出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
⚡系統連系型小出力燃料電池・電池設備とは?【定義と適用範囲の解説】
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、「系統連系型小出力設備」の需要が高まっています。ここでは、燃料電池や蓄電池を使って発電した電力を、電力会社の系統(配電線)に接続して利用する「系統連系型小出力燃料電池発電設備」および「系統連系型小出力電池設備」について解説します。
🔍定義|系統連系型小出力設備とは?
系統連系型小出力燃料電池発電設備および系統連系型小出力電池設備とは、
▶ 燃料電池または蓄電池で発電した電力を、電力会社の配電系統に接続して使用する設備
のことを指します。これにより、家庭や事業所で発電した電力を自家消費するだけでなく、余剰電力を売電することも可能になります。
🛠️適用範囲|どの部分に適用されるか?
本節の基準は、以下のような設備に対して適用されます。
✅対象設備
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系統連系型の小出力燃料電池発電設備
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系統連系型の小出力電池設備(蓄電池等)
✅対象範囲
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燃料電池または電池から
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直流変換装置(例:パワーコンディショナ)
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を経由して、引込口装置(主幹ブレーカー等)に至るまでの配線・機器
⚡対地電圧の制限
安全確保のため、燃料電池や電池に接続される電路には以下の制限が設けられています。
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✅ 対地電圧は150V以下であること
これは感電リスクや設備破損の防止を目的とした基準であり、特に住宅用・小規模設備で重要なポイントです。
1.燃料電池発電設備の配線方法
🔌基本的な配線
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ケーブル配線が原則として推奨されます。
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乾燥した環境であれば、「表3501-1」に記載された配線方法も適用可能です。
⚡直流側の配線
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短絡保護のため、過電流遮断器などの設置が必要です。
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ただし、**短絡電流が小さい設備(例:燃料電池)**は、例外的にこの限りではありません。
🔁交流回路の配線
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専用回路として設計し、過電流遮断器により確実に保護します。
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燃料電池発電設備に至る回路には、識別表示を明確に行い、メンテナンス性を高めましょう。
2.配線に関する注意事項
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パワーコンディショナから配線盤までの配線には、十分な絶縁・配線保護を施してください。
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逆流防止装置については、資料「3-5」を参照すること。
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系統からの早期停止が必要な場合、中性線の最大電流に注意し、3線とも過電流遮断機能を有する遮断器の設置を検討します(資料「3-6」参照)。
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漏電遮断器を燃料電池発電回路に設ける場合、スイッチOFF状態でも感電リスクを考慮し、微弱電流に対する対策を行う必要があります。
3.燃料電池発電設備の保護装置・安全対策
🛡️保護装置の設置基準
燃料電池設備では、次の保護装置の設置が義務付けられます。
保護装置 | 目的 |
---|---|
✅燃料ガス漏えい検知装置 | ガス漏えいを自動検知して早期対応 |
✅燃料ガス自動遮断装置 | 漏えい時にガス供給を自動停止 |
✅警報装置 | 異常時に関係者へ即時通知 |
4.電気室における安全対策
燃料電池の電気室には、以下の安全装置が必要です。
装置名 | 機能 |
---|---|
✅異常気圧検知装置 | 室内の気圧異常を検知し、ガス漏れを防止 |
✅異常温度上昇検知装置 | 室内温度の異常上昇を検知し、発火リスクを低減 |