内線規程の解釈と解説【018】|高周波電流の漏えい防止
出典:電気設備技術基準の解釈 第30条・解釈の解説、電気設備に関する技術基準を定める省令 第17条・省令の解説
電路を高周波電流の伝送路として使う設備(インターホンなど)から、他の高周波利用設備へ漏えいする高周波電流には、基準があります。押さえるポイントは 「なぜ問題になるか/許容基準と測り方/漏えいの防ぎ方」 の3つです。
ペン太
ハリタ
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ハリタこの記事で押さえる3つのこと
- 漏えいで守る相手は、他の高周波利用設備。電路を高周波電流の伝送路として使う設備が対象。
- 漏えいする高周波電流は、2回以上連続して10分間以上測り、各回の測定値の最大値の平均値が−30dB(1mWを0dBとする)以下。
- 防ぎ方は、ブロック装置使用方式と周波数帯域設定方式(併用もある)。周波数帯域設定方式で互いに妨害がなければ、第30条の適用外。
① なぜ問題になる?(しくみ)
省令第17条の高周波利用設備は、電路を高周波電流の伝送路として利用するものに限られます。たとえば、インターホンです。この高周波利用設備は、他の高周波利用設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設することが求められています。その具体的な基準を決めているのが、解釈第30条です。
- 需要場所では、屋内(又は屋外)の電力回路が、インターホンの高周波の伝送路として使われ、冷暖房設備などの制御回路の伝送路にも使われている(解釈の解説)
- 配電設備でも、開閉器類の遠方監視制御、電圧負荷管理の集中自動化、検針業務の自動化、負荷制御の自動化などのために、配電線を伝送路とする高周波利用設備が使われている(解釈の解説)
- これらを無秩序に施設すると、相互に発信される高周波によって、互いにその機能に障害を及ぼすおそれがある(解釈の解説、省令の解説)
ペン太
ハリタ- 省令第17条の高周波利用設備は、電路を高周波電流の伝送路として利用するもの(インターホン、冷暖房設備の制御、配電線を使う遠方監視制御など)。
- 無秩序に設置すると、相互に発信される高周波によって、互いの機能に障害を及ぼすおそれがある。
- 守る相手は、他の高周波利用設備。ラジオやテレビなどの無線設備は、【017】電磁障害の防止の話。
② 漏えいの許容基準と測り方
省令第17条を受けて、解釈第30条が、漏えいしてよい高周波電流の大きさと、その測り方を決めています。まず、基準の大きさです。
- 基準の対象は、高周波利用設備から、他の高周波利用設備に漏えいする高周波電流(第30条)
- 基準は、−30dB(1mWを0dBとする)以下
- −30dBは、1mWの1,000分の1。−10dBごとに、電力は10分の1になる
- 漏えいを皆無にするのは技術的に不可能なので、漏えいしても支障のない最大レベルを、漏えい許容値としている(解釈の解説)
次に、測り方です。判定の値は、測定装置(又はこれに準ずる測定装置)で測った値から出します。
- 測定装置:解釈第30条の図の測定装置、又はこれに準ずる測定装置
- 回数と時間:2回以上連続して、10分間以上測る
- 判定:各回の測定値の最大値の平均値が、−30dB以下であること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 高周波利用設備から、他の高周波利用設備に漏えいする高周波電流 |
| 測定装置 | 解釈第30条の図の測定装置、又はこれに準ずる測定装置 |
| 測定時間 | 2回以上連続して、10分間以上 |
| 判定 | 各回の測定値の最大値の平均値が、−30dB(1mWを0dBとする)以下 |
| 図の部品 | LM:選択レベル計、MT:整合変成器、HPF:高域ろ波器、L:電源分離回路、B:ブロック装置、W:高周波利用設備 |
- 基準は、高周波利用設備から、他の高周波利用設備に漏えいする高周波電流が、−30dB(1mWを0dBとする)以下であること。
- −30dBは、1mWの1,000分の1。−10dBごとに、電力は10分の1になる。
- 測定は、測定装置(又はこれに準ずる測定装置)で、2回以上連続して、10分間以上行う。
- 判定は、各回の測定値の最大値の平均値で行う。
③ 漏えいの防ぎ方(ブロック装置と周波数帯域)
漏えいを抑える方式は、解釈の解説で、2つ挙げられています。
- ブロック装置使用方式:高周波の伝送を制御するブロック装置を、伝送路の境界点に設置し、各領域からの高周波の漏えいを抑制する
- 周波数帯域設定方式:高周波の漏えいがあっても、実質的には互いに妨害を与えないように、双方で利用周波数の協定を行い、それぞれの周波数帯域を占有して、双方が高周波を利用する
- この2つの方式を併用する方式も、考えられている
| 場合 | 第30条 |
|---|---|
| 周波数帯域設定方式で、相互に妨害がないように高周波を利用する | 適用外(「障害を及ぼすおそれがある場合」に当たらない) |
| 周波数帯域の設定を行わない | 適用を受ける |
| 周波数帯域の設定を行っても、さらに周波数帯域外の高周波を利用する | 適用を受ける |
- 防ぎ方は、ブロック装置使用方式と、周波数帯域設定方式。併用する方式も考えられている。
- ブロック装置使用方式は、伝送路の境界点にブロック装置を設置して、各領域からの漏えいを抑える。
- 周波数帯域設定方式は、双方で利用周波数を協定して、それぞれの帯域を占有する。
- 周波数帯域設定方式で、互いに妨害がなければ、第30条の適用外。
- 周波数帯域を設定しない場合や、帯域外の高周波も利用する場合は、第30条の適用を受ける。
よくある質問(FAQ)
