技術図書館特殊な電線路は環境ごとに節が違うトンネル内、水上、水底、橋、がけ。この5つは、それぞれ別の節に従って施設するこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:電気設備の技術基準の解釈 第126条・第127条・第129条〜第131条・解釈の解説

「その他の電線路」は、トンネル内・水上・水底・橋・がけなど、特殊な環境に設ける電線路です。押さえるポイントは 「5つの場所と解釈の条文/場所ごとの主な決まり」 です。

特別な場所の電線路 トンネル・水上・水底・橋・がけなど。
場所ごとに、解釈の条文がある 第126条から第131条です。
電線・方法・数値を確かめる 使える電線と工事、高さや離隔。
がけは、施設できる場合も 技術上やむを得ない場合に限ります。
ペン太ペン太
トンネルや水の中にも電線路を通すことがあるんですね。
ハリタハリタ
そう、特別な場所ごとにルールがあるんだ。トンネル内・水上・水底・橋・がけで、電技解釈の第126条〜第131条にそれぞれ決まりがある。使える電線や高さ・離隔が場所で変わるよ。

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ペン太ペン太
トンネルとか水底の電線路まであるんですね。全部同じ基準で施設できるんですか?
ハリタハリタ
場所ごとに、電技解釈の別の条文に従います。トンネル内・水上・水底・橋・がけの5つです。

この記事で押さえる3つのこと

  • その他の電線路は、トンネル内・水上・水底・橋・がけなど。解釈の第126条〜第131条で決まる。
  • 水上は低圧か高圧だけ。水底は損傷のおそれがない場所に、がい装ケーブルなどで。
  • 橋の上面は路面上5m以上。がけは技術上やむを得ない場合に限る。
この記事の道案内
電気設備の技術基準の解釈にそって、その他の電線路の決まりを3つの視点で整理します。
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① 5つの場所と解釈の条文

場所 解釈の条文 主な決まり
トンネル内 第126条 人が常時通行するトンネルの低圧:がいし引きは高さ2.5m以上か、管・ケーブル工事。その他のトンネルの低圧はケーブル工事
水上 第127条第1項 低圧か高圧だけ。キャブタイヤケーブルを浮き台で支える。接続点の高さは127-1表
水底 第127条第2項 損傷を受けるおそれがない場所に、がい装ケーブルや堅ろうな管に収めたケーブル
橋 第129条 上面は路面上5m以上。低圧のがいし引きは造営材と0.3m以上
電線路専用橋等 第130条 低圧はケーブル・キャブタイヤケーブル、1構内だけならバスダクト工事も
がけ 第131条 技術上やむを得ない場合に限る。支持点間15m以下・接触防護措置
  • トンネル内電線路:解釈第126条
  • 水上電線路・水底電線路:第127条
  • 橋に施設する電線路:第129条(電線路専用の橋やパイプスタンドは第130条)
  • がけに施設する電線路:第131条(低圧・高圧)
たとえるなら
場所ごとの条文は、山・海・川で変わる登山やキャンプの決まりのようなもの
キャンプでも、山・海・川で守る決まりや持ち物が変わりますよね。電線路も、トンネル内・水上・水底・橋・がけと場所が変わると、電技解釈の別の条文(第126条〜第131条)で、使える電線や高さが決まっています。
ここに注意!
「根拠は、配電規程の515〜545節」ではありません。
この記事では、確かめられる一次資料として、電気設備の技術基準の解釈を使います。トンネル内は第126条、水上・水底は第127条、橋は第129条、電線路専用橋等は第130条、がけは第131条です。
ここに注意!
「その他の電線路も、ふつうの電線路と同じ決まり」ではありません。
場所ごとに、使える電線、工事の方法、高さや離隔が別に決まっています。たとえば橋の上面は路面上5m以上、人が常時通行するトンネルの低圧がいし引きは高さ2.5m以上です(解釈第126条・第129条)。
ペン太ペン太
水底のケーブルって、沈めておけばどれでもいいんですか?
ハリタハリタ
いいえ。損傷を受けるおそれがない場所に、がい装を施したケーブルや、堅ろうな管に収めたケーブルなどを使います。
ここまでのポイント
  • その他の電線路は、トンネル内・水上・水底・橋・がけなど。
  • トンネル内は解釈第126条による。
  • 水上・水底は第127条による。
  • 橋は第129条(専用橋等は第130条)、がけは第131条による。


② 場所ごとの主な決まり

人が通るトンネルの低圧 がいし引きなら高さ2.5m以上。
管やケーブルの工事も可 合成樹脂管・金属管・可とう管・ケーブル。
高圧は、第111条第2項 専用トンネルは、がいし引き3m以上も。
その他のトンネルは、ケーブル工事 低圧電線の決まりです。

