出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
地中電線路の表示
高圧の地中電線路には、以下の表示を施す必要があります。
-
物件の名称、管理者名、電圧を表示
- 需要場所に施設する場合は、物件の名称と管理者名を除く
-
おおむね2mの間隔で表示
- ただし、他人が立ち入らない場所や、当該電線路の位置が十分に認知できる場合は除く
地中電線路の埋設深さ
需要場所に施設する場合において、管径が200mm以下であって、2400-1表に示す管又はこれらと同等以上の性能を有する管を使用する場合は、以下の埋設深さとすることができます。
- 地表面(舗装がある場合は舗装下面)から0.3m以上
まとめ
- 高圧の地中電線路には、物件の名称、管理者名、電圧を表示する必要があります。
- 表示は、おおむね2mの間隔で施す必要があります。
- 需要場所に施設する場合、特定の条件を満たす場合は、埋設深さを0.3m以上とすることができます。
地中電線路の埋設深さ【管路式】
需要場所構内において、2400-1表に示す管を使用する場合、管路式の埋設深さは以下の通りです。
地中電線路の埋設深さ【暗きょ式】
地中電線路を暗きょ式により施設する場合、以下の点に注意する必要があります。
-
暗きょは、車両その他の重量物の圧力に耐えるものであること
-
防火措置を施すこと
-
地中電線に耐燃措置を施すこと
-
地中電線が、以下のいずれかに適合する被覆を有するものであること
- 建築基準法第2条第九号に規定される不燃材料で造られたもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること
- 電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈別表第一附表第二十一に規定する耐燃性試験に適合すること又はこれと同等以上の性能を有すること
-
地中電線を、延焼防止テープ、延焼防止シート、延焼防止塗料その他これらに類するもので被覆すること
-
地中電線を、以下のいずれかに適合する管又はトラフに収めること
- 建築基準法第2条第九号に規定される不燃材料で造られたもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること
- 電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈別表第二附表第二十四に規定する耐燃性試験に適合すること又はこれと同等以上の性能を有すること
-
-
地中電線路の設置ルール【暗きょ式】
-
暗きょ内に耐燃措置を施すこと
-
地中電線が、以下のいずれかに適合する被覆を有するものであること
- 建築基準法第2条第九号に規定される不燃材料で造られたもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること
- 電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈別表第一附表第二十一に規定する耐燃性試験に適合すること又はこれと同等以上の性能を有すること
-
地中電線を、延焼防止テープ、延焼防止シート、延焼防止塗料その他これらに類するもので被覆すること
-
地中電線を、以下のいずれかに適合する管又はトラフに収めること
- 建築基準法第2条第九号に規定される不燃材料で造られたもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること
- 電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈別表第二附表第二十四に規定する耐燃性試験に適合すること又はこれと同等以上の性能を有すること
- 日本電気技術規格委員会規格 JESC E7003(2005)「地中電線を収める管又はトラフの「自消性のある難燃性」試験方法」の「2. 技術的規定」に規定する試験に適合すること
-
-
暗きょ内に自動消火設備を施設すること
地中電線路の設置ルール【直接埋設式】
直接埋設式で地中電線路を施設する場合、埋設深さは以下の通りです。
- 車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所:1.2m以上
- その他の場所:0.6m以上
埋設深さの重要性
埋設深さは、地中電線路を外部からの衝撃や圧力から保護するために非常に重要です。適切な埋設深さを確保することで、地中電線路の損傷を防ぎ、安全な電力供給を維持することができます。
ケーブルを衝撃から防護するため、以下のいずれかにより施設すること
- ケーブルを、堅ろうなトラフその他の防護物に収めること
- 低圧又は高圧のケーブルを車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがない場所に施設する場合は、ケーブルの上部を堅ろうな板又はといで覆うこと
- ケーブルにCDケーブル (高圧のものに限る。)又はがい (鎧) 装を有するケーブルを使用すること
- ケーブルにパイプ形圧力ケーブルを使用し、かつ、ケーブルの上部を堅ろうな板又はといで覆うこと
まとめ
- 暗きょ式で施設する場合は、耐燃措置と自動消火設備の設置が必要です。
- 直接埋設式で施設する場合は、埋設深度とケーブルの防護に注意が必要です。
地中箱の施設
地中電線路に使用する地中箱は、以下のルールに従って施設する必要があります。
-
堅ろうで車両その他の重量物の圧力に耐える構造とすること
-
溜まり水を排除できる構造とすること
-