Q. 高周波電流の漏えいはなぜ問題になるの?
A. 電路を高周波電流の伝送路として使う設備(インターホンなど)を無秩序に施設すると、相互に発信される高周波によって、他の高周波利用設備の機能に障害を及ぼすおそれがあるためです。省令第17条は、継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設することを求めています(省令の解説、解釈の解説)。
Q. 漏えいの許容基準はどれくらい?
A. 解釈第30条のとおり、測定装置(又はこれに準ずる測定装置)で、2回以上連続して10分間以上測ったとき、各回の測定値の最大値の平均値が−30dB(1mWを0dBとする)以下であることが条件です。−30dBは、1mWの1,000分の1です。
Q. 漏れを防ぐにはどうすればいいの?
A. 解釈の解説では、高周波の伝送を制御するブロック装置を伝送路の境界点に設置する方式(ブロック装置使用方式)と、双方で利用周波数を協定してそれぞれの周波数帯域を占有する方式(周波数帯域設定方式)が挙げられていて、併用する方式も考えられています。周波数帯域設定方式で、互いに妨害がなく高周波を利用する場合は、第30条の適用外です。
Q. 電磁障害の防止とは、何が違うの?
A. 電磁障害の防止(省令第67条、解釈第155条)は、ラジオやテレビなどの無線設備の機能を守る規定で、内線規程の解釈と解説【017】で扱っています。この記事の省令第17条・解釈第30条は、守る相手が、他の高周波利用設備です。
まとめ|配線から漏れる高周波を測って抑える
高周波電流の漏えい防止は、電路を通り道にする設備から、他の高周波利用設備へ漏れる高周波を測り、−30dB以下に抑えるというきまりです。抑える方式には、ブロック装置使用方式と周波数帯域設定方式があります。
| 進める場面 | 確認すること | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 設備を計画するとき | 電路を高周波電流の伝送路として使う設備か | インターホン、冷暖房設備の制御、配電線を使う遠方監視制御などが該当(解釈の解説) |
| 設置するとき | 他の高周波利用設備に、障害を及ぼすおそれはないか | 無秩序に設置しない(省令第17条) |
| 測定するとき | 測定装置と、回数・時間は足りているか | 測定装置(又はこれに準ずるもの)で、2回以上連続して、10分間以上 |
| 判定するとき | 何を、どの基準で判定するか | 各回の測定値の最大値の平均値が、−30dB(1mWを0dBとする)以下 |
| 防ぐとき | どの方式を使うか | ブロック装置使用方式、周波数帯域設定方式、またはその併用 |
| 適用を確かめるとき | 周波数帯域設定方式で、互いに妨害がないか | 妨害がなければ、第30条の適用外 |
| 根拠を探すとき | どこを見るか | 省令第17条、解釈第30条と、その解説 |
しくみで押さえること
- 電路を高周波電流の伝送路として使う設備が対象であること。
- 守る相手は、他の高周波利用設備であること。
測定で押さえること
- 測定装置(又はこれに準ずる測定装置)で測ること。
- 2回以上連続して、10分間以上測ること。
- 各回の測定値の最大値の平均値で判定すること。
対策で押さえること
- −30dB以下という基準。
- ブロック装置使用方式と、周波数帯域設定方式(併用もある)。
- 周波数帯域設定方式で互いに妨害がなければ、第30条の適用外。
高周波の漏えいは、目に見えません。第30条は、測定の方法まで決めて、漏えいする高周波電流を数字で確かめられるようにしています。電路を高周波の通り道にする設備を設置・追加するときは、他の高周波利用設備との関係と、−30dBの基準を、あわせて確認しておくと確実です。
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