技術図書館ケーブルは張力を持てない|だから吊って渡すハンガー間隔は高圧50cm以下。ちょう架用線は5.93kN以上か22mm²以上、接地は原則D種この資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
架空ケーブル(メッセンジャーワイヤ)を図解で整理。ちょう架の間隔(高圧50cm以下)、ワイヤの強度(5.93kN以上/22mm²以上)、D種接地、張力と安全率の考え方を要点とFAQでまとめます。
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)、電気設備の技術基準の解釈 第67条・第68条

架空ケーブルは、メッセンジャーワイヤ(ちょう架用線)で支えて施設します。押さえるポイントは 「ちょう架・強度・接地・安全率」 の要点に整理できます。

ちょう架 高圧のハンガー間隔50cm以下。
強度 5.93kN以上か22mm²以上。
接地 ちょう架用線はD種。
張力 強さに余裕を見る。
ペン太ペン太
架空ケーブルって、どうやって空中に張るんですか?
ハリタハリタ
メッセンジャーワイヤという丈夫な線を張って、そこにハンガーでケーブルを吊るんだ。間隔や強度、接地、張力の安全率にルールがあるよ。

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ペン太ペン太
ケーブルを架空で渡すとき、メッセンジャーワイヤって必ず要るんですか?
ハリタハリタ
ケーブル自体に張力を持たせられないので、ちょう架用線で支持するのが基本です。ハンガー間隔は高圧で50cm以下ですよ。

この記事で押さえる3つのこと

  • ちょう架の方法は5つ。ハンガーで吊るなら、高圧は50cm以下、低圧は50cm以下が望ましい。
  • ワイヤは5.93kN以上か22mm²以上。張力T=WS²÷8Dで、ワイヤの強さに余裕を見込む。
  • 接地はD種。省略できるのは、低圧でちょう架用線に絶縁電線などを使うとき。高さは道路横断6mなど。
この記事の道案内
内線規程(JEAC8001-2022)にそって、架空ケーブル(メッセンジャーワイヤー)のルールを3つの視点で整理します。
この記事の内容を、ツールで計算するメッセンジャーワイヤー選定ツール径間とケーブルから、ちょう架用線のサイズと張力が出ます
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① ちょう架・使用ケーブル

  • ケーブルは自分で張力を持てないので、メッセンジャーワイヤ(ちょう架用線)にちょう架して施設する
  • ちょう架の方法は、電技解釈第67条に5つあります(下の図)。いちばん多いのが、ハンガーで吊る方法
  • ハンガー間隔:高圧は50cm以下(電技解釈第67条で必須)/低圧は50cm以下が望ましい(内線規程)
  • 使用ケーブル:低圧は鉛被・アルミ被・クロロプレン・ビニル・ポリエチレン・MIケーブル等、高圧はこれらに保護被覆付きも可
イ ハンガー 高圧は50cm以下。
ロ 金属テープ 20cm以下の間隔で巻く。
ハ・ニ 外装に固定、より合わせ。
ホ 高圧だけ テープ6cm以下。
方法ちょう架のしかた数字
イケーブルをハンガーでちょう架用線に支持する高圧はハンガー間隔50cm以下
ロケーブルをちょう架用線に接触させ、容易に腐食しにくい金属テープなどをらせん状に巻き付ける20cm以下の間隔
ハちょう架用線をケーブルの外装に堅ろうに取り付ける―
ニちょう架用線とケーブルをより合わせる―
ホ高圧だけ。半導電性外装ちょう架用高圧ケーブルを金属製のちょう架用線に接触させ、金属テープなどをらせん状に巻き付ける6cm以下の間隔
たとえるなら
ちょう架は、物干しロープに洗濯物を吊るすのと同じ
洗濯物は、張ったロープにハンガーやピンで吊りますよね。洗濯物そのものをロープ代わりに張ったりはしません。架空ケーブルも同じで、重さと張力はメッセンジャーワイヤが受け持ち、ケーブルはハンガーなどで吊るだけです。
ここに注意!
「ちょう架の方法は、ハンガーで吊るだけ」ではありません。
電技解釈第67条のちょう架の方法は、ハンガーのほか、金属テープなどを20cm以下の間隔でらせん状に巻き付ける方法、ちょう架用線をケーブルの外装に堅ろうに取り付ける方法、より合わせる方法、高圧だけの半導電性外装の方法(テープ6cm以下)の5つです。ハンガー間隔50cm以下が必須なのは、高圧でハンガーを使う場合です。
ペン太ペン太
メッセンジャーワイヤの接地って、低圧なら省略できると聞いて驚きました。
ハリタハリタ
原則はD種接地だよ。省略できるのは、低圧の架空ケーブルで、ちょう架用線に絶縁電線などを使うときだけ。高圧は省略できないし、ちょう架用線の強さに余裕を見込むのも忘れずに。
電圧の区分ハンガー間隔使用できるケーブル
低圧50cm以下が望ましい(内線規程)鉛被・アルミ被・クロロプレン・ビニル・ポリエチレン・MIケーブル等
高圧50cm以下(必須・電技解釈第67条)上記に加え、保護被覆付きも可
ここまでのポイント
  • メッセンジャーワイヤにハンガーを用いてケーブルを吊る。
  • ハンガー間隔は、高圧50cm以下(必須)、低圧50cm以下が望ましい。
  • 使用ケーブルは、低圧が鉛被・アルミ被・クロロプレン・ビニル・ポリエチレン・MIケーブル等。
  • 高圧はこれらに保護被覆付きも可。
  • ちょう架の方法は、ハンガーのほか、金属テープ(20cm以下)など5つ(電技解釈第67条)。