トンネル内電線路(第126条)

  • 人が常時通行するトンネルなどの低圧は、がいし引き工事(2.30kN以上か2.6mm硬銅線の絶縁電線・高さ2.5m以上)、合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブル工事のいずれか
  • 高圧は第111条第2項に準じる。鉄道・軌道・自動車道の専用トンネルでは、がいし引き(5.26kN以上か4mm硬銅線・高さ3m以上)の方法も
  • 人が常時通行するトンネルなど以外のその他のトンネルの低圧は、ケーブル工事だけ
水上は、低圧か高圧だけ キャブタイヤケーブルを浮き台で支えます。
接続点は、水面上4m・5m以上 低圧4m、高圧5m。道路上は5m。
電源側に、専用の遮断器 高圧は地絡遮断装置も。
水底は、がい装ケーブルなど 堅ろうな管に収める方法も。

水上電線路・水底電線路(第127条)

  • 水上電線路は低圧か高圧だけ。低圧は3種・4種のキャブタイヤケーブル、高圧は高圧用のキャブタイヤケーブルを、鎖等で連結した浮き台の上で支える
  • 架空電線路との接続点は、水が浸入しないようにして支持物に取り付け、高さは127-1表(水面上は低圧4m・高圧5m、道路上は5m)以上
  • 水上電線路に接続する架空電線路には、専用の開閉器と過電流遮断器を各極に施設し、高圧なら地絡遮断装置も
  • 水底電線路は、損傷を受けるおそれがない場所に施設し、がい装を施したケーブルや、堅ろうな管に収めたケーブルなどを使う
たとえるなら
水上電線路の浮き台は、プールのコースロープのようなもの
プールのコースロープは、浮きをつなげて水面に浮かべていますよね。水上電線路も、キャブタイヤケーブルを、鎖等で強固に連結した浮き台の上で支えて施設します。
ここに注意!
「水上なら、どの電圧でも施設できる」ではありません。
水上電線路の使用電圧は、低圧又は高圧に限られます。電線は低圧なら3種・4種のキャブタイヤケーブル、高圧なら高圧用のキャブタイヤケーブルで、浮き台の上で支えて施設します(解釈第127条第1項)。
ここに注意!
「水底に沈めれば、どのケーブルでもよい」ではありません。
水底電線路は、損傷を受けるおそれがない場所に施設し、電線は亜鉛めっき鉄線などでがい装を施したケーブルや、堅ろうな管に収めたケーブルなどとします(解釈第127条第2項)。
橋の上面は、路面上5m以上 低圧・高圧・特別高圧とも。
低圧のがいし引きは、0.3m以上 2.30kN以上か2.6mm硬銅線。
架空ケーブルは、0.15m以上 高圧の架空ケーブルなら0.3m以上。
電線路専用橋は、第130条 ケーブルやバスダクト工事などで。

橋・電線路専用橋等(第129条・第130条)

  • 橋の上面に施設するときは、電線路の高さを路面上5m以上
  • 低圧のがいし引きは、2.30kN以上か2.6mm硬銅線の絶縁電線で、造営材と0.3m以上。架空ケーブルは0.15m以上(高圧の架空ケーブルは0.3m以上)
  • 電線路専用の橋・パイプスタンドなどは第130条。低圧はケーブルやキャブタイヤケーブル、1構内だけならバスダクト工事も
ここに注意!
「橋なら、造営材に沿わせればよい」ではありません。
橋の上面に施設するときは、電線路の高さを路面上5m以上にします。低圧のがいし引きは造営材と0.3m以上、架空ケーブルは0.15m以上離します(解釈第129条第1項)。
技術上やむを得ない場合に限る 建造物の上や、道路等との交差は不可。
支持点間は、15m以下 金属製腕金類にがいしで支持。
電線に、接触防護措置 損傷のおそれには防護装置。
高圧を上に、0.5m以上 低圧と高圧を同じがけに施設するとき。

がけに施設する電線路(第131条)

