中に設置する場合
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引込開閉器の負荷側で、負荷に近く、点検しやすい場所に設置します。
● 可搬形(持ち運びできる)機器に設置する場合
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コードの途中に設置する際は、コードが傷まない構造のものを使いましょう。
● 配線について
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配線は、一般的な電気配線のルールに従うこと
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適切な太さの電線を使用することがポイントです
接地についてもう一度確認!
防止器の接地線には、決められた太さの銅電線を使って、しっかりと接地工事を行う必要があります。
ここでも「D種接地工事」が基本になります。
まとめ|電磁障害を防いで、快適で安全な電気環境に!
電磁障害は目に見えませんが、無線通信や機器の誤作動の原因になります。
コンデンサの設置、防止装置の選定、配線や接地など、基本を守って丁寧に対策することで、電磁障害をしっかり防ぐことができます。
無線や電波を使う機器が多い現代だからこそ、こうした対策がますます重要になっています。ぜひ、この記事を参考に、安全で快適な電気環境づくりを進めてみてください。