② 強度・接地・安全率と高さ

  • 強度:ちょう架用線は、引張強さ5.93kN以上のもの、または断面積22mm²以上の亜鉛めっき鉄より線(電技解釈第67条)
  • 張力:T=WS²÷8D(W=1mあたりの重さ、S=径間、D=たるみ)。たるみを半分にすると、張力は2倍
  • 安全率:ワイヤの引張強さEを張力Tで割った値(E÷T)。必要な値は条文で確かめる
張力 T=WS²÷8D。
たるみ半分 張力は2倍。
安全率 E÷T。
強さ カタログ値で確かめる。
たるみD張力T(例)張力の比
0.6m20×30²÷(8×0.6)=3.75kN1
0.3m20×30²÷(8×0.3)=7.5kN2倍

数値は例です(W=20N/m、径間S=30m)。実際は、ケーブルとワイヤの重さに、風圧などの荷重を条件に合わせて加えます。ワイヤの引張強さは、メーカーのカタログ値で確かめます。サイズの当たりをつけるなら、上のメッセンジャーワイヤーサイズ選定ツールが使えます。

たとえるなら
ぴんと張ったハンモックほど、端のロープがきつい
ハンモックを、たるみなくぴんと張るほど、両端のロープや金具に大きな力がかかります。メッセンジャーワイヤも同じで、たるみDを半分にすると、張力は2倍になります。見た目をよくしようと張りすぎると、強さが足りなくなります。
ここに注意!
「ワイヤを太くすれば、張り方は自由」ではありません。
張力は T=WS²÷8D で、たるみ D を小さくするほど大きくなります。5.93kN以上(または断面積22mm²以上の亜鉛めっき鉄より線)という条件に加えて、張力に対してワイヤの引張強さに余裕があるかを確かめます。ワイヤの引張強さは、メーカーのカタログ値で確かめます。
  • D種接地:ちょう架用線と、ケーブルの被覆に使う金属体に施す(電技解釈第67条)
  • 省略できる場合:低圧架空電線にケーブルを使い、ちょう架用線に絶縁電線などを使うとき。高圧は省略できない
D種 ちょう架用線と金属被覆に。
省略可 低圧+ワイヤに絶縁電線。
省略不可 高圧。
ねらい 傷んでも触れて平気に。
ここに注意!
「低圧なら、ちょう架用線の接地は省略してよい」ではありません。
省略できるのは、低圧架空電線にケーブルを使い、しかもちょう架用線に絶縁電線などを使う場合です(電技解釈第67条)。裸のワイヤで吊るなら、低圧でもD種接地を施します。高圧は省略できません。
取り違えやすいところ正しくは
ハンガー間隔は低圧も必須の数値高圧は50cm以下が必須、低圧は50cm以下が望ましい
ケーブルは低圧も高圧も同じ高圧はこれらに保護被覆付きも使える
メッセンジャーワイヤは太ければよい5.93kN以上(または22mm²以上の亜鉛めっき鉄より線)に加え、張力T=WS²÷8Dに対して、引張強さに余裕を見る
低圧なら接地は省略できる省略できるのは、低圧架空電線にケーブルを使い、ちょう架用線に絶縁電線などを使うとき

