出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
屋側電線路って何?
屋側電線路とは、建物の屋根や側面に沿って設置される電線路のことです。一般家庭の引込線や、複数の建物に電気を供給するための電線路などが該当します。
屋側電線路の設置、実は制限があるんです!
電気技術規程第37条では、原則として、電気の供給を受ける人以外の敷地に屋側電線路を設置することを禁止しています。これは、安全確保とトラブル防止のためです。
ただし、以下の2つのケースでは、例外的に設置が認められます。
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同一敷地内での設置
- 自分の敷地内にある建物への配線
- 同一基礎構造物上の複数の建物への配線
- 構造的に一体化した建物への配線
これらの場合は、同一敷地内とみなされ、設置可能です。
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特別な事情があり、所有者・占有者の承諾を得た場合
- どうしても他人の敷地を通す必要がある場合
- 緊急時など、特別な事情がある場合
上記のような場合は、土地の所有者や占有者の承諾を得ることで設置が可能です。
低圧屋側電線路の設置ルール
一般住宅などで使われる低圧の屋側電線路は、さらに細かいルールが定められています。
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設置可能なケース
- 同一敷地内の電線路の一部として設置する場合
- 同一敷地内専用の電線路の一部として設置する場合
これらのケースに該当する場合のみ、低圧屋側電線路の設置が可能です。
屋側電線路の設置方法:がいし引き工事とは?
がいし引き工事とは、電線をがいしと呼ばれる絶縁体で支持し、建物に沿って配線する工事のことです。主に、低圧の屋側電線路で用いられます。
がいし引き工事のルール
電気技術規程では、がいし引き工事による屋側電線路の設置について、以下のルールが定められています。
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露出場所への設置と簡易接触防護措置
- がいし引き工事は、露出した場所で行う必要があります。
- 人が容易に触れる可能性のある場所では、簡易接触防護措置を施す必要があります。
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メタルラス張りなどとの絶縁
- メタルラス張りなどの金属製の建材とは、適切な絶縁距離を確保する必要があります。
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使用可能な電線
- 使用できる電線は、DV電線、DE電線、OW電線、およびその他の絶縁電線です。
- 電線の種類によって、電線相互の間隔、電線と建材との離隔距離、支持点間の距離が異なります。
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電線相互の間隔、電線と建材との離隔距離、支持点間の距離
- 電線の種類に応じて、それぞれ適切な間隔、離隔距離、支持点間の距離を確保する必要があります。
- 具体的な数値は、2300-1表に記載されています。
2300-1表:電線の種類と間隔、離隔距離、支持点間の距離
電線の種類 | 電線相互の間隔 | 電線と建材との離隔距離 | 支持点間の距離 |
---|---|---|---|
DV電線、DE電線 | – | 3cm | 2m |
OW電線 | 20cm | 30cm | 15m |
上記以外の絶縁電線 | 2300-2表に規定する値 | – | 2m |
高圧屋側電線路とは?
高圧屋側電線路とは、高圧の電気を建物に引き込むために、建物の屋根や側面に沿って設置される電線路のことです。
高圧屋側電線路の設置条件
高圧屋側電線路は、以下のいずれかに該当する場合に限り、設置することができます。
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構内施設の一部として設置する場合
- 同一敷地内の建物への配線
- 同一基礎構造物上の複数の建物への配線
- 構造的に一体化した建物への配線
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構内専用の電線路の一部として設置する場合
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屋外の複数の電線路から受電する場合(引込線など)
高圧屋側電線路の設置ルール
高圧屋側電線路は、以下のルールに従って設置する必要があります。
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露出場所に施設すること
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メタルラス張りなどとの絶縁
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ケーブルを使用すること
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ケーブルに接触防護措置を施すこと
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ケーブルを造営材に取り付ける場合
- 支持点間の距離は2m以下(垂直に取り付ける場合は6m以下)
- 管またはトラフは造営材に堅固に取り付ける
- ケーブルの被覆を損傷しないように取り付ける
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造営材に沿わない場合は架空ケーブルの規定に準拠
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金属製部分にA種接地工事(接触防護措置を施す場合はD種接地工事)を施す
高圧屋側電線路と他の電線との離隔距離
高圧屋側電線路と、同一の造営材に施設される他の低圧電線、管灯回路配線、弱電流電線との離隔距離は、電気技術規程で定められた値を確保する必要があります
高圧屋側電線路と他の設備との離隔距離
高圧屋側電線路は、他の設備と適切な離隔距離を確保する必要があります。
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電線、光ファイバケーブル、金属製水管、ガス管との離隔距離
- これらの設備と接近または交差する場合は、15cm以上の離隔距離を確保する必要があります。
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その他の工作物との離隔距離
- 上記以外の工作物と接近する場合は、30cm以上の離隔距離を確保する必要があります。
- ただし、同一の造営物に施設される他の高圧屋側電線、架空電線、屋上電線は除きます。
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例外規定
- 耐火性のある堅ろうな隔壁を設ける場合
- 耐火性のある堅ろうな管に収めて施設する場合
上記の場合は、15cmまたは30cmの離隔距離を確保する必要はありません。