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内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【092】|電気温床などの施設

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

🌱電気温床の施設基準と安全対策

寒冷地や育苗施設などで使用される「電気温床」は、作物や動物の生育環境を保つ重要な設備です。しかし、発熱線による火災や感電リスクも伴うため、正しい施設基準と安全対策が求められます。本記事では、電気温床の施工・配線・保護・接地の基準を体系的に解説します。


🔍電気温床とは?

電気温床とは、植物の栽培や動物の飼育を目的に、土壌や空気を電気の力で加温する設備です。発熱線によって地温・空気温を一定に保つことで、生育を促進します。


⚡使用電圧の上限

電気温床に電気を供給する電路および発熱線の使用電圧は300V以下と定められています。
安全性の確保(感電・過熱対策)のための基本条件です。


🔌配線の基準と安全対策

✅電線の太さ

電線は、電流容量に見合った太さを確保する必要があります。

電線の種類 最小径
銅線 1.6mm以上
半硬アルミ線 2.3mm以上
硬アルミ線 2.0mm以上

配線方法や電流によって適切なサイズを選定してください。


✅架空配線の安全対策

  • 電線は地上2.5m以上の高さに設置

  • 丈夫な支持物を使用し、人が触れられないように保護


✅配線の保護方法

  • 人が容易に触れない場所に設置

  • 露出箇所は合成樹脂管などに収めて保護

  • 接続部は専用ボックスに収納し、絶縁・耐熱処理を実施


🔥発熱線の設置基準

✅使用可能な発熱線

  • MIケーブル

  • ビニルキャブタイヤケーブル(JIS等規格に適合)

被加熱物と直接接触する場合を除き、上記のような安全性の高い発熱線が必要です。


✅温度と防護

  • 発熱線の温度は90℃以下を維持

  • 損傷防止のため、堅牢なカバーや保護材で覆う


✅他設備への影響防止

  • 弱電ケーブル、光ファイバー、水道・ガス管等への熱的・磁気的・電気的干渉を避けて設置


✅接続と設置上の注意点

項目 内容
接続部の扱い 口出し線以外での接続は禁止
接続方法 接続管またはろう付けによる確実な接続
設置方法の例 空中(がいし支持)、コンクリート内(保護管に収める)、地中・水中(電線路基準準拠)
設置間隔 発熱線間の接触防止、加熱物との適切な距離確保

⚙️開閉器および過電流遮断器の設置

  • 各回路に専用の開閉器・過電流遮断器を