技術図書館高周波は配線から漏れて近くの機器に届く通信機器の高周波が配線から漏れると無線や医療の機器に響く。だから測り方と判定の基準があるこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は、連載「弱電設備の設計マニュアル」の 第2回 配管・配線ルート の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
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出典:電気設備技術基準の解釈 第30条・解釈の解説、電気設備に関する技術基準を定める省令 第17条・省令の解説

電路を高周波電流の伝送路として使う設備(インターホンなど)から、他の高周波利用設備へ漏えいする高周波電流には、基準があります。押さえるポイントは 「なぜ問題になるか/許容基準と測り方/漏えいの防ぎ方」 の3つです。

他の高周波利用設備への妨害を防ぐ 継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設します。
基準は、−30dB以下 1mWの1,000分の1です。2回以上連続して、10分間以上測ります。
判定は、各回の最大値の平均 各回でいちばん大きい測定値を拾い、その平均で見ます。
防ぎ方は、2つの方式 ブロック装置使用方式と、周波数帯域設定方式です。併用も考えられています。
ペン太ペン太
高周波が漏れると、具体的にどんな困りごとに?
ハリタハリタ
インターホンなど、電路を高周波の通り道にする設備の高周波が、他の高周波利用設備の働きを邪魔するおそれがあるんだ。だから、漏えいの大きさに基準があるんだよ。

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ペン太ペン太
インターホンの高周波が配線から漏れると、何がまずいんですか?
ハリタハリタ
他の高周波利用設備の働きを邪魔するおそれがあります。だから、漏えいに基準があるんです。

この記事で押さえる3つのこと

  • 漏えいで守る相手は、他の高周波利用設備。電路を高周波電流の伝送路として使う設備が対象。
  • 漏えいする高周波電流は、2回以上連続して10分間以上測り、各回の測定値の最大値の平均値が−30dB(1mWを0dBとする)以下。
  • 防ぎ方は、ブロック装置使用方式と周波数帯域設定方式(併用もある)。周波数帯域設定方式で互いに妨害がなければ、第30条の適用外。
この記事の道案内
電気設備技術基準の解釈にそって、高周波電流の漏えい防止を3つの視点で整理します。

① なぜ問題になる?(しくみ)

屋内の電力回路が、高周波の通り道に インターホンの高周波や、冷暖房設備などの制御回路の信号が通ります。
配電線も、高周波の通り道に 遠方監視制御や検針の自動化などに、配電線が使われています。
無秩序に設置すると、互いに邪魔になる 相互に発信される高周波で、機能に障害を及ぼすおそれがあります。
対象は、電路を使う高周波利用設備 省令第17条では、電路を高周波電流の伝送路にするものを指します。

省令第17条の高周波利用設備は、電路を高周波電流の伝送路として利用するものに限られます。たとえば、インターホンです。この高周波利用設備は、他の高周波利用設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設することが求められています。その具体的な基準を決めているのが、解釈第30条です。

  • 需要場所では、屋内(又は屋外)の電力回路が、インターホンの高周波の伝送路として使われ、冷暖房設備などの制御回路の伝送路にも使われている(解釈の解説)
  • 配電設備でも、開閉器類の遠方監視制御、電圧負荷管理の集中自動化、検針業務の自動化、負荷制御の自動化などのために、配電線を伝送路とする高周波利用設備が使われている(解釈の解説)
  • これらを無秩序に施設すると、相互に発信される高周波によって、互いにその機能に障害を及ぼすおそれがある(解釈の解説、省令の解説)
ペン太ペン太
高周波利用設備って、インターホンだけなんですか?
ハリタハリタ
いいえ。解説には、冷暖房設備などの制御回路や、配電線を使う遠方監視制御、検針の自動化なども挙げられているよ。電路を高周波電流の伝送路にするものが対象なんだ。
たとえるなら
無秩序に設置すると互いに邪魔になるのは、にぎやかな店の隣の席どうしのようなもの
にぎやかな店で、隣の席の声が大きいと、自分たちの話が聞き取りにくくなりますよね。しかも、お互いさまです。電路を高周波の通り道にする設備も同じで、無秩序に設置すると、相互に発信される高周波によって、互いの機能に障害を及ぼすおそれがあります。だから省令第17条は、他の高周波利用設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設することを求めています。
ここに注意!
「高周波の漏えいを防ぐのは、ラジオやテレビなどの無線設備を守るため」ではありません。
省令第17条が守る相手は、他の高周波利用設備です(電路を高周波電流の伝送路として利用するものに限ります)。省令第17条にも解釈第30条にも、無線設備は出てきません。ラジオやテレビなどの無線設備への障害を防ぐ規定は、省令第67条と解釈第155条で、【017】電磁障害の防止で扱いました。
ここまでのポイント
  • 省令第17条の高周波利用設備は、電路を高周波電流の伝送路として利用するもの(インターホン、冷暖房設備の制御、配電線を使う遠方監視制御など)。
  • 無秩序に設置すると、相互に発信される高周波によって、互いの機能に障害を及ぼすおそれがある。
  • 守る相手は、他の高周波利用設備。ラジオやテレビなどの無線設備は、【017】電磁障害の防止の話。