  • 低圧・高圧は、技術上やむを得ない場合に限る。建造物の上、道路・鉄道などとの交差、鉄道や架空電線などとの3m未満の接近は不可
  • 支持点間の距離は15m以下。ケーブル以外は、がけに堅ろうに取り付けた金属製腕金類にがいしで支持し、電線に接触防護措置
  • 同じがけに低圧と高圧を施設するときは、高圧を上にし、0.5m以上離す
たとえるなら
がけの電線路は、どうしても通れないときの迂回路のようなもの
険しいがけ沿いの道は、ほかに道がないときだけ使いますよね。がけに施設する電線路も、技術上やむを得ない場合に限り、建造物の上や道路との交差などを避け、支持点間15m以下・接触防護措置で施設します。
ここに注意!
「がけにも、ふつうに施設できる」ではありません。
がけに施設する低圧・高圧の電線路は、技術上やむを得ない場合に限られます。建造物の上に施設する場合、道路や鉄道などと交差する場合、鉄道や架空電線などと水平距離3m未満に接近する場合は施設できません(解釈第131条第1項)。
取り違えやすいところ 正しくは
根拠は配電規程の515〜545節 この記事では解釈の第126条〜第131条で確かめる
ふつうの電線路と同じ決まり 場所ごとに電線・工事・高さや離隔が別に決まる
水上ならどの電圧でもよい 水上電線路は低圧か高圧だけ
水底に沈めればどのケーブルでもよい がい装ケーブルや堅ろうな管に収めたケーブルなど
橋なら造営材に沿わせればよい 上面は路面上5m以上、造営材との離隔も決まっている
がけにもふつうに施設できる 技術上やむを得ない場合に限る(低圧・高圧)
ここまでのポイント
  • トンネル内の低圧がいし引きは高さ2.5m以上。その他のトンネルはケーブル工事。
  • 水上は低圧か高圧だけ。キャブタイヤケーブルを浮き台で。
  • 水底は、がい装ケーブルや堅ろうな管に収めたケーブル。
  • 橋の上面は路面上5m以上。
  • がけは技術上やむを得ない場合に限り、支持点間15m以下。


よくある質問(FAQ)

Q1. その他の電線路とは? トンネル・水上・水底・橋・がけなど。
Q2. どの規程に従う? 電技解釈の第126〜131条。
Q3. 何を確かめる? 電線・工事の方法・高さや離隔。
Q4. がけにも施設できる? やむを得ない場合に限り、低圧・高圧。

Q. その他(特殊)の電線路とは?

A. トンネル内、水上、水底、橋、がけなど、特別な場所に施設する電線路のことです。電線路専用の橋やパイプスタンドに施設するものもあります。場所ごとに、電気設備の技術基準の解釈に条文があります。

Q. 特殊な電線路はどの規程に従うの?

A. 電気設備の技術基準の解釈では、トンネル内電線路は第126条、水上電線路と水底電線路は第127条、橋に施設する電線路は第129条、電線路専用橋等は第130条、がけに施設する電線路は第131条で決まっています。

Q. 特殊な電線路で注意することは?

A. 場所ごとに、使える電線、工事の方法、高さや離隔の数値が決まっています。たとえば橋の上面は路面上5m以上、水上電線路は低圧か高圧だけ、水底電線路はがい装ケーブルなど、がけは技術上やむを得ない場合に限られます。

Q. がけに電線路を施設できる?

A. 低圧・高圧の電線路は、技術上やむを得ない場合に限り施設できます。建造物の上や、道路・鉄道などと交差する場所などには施設できません。支持点間15m以下、電線に接触防護措置を施し、低圧と高圧を同じがけに施設するときは高圧を上にして0.5m以上離します(解釈第131条)。

まとめ|場所ごとに、解釈の条文を開く

その他の電線路は、場所ごとに電技解釈の条文(第126条〜第131条)を開き、使える電線・工事の方法・高さや離隔を確かめるという考え方で整理できます。

場所 条文 まず確かめること
トンネル内 第126条 人が常時通行するか。低圧の工事と高さ2.5m
水上 第127条第1項 低圧か高圧か。キャブタイヤケーブルと浮き台
水底 第127条第2項 がい装ケーブルか、堅ろうな管か
橋 第129条 上面は路面上5m以上。造営材との離隔
電線路専用橋等 第130条 電線の種類(ケーブル・キャブタイヤ・バスダクト)
がけ 第131条 技術上やむを得ないか。支持点間15m以下

種類を確かめるときに押さえること

  • トンネル内・水上・水底・橋・がけのどれにあたるか。
  • 対応する解釈の条文(第126条〜第131条)。

電線と工事で押さえること

  • 水上はキャブタイヤケーブル、水底はがい装ケーブルなど。
  • その他のトンネルの低圧はケーブル工事。
  • がけはケーブル以外を金属製腕金類とがいしで。

高さ・離隔で押さえること

  • トンネルの低圧がいし引きは2.5m以上、橋の上面は路面上5m以上。
  • 水上の接続点は水面上4m(高圧5m)以上。
  • がけの低圧と高圧は、高圧を上に0.5m以上。

特殊な電線路は施工件数こそ多くありませんが、いったん不具合が起きると復旧が難しい場所ばかりです。設計の初期に場所を決め、その場所の条文で電線・工事・数値を確かめておくと、あとからの手戻りを防げます。

ペン太ペン太
実務でこの5種類に出会ったら、まず何を引けばいいですか?
ハリタハリタ
その場所の条文です。電技解釈の第126条から第131条まで場所ごとに条文があるので、上の表で確認しましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。