内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【041】|金属ダクト配線

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

金属ダクト配線とは?

金属ダクト配線とは、金属製のダクト(配線用管)の中に電線を通して配線する方法です。工場や倉庫などの屋内配線に用いられます。

電線

  1. 絶縁電線

    • 金属ダクト配線には、絶縁電線を使用する必要があります。
    • 絶縁電線の定義については、1100-1(用語)⑪(絶縁電線)を参照してください。
  2. 接続点の制限

    • 金属ダクト内では、電線に接続点を設けてはいけません。
    • ただし、電線を分岐する場合において、その接続点が容易に点検できるときは、接続点を設けることができます。

施設場所の制限

  • 金属ダクト配線は、屋内における乾燥した以下の場所に限り、施設することができます。
    • ① 露出場所
    • ② 点検できる隠ぺい場所
    • (注)上記の場所の床又は壁は、貫通して施設することができます。

ダクトの選定ルール

  1. ダクトの仕様

    • 金属ダクトは、以下の仕様を満たす必要があります。
      • ① 幅が5cmを超え、かつ、厚さが1.2mm以上の鉄板又はこれと同等以上の強さを有する金属製のものであって堅ろうに製作したものであること。
        • (注)コンクリート製の床に埋設して施設する金属ダクトの上ぶたの厚さが1.2mmの場合は、金属ダクトの幅が広いときには強度不足となるおそれがあるので上ぶたの厚さの選定に注意が必要です。
      • ② 内面は、電線の被覆を損傷するような突起がないものであること。
      • ③ 内面及び外面は、さび止めのためにめっき又は塗装で防錆処理を施したものであること。
  2. ダクトの大きさ

    • 絶縁電線を同一金属ダクト内に収める場合の金属ダクトの大きさは、電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が金属ダクトの内断面積の20%以下となるように選定する必要があります。
    • ただし、電光サイン装置、出退表示灯、その他これらに類する装置又は制御回路などの配線のみを収める場合は、50%以下となるように選定することができます。
    • (注1)同一金属ダクト内に収める電線は30本以下とすることが望ましいです。
    • (注2)多数の電線を施設した場合、その施設方法によっては、使用時の電線の温度が電線の許容温度以上となることがあるので注意が必要です。

施設方法のルール

  1. 金属ダクトの施設

    • ① 金属ダクトは、3m(取扱者以外の者が出入りできないように設備した場所で垂直に取り付ける場合は、6m)以下ごとの間隔で堅固に支持する必要があります。
    • ② 金属ダクトのふたは、容易にはずれないように、かつ、重量物の圧力により著しく変形しないように施設する必要があります。
    • ③ 金属ダクト相互は、堅ろうに、かつ、電気的に完全に接続する必要があります。
    • ④ 金属ダクトの内部には、じんあいが侵入し難いようにする必要があります。
    • ⑤ 金属ダクトの終端部は、閉そくする必要があります。
    • ⑥ 金属ダクトは、ダクトの内部に水が溜まるような低い部分を設けないように施設する必要があります。
  2. 禁止事項

    • 金属ダクト内には、接続端子を設けたり、照明器具を直接取り付けたり、放電灯用安定器を収めるなど電線の被覆を損傷するおそれがあるものを施設してはいけません。
  3. 垂直・傾斜施設

    • 金属ダクト配線を垂直又は傾斜して施設する場合は、電線の移動を防ぐため電線をクリート等で堅固に支持する必要があります。
  4. 貫通部分

    • 金属ダクト配線が床又は壁を貫通する場合は、金属ダクトを貫通部分で接続してはいけません。
  5. 電線の引き出し

    • 金属ダクト内の電線を外部に引き出す部分は、以下の通り施設する必要があります。
      • ① 金属ダクトの貫通部分で電線が損傷するおそれがないように施設する必要があります。
      • ② 電線の分岐点に張力が加わらないように施設する必要があります。

接地のルール

  1. 使用電圧300V以下の場合

    • ダクトには、D種接地工事を施す必要があります。
  2. 使用電圧300Vを超える場合

    • ダクトには、C種接地工事を施す必要があります。
    • ただし、接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施すダクトと電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は、D種接地工事によることができます。
  3. 異種回路との離隔

    • 強電流回路の電線と弱電流回路の弱電流電線を同一の金属ダクト内に収める場合は、隔壁を施設し、C種接地工事を施す必要があります。
    • または、弱電流電線に金属製の電気的遮へい層を有する通信ケーブルを使用し、当該遮へい層にC種接地工事を施す必要があります。

まとめ

  • 金属ダクト配線には、絶縁電線を使用します。
  • 原則として、金属ダクト内には電線の接続点を設けてはいけません。
  • 施設場所は、屋内の乾燥した露出場所または点検できる隠ぺい場所に限定されています。
  • 安全な電気環境のために、電気工事の専門家にご相談ください。

(注)

  • この記事は、電気技術規程・解釈に基づいた一般的な情報提供を目的としています。
  • 実際の設置にあたっては、必ず専門家にご相談ください。
  • 最新の情報については、関連法令をご確認ください。

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