② 漏えいの許容基準と測り方

省令第17条を受けて、解釈第30条が、漏えいしてよい高周波電流の大きさと、その測り方を決めています。まず、基準の大きさです。

−10dBごとに、電力は10分の1 1mWを0dBとして、−10dBで0.1mW、−20dBで0.01mWです。
−30dBは、1mWの1,000分の1 0.001mWです。1,000マスのうち、1マスだけの大きさです。
−30dB以下が、基準の範囲 −40dBのほうが、漏れは小さいです。−30dBちょうども基準内です。
数字が小さいほど、漏れは小さい マイナスが大きいほど、漏れは小さくなります。
  • 基準の対象は、高周波利用設備から、他の高周波利用設備に漏えいする高周波電流(第30条)
  • 基準は、−30dB(1mWを0dBとする)以下
  • −30dBは、1mWの1,000分の1。−10dBごとに、電力は10分の1になる
  • 漏えいを皆無にするのは技術的に不可能なので、漏えいしても支障のない最大レベルを、漏えい許容値としている(解釈の解説)
ここに注意!
「−30dBは、30分の1」ではありません。
dBは、比べるための対数の目盛りです。1mWを0dBとすると、−10dBで10分の1、−20dBで100分の1、−30dBで1,000分の1(0.001mW)になります。

次に、測り方です。判定の値は、測定装置(又はこれに準ずる測定装置)で測った値から出します。

測定装置は、解釈の図に決まっている 解釈の図の測定装置、またはこれに準ずる測定装置で測ります。
2回以上連続して、10分間以上測る 各回の測定時間は10分間以上、回数は2回以上です。
各回の最大値を拾い出す 各回でいちばん大きかった測定値を、その回の代表にします。
最大値の平均が、−30dB以下 例:−34dBと−32dBの平均は、−33dBほど。基準を満たします。
  • 測定装置:解釈第30条の図の測定装置、又はこれに準ずる測定装置
  • 回数と時間:2回以上連続して、10分間以上測る
  • 判定:各回の測定値の最大値の平均値が、−30dB以下であること
ここに注意!
「10分間の測定を2回行えばよい」ではありません。
解釈第30条は、2回以上連続して、10分間以上測ることを求めています。「2回」も「10分間」も、最低の回数と時間です。測定は、測定装置(又はこれに準ずる測定装置)で行います。
たとえるなら
各回の最大値の平均で判定するのは、天気予報の「平均最高気温」のようなもの
平均最高気温は、1日ごとの最高気温を集めて、その平均を取った値ですよね。1日の気温を全部平均した値とは、別の数字です。漏えいの判定も同じ考え方です。1回の測定(10分間以上)ごとに、いちばん大きかった測定値を拾い、それを2回以上の測定分で平均して、−30dBと比べます。
ここに注意!
「各回の平均値が−30dB以下ならよい」ではありません。
判定に使うのは、各回の測定値の最大値の平均値です。各回の測定値を平均するのではなく、回ごとに「いちばん大きかった測定値」を拾い、その最大値を平均します(解釈第30条)。
項目内容
対象高周波利用設備から、他の高周波利用設備に漏えいする高周波電流
測定装置解釈第30条の図の測定装置、又はこれに準ずる測定装置
測定時間2回以上連続して、10分間以上
判定各回の測定値の最大値の平均値が、−30dB(1mWを0dBとする)以下
図の部品LM:選択レベル計、MT:整合変成器、HPF:高域ろ波器、L:電源分離回路、B:ブロック装置、W:高周波利用設備
ここまでのポイント
  • 基準は、高周波利用設備から、他の高周波利用設備に漏えいする高周波電流が、−30dB(1mWを0dBとする)以下であること。
  • −30dBは、1mWの1,000分の1。−10dBごとに、電力は10分の1になる。
  • 測定は、測定装置(又はこれに準ずる測定装置)で、2回以上連続して、10分間以上行う。
  • 判定は、各回の測定値の最大値の平均値で行う。