あわせて確認:架空電線の高さ

架空ケーブルで道路や構内通路をまたぐときは、高さも確かめます。低圧と高圧の架空電線の高さは、電技解釈第68条で、渡る場所ごとに決まっています。

道路の横断 6m。
鉄道の横断 レール面上5.5m。
その他 5m(低圧の道路以外は4m)。
歩道橋の上 高圧3.5m・低圧3m。
渡る場所高さ
道路を横断する場合(車両の往来がまれなものなどを除く)路面上6m
鉄道または軌道を横断する場合レール面上5.5m
横断歩道橋の上に施設する場合高圧は路面上3.5m、低圧は路面上3m
低圧で道路以外の場所などに施設する場合地表上4m(条件は条文で確かめる)
上記以外地表上5m
ここに注意!
「架空電線の高さは、どこでも5mあればよい」ではありません。
道路を横断するなら路面上6m、鉄道を横断するならレール面上5.5mと、渡る場所で高さが変わります(電技解釈第68条)。ルートの途中に道路や線路があれば、いちばん厳しい値で考えます。
ここに注意!
「構内の引込線も、この表の高さで考える」ではありません。
引込線の高さは、架空電線とは別の条文で決まります(低圧の架空引込線は電技解釈第116条)。引込線の距離と条件は、引込の設計の記事で扱っています。
ここまでのポイント
  • 強度は、引張強さ5.93kN以上、または断面積22mm²以上の亜鉛メッキ鉄より線。
  • D種接地は原則必要。省略できるのは、低圧でちょう架用線に絶縁電線などを使うとき。
  • 張力T=WS²/8D を出し、ワイヤの引張強さEに余裕があるか(安全率=E/T)を確かめる。
  • 架空電線の高さは、道路横断6m・鉄道横断5.5mなど、渡る場所で決まる(電技解釈第68条)。

よくある質問(FAQ)

張り方 たるみで張力が変わる。
ハンガー 低圧は望ましい。
接地の省略 ワイヤを絶縁したとき。
引込線 別の条文。

Q. ちょう架(ハンガー)の間隔はどれくらい?

A. ハンガーでちょう架用線に支持する場合、高圧は50cm以下です(電技解釈第67条)。低圧は50cm以下が望ましいとされています(内線規程)。ハンガーのほか、金属テープなどを20cm以下の間隔で巻き付ける方法などもあります。

Q. メッセンジャーワイヤに必要な強度は?

A. 引張強さ5.93kN以上のもの、または断面積22mm²以上の亜鉛めっき鉄より線です。張力T=WS²÷8Dに対して、ワイヤの引張強さに余裕があるかも確かめます。たるみを小さくするほど張力は大きくなります。

Q. メッセンジャーワイヤの接地は必要?

A. 原則として、ちょう架用線とケーブルの被覆の金属体にD種接地工事が必要です。省略できるのは、低圧架空電線にケーブルを使い、ちょう架用線に絶縁電線などを使う場合です。高圧は省略できません。

Q. 架空ケーブルの高さは何m必要?

A. 電技解釈第68条で、道路を横断する場合は路面上6m、鉄道を横断する場合はレール面上5.5m、横断歩道橋の上は高圧3.5m・低圧3m、その他は地表上5mなどと決まっています。引込線は別の条文です。

Q. メッセンジャーワイヤのサイズはどう決める?

A. 径間・たるみ・ケーブルとワイヤの重さ(必要に応じて風圧などの荷重)から張力を出し、5.93kN以上または22mm²以上の条件を満たし、張力に余裕のあるワイヤを、メーカーの引張強さで選びます。メッセンジャーワイヤーサイズ選定ツールで当たりをつけられます。

まとめ|吊る間隔・支える強度・接地の3点

架空ケーブルは、ハンガーで規定の間隔に吊り、所定の強度のメッセンジャーワイヤで支え、原則としてD種接地を施すことが基本です。

確認する項目規程が示す内容
ちょう架の方法ハンガー、金属テープ(20cm以下)、外装に固定、より合わせ、高圧の半導電性外装(6cm以下)の5つ
ハンガー間隔(高圧)50cm以下(電技解釈第67条)
ハンガー間隔(低圧)50cm以下が望ましい(内線規程)
使用ケーブル低圧は鉛被・アルミ被・クロロプレン・ビニル・ポリエチレン・MIケーブル等、高圧はこれらに保護被覆付きも可
ワイヤの強度引張強さ5.93kN以上、または断面積22mm²以上の亜鉛めっき鉄より線
張力と安全率T=WS²÷8D。安全率(E÷T)に余裕を見込む
接地ちょう架用線とケーブルの被覆の金属体にD種接地
接地を省略できる場合低圧架空電線にケーブルを使い、ちょう架用線に絶縁電線などを使うとき
高さ道路横断6m、鉄道横断5.5m、その他5mなど(電技解釈第68条)

ちょう架で押さえること

  • ハンガーで吊っているか。
  • 電圧の区分に応じた間隔。
  • 使用できるケーブルの種類。

強度で押さえること

  • 引張強さまたは断面積の条件。
  • 亜鉛メッキ鉄より線であること。

接地で押さえること

  • D種接地の原則。
  • 省略できるのは、低圧でちょう架用線に絶縁電線などを使うときだけ。

架空ケーブルは、支持物と支持物のあいだで自重と風を受け続けます。ハンガーの間隔とメッセンジャーワイヤの強度は、たるみと断線の両方を防ぐための数値です。高圧では安全率まで含めて確認しておくと安心です。

ペン太ペン太
架空ケーブルの設計で、次に確認すべきことは何ですか?
ハリタハリタ
ちょう架用線の強度です。引張強さ5.93kN以上か断面積22mm²以上を満たすか、まず確認しましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。