爆発性又は燃焼性ガスの侵入・爆発・燃焼のおそれがある場所で、大きさが1m²以上の地中箱には、通風装置などガスを放散させる装置を設けること
- ただし、爆発性又は燃焼性ガスの侵入のおそれがある場所には施設しないことが望ましい
-
ふたは取扱者以外の者が容易に開けられないように施設すること
図の解説
-
2400-2図:直接埋設式の埋設深さ説明図
- 直接埋設式の埋設深さについて、トラフに収める場合とケーブルを直接埋設する場合の図が示されています。
-
2400-3図:地中箱の施設例
- 地中箱の施設例として、排気孔のあるふたを用いた地中箱の図が示されています。
地中電線相互の接続
地中電線相互を接続する場合は、ケーブルの種類により、3165-5(ケーブルの接続)および3180-4(ケーブルの接続)の規定に準じて施設する必要があります。
地中電線の被覆金属体の接地
-
D種接地工事を施す必要があるもの
- 管、暗きょ、防護装置の金属製部分
- 金属製の電線接続箱
- 地中電線の被覆に使用する金属体
-
D種接地工事を施す必要がないもの
- ケーブルを支持する金物類
- 防食措置を施した部分
- 管路式で施設した部分における金属製の管路
地中弱電流電線への誘導障害の防止
地中電線路は、地中弱電流電線路に対して漏えい電流または誘導作用により通信上の障害を及ぼさないように、地中弱電流電線路から十分に離すなど、適切な方法で施設する必要があります。
まとめ
- 地中電線には、電圧の種類に応じたケーブルを使用する必要があります。
- 地中電線相互の接続は、ケーブルの種類に応じた規定に従って行う必要があります。
- 地中電線路の金属製部分には、D種接地工事を施す必要があります。
- 地中弱電流電線路への誘導障害を防止する必要があります。
地中電線と地中弱電流電線または地中光ファイバケーブルとの接近・交差
地中電線が地中弱電流電線または地中光ファイバケーブルと接近または交差して施設される場合は、以下のいずれかの方法で施設する必要があります。
-
離隔距離を30cm以上確保する
-
堅ろうな耐火性の隔壁を設ける
-
地中電線を堅ろうな不燃性または自消性のある難燃性の管に収め、直接接触しないように施設する
-
地中弱電流電線または地中光ファイバケーブルの管理者の承諾を得た場合
- 地中光ファイバケーブルが、不燃性または自消性のある難燃性の被覆を有する、または不燃性または自消性のある難燃性の管に収められていること
- 地中電線と地中弱電流電線または光ファイバケーブルとの離隔距離が0.1m以上であること
地中電線と他の地中電線等との接近・交差
低圧地中電線と高圧地中電線が接近または交差する場合は、以下のいずれかの方法で施設する必要があります。
-
離隔距離を15cm以上確保する
-
堅ろうな耐火性の隔壁を設ける
-
いずれかの地中電線が、不燃性の被覆を有する、または堅ろうな不燃性の管に収められていること
-
それぞれの地中電線が、自消性のある難燃性の被覆を有する、または堅ろうな自消性のある難燃性の管に収められていること
まとめ
- 地中電線と地中弱電流電線または地中光ファイバケーブルとの接近・交差には、離隔距離の確保、隔壁の設置、管の使用、管理者承諾などの方法があります。
- 低圧地中電線と高圧地中電線の接近・交差には、離隔距離の確保、隔壁の設置、ケーブルまたは管の材質などの方法があります。
地中電線と直流式電気鉄道の帰線との離隔
金属製地中管路が直流式電気鉄道の帰線のレール近接部分と接近または交差する場合は、以下のいずれかの方法で施設する必要があります。
-
金属製地中管路と帰線のレール近接部分との離隔距離を1m以上とする
- 帰線のレール近接部分とは、帰線用レール並びにレール間及びレールの外側30cm以内に施設する部分をいう
-
金属製地中管路と帰線のレール近接部分との間に不導体の隔離物を設け、電流が地中1m以上を通過しなければ、両者間を流通することができないようにする
- アスファルトと砂からなる厚さ6cm以上の絶縁物をコンクリートその他の物質で堅ろうに保護するとともに、き裂を生じないように施設したもの
- 上記と同等以上の絶縁性、耐久性、機械的強度を有するもの
地中電線と架空電線などとの接続
地中電線と架空電線、屋側電線などとの接続部分は、以下のいずれかの方法で施設する必要があります。
-
鉛被またはアルミ被のないケーブル相互、鉛被またはアルミ被のないケーブルと絶縁電線の場合
- 3165-5(ケーブルの接続)および3165-6(絶縁電線との接続)の規定を準用する
-
鉛被またはアルミ被のあるケーブル相互の場合
- 3180-4(ケーブルの接続)の規定を準用する
地中電線路の露出部分の防護
地中電線と架空電線などとの接続により地上に露出する地中電線は、以下のいずれかの方法で施設する必要があります。
-
ケーブルを交通に支障を及ぼすおそれがない位置に取り付ける
-
ケーブルを人が触れるおそれがある箇所、損傷を受けるおそれがある箇所に施設する場合は、その部分のケーブルを金属管、ガス鉄管、合成樹脂管などに収めるなどの防護方法を講じる
- 防護範囲は、地表上2m以上、地表下20cm以上とする
まとめ
- 地上露出する地中電線は、交通支障のない位置に取り付ける必要があります。
- 人が触れる可能性や損傷を受ける可能性がある場合は、金属管などで防護する必要があります。
- 防護範囲は、地表上2m以上、地表下20cm以上です。
(注)
- この記事は、電気技術規程・解釈に基づいた一般的な情報提供を目的としています。
- 実際の設置にあたっては、必ず専門家にご相談ください。
- 最新の情報については、関連法令をご確認ください。
(キーワード)
地中電線路、電気工事、電気技術規程、安全、設置ルール、表示、埋設深度、高圧