③ 漏えいの防ぎ方(ブロック装置と周波数帯域)

漏えいを抑える方式は、解釈の解説で、2つ挙げられています。

ブロック装置使用方式は、境界で止める 伝送路の境界点にブロック装置を設置し、各領域の漏れを抑えます。
周波数帯域設定方式は、周波数を分け合う 双方で利用周波数を協定し、それぞれの帯域を使います。
帯域を決めて妨害なしなら、第30条の適用外 決めない場合や、帯域外の高周波も使う場合は、第30条が適用されます。
漏れは、ゼロにはできない 支障のない最大レベルを、漏えい許容値にしています。
  • ブロック装置使用方式:高周波の伝送を制御するブロック装置を、伝送路の境界点に設置し、各領域からの高周波の漏えいを抑制する
  • 周波数帯域設定方式:高周波の漏えいがあっても、実質的には互いに妨害を与えないように、双方で利用周波数の協定を行い、それぞれの周波数帯域を占有して、双方が高周波を利用する
  • この2つの方式を併用する方式も、考えられている
場合第30条
周波数帯域設定方式で、相互に妨害がないように高周波を利用する適用外(「障害を及ぼすおそれがある場合」に当たらない)
周波数帯域の設定を行わない適用を受ける
周波数帯域の設定を行っても、さらに周波数帯域外の高周波を利用する適用を受ける
たとえるなら
防ぎ方が2つあるのは、道路の「ゲート」と「専用レーン」のようなもの
ブロック装置使用方式は、境界にゲートを置いて、相手の領域に流れ出さないようにする方法です。周波数帯域設定方式は、道路に専用レーンを引いて、お互いの走る場所を分ける方法です。どちらも、ぶつからないための工夫で、両方を組み合わせる方法も考えられています。専用レーンで互いに邪魔にならなければ、第30条の適用外になります。
ここに注意!
「漏えいは、ゼロにしなければならない」ではありません。
漏えいを皆無にするのが理想ですが、技術的に不可能です。そのため、漏えいしても支障のない最大レベルを、漏えい許容値としています(解釈の解説)。
ここに注意!
「高周波利用設備には、必ずブロック装置を付ける」ではありません。
解釈の解説では、ブロック装置使用方式のほかに、周波数帯域設定方式があり、併用する方式も考えられています。周波数帯域設定方式で、互いに妨害がなく高周波を利用する場合は、「障害を及ぼすおそれがある場合」に当たらないので、第30条の適用外です。
ここまでのポイント
  • 防ぎ方は、ブロック装置使用方式と、周波数帯域設定方式。併用する方式も考えられている。
  • ブロック装置使用方式は、伝送路の境界点にブロック装置を設置して、各領域からの漏えいを抑える。
  • 周波数帯域設定方式は、双方で利用周波数を協定して、それぞれの帯域を占有する。
  • 周波数帯域設定方式で、互いに妨害がなければ、第30条の適用外。
  • 周波数帯域を設定しない場合や、帯域外の高周波も利用する場合は、第30条の適用を受ける。

よくある質問(FAQ)

Q1. なぜ問題になるの? 他の高周波利用設備の機能を、邪魔するおそれがあるからです。
Q2. 許容基準は、どれくらい? 2回以上連続して10分間以上測り、各回の最大値の平均が−30dB以下です。
Q3. 漏れを防ぐには、どうするの? ブロック装置使用方式と、周波数帯域設定方式です。
Q4. 電磁障害の防止とは、何が違う? 無線設備を守るのは省令第67条。この記事は省令第17条です。

Q. 高周波電流の漏えいはなぜ問題になるの?

A. 電路を高周波電流の伝送路として使う設備(インターホンなど)を無秩序に施設すると、相互に発信される高周波によって、他の高周波利用設備の機能に障害を及ぼすおそれがあるためです。省令第17条は、継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設することを求めています(省令の解説、解釈の解説)。

Q. 漏えいの許容基準はどれくらい?

A. 解釈第30条のとおり、測定装置(又はこれに準ずる測定装置)で、2回以上連続して10分間以上測ったとき、各回の測定値の最大値の平均値が−30dB(1mWを0dBとする)以下であることが条件です。−30dBは、1mWの1,000分の1です。

Q. 漏れを防ぐにはどうすればいいの?

A. 解釈の解説では、高周波の伝送を制御するブロック装置を伝送路の境界点に設置する方式(ブロック装置使用方式)と、双方で利用周波数を協定してそれぞれの周波数帯域を占有する方式(周波数帯域設定方式)が挙げられていて、併用する方式も考えられています。周波数帯域設定方式で、互いに妨害がなく高周波を利用する場合は、第30条の適用外です。

Q. 電磁障害の防止とは、何が違うの?

A. 電磁障害の防止(省令第67条、解釈第155条)は、ラジオやテレビなどの無線設備の機能を守る規定で、内線規程の解釈と解説【017】で扱っています。この記事の省令第17条・解釈第30条は、守る相手が、他の高周波利用設備です。

まとめ|配線から漏れる高周波を測って抑える

高周波電流の漏えい防止は、電路を通り道にする設備から、他の高周波利用設備へ漏れる高周波を測り、−30dB以下に抑えるというきまりです。抑える方式には、ブロック装置使用方式と周波数帯域設定方式があります。

進める場面確認すること判断の目安
設備を計画するとき電路を高周波電流の伝送路として使う設備かインターホン、冷暖房設備の制御、配電線を使う遠方監視制御などが該当(解釈の解説)
設置するとき他の高周波利用設備に、障害を及ぼすおそれはないか無秩序に設置しない(省令第17条)
測定するとき測定装置と、回数・時間は足りているか測定装置(又はこれに準ずるもの)で、2回以上連続して、10分間以上
判定するとき何を、どの基準で判定するか各回の測定値の最大値の平均値が、−30dB(1mWを0dBとする)以下
防ぐときどの方式を使うかブロック装置使用方式、周波数帯域設定方式、またはその併用
適用を確かめるとき周波数帯域設定方式で、互いに妨害がないか妨害がなければ、第30条の適用外
根拠を探すときどこを見るか省令第17条、解釈第30条と、その解説

しくみで押さえること

  • 電路を高周波電流の伝送路として使う設備が対象であること。
  • 守る相手は、他の高周波利用設備であること。

測定で押さえること

  • 測定装置(又はこれに準ずる測定装置)で測ること。
  • 2回以上連続して、10分間以上測ること。
  • 各回の測定値の最大値の平均値で判定すること。

対策で押さえること

  • −30dB以下という基準。
  • ブロック装置使用方式と、周波数帯域設定方式(併用もある)。
  • 周波数帯域設定方式で互いに妨害がなければ、第30条の適用外。

高周波の漏えいは、目に見えません。第30条は、測定の方法まで決めて、漏えいする高周波電流を数字で確かめられるようにしています。電路を高周波の通り道にする設備を設置・追加するときは、他の高周波利用設備との関係と、−30dBの基準を、あわせて確認しておくと確実です。

ペン太ペン太
結局、まず何を確かめればいいですか?
ハリタハリタ
その設備が、電路を高周波の通り道にするものかを確かめるんだ。そのうえで、漏えいが−30dB以下か、必要なら防ぎ方(ブロック装置か、周波数の分担)を見直そう。

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動力設備の計画のなかで読む
この内容は、連載「動力設備の設計マニュアル」の 第3回 始動電流という別の顔 でも扱っています。
連載の目次は 設計・施工マニュアル からどうぞ。
次に読むならこれケーブルダクトのサイズの決め方|断面積20%ルールと計算例内線規程の解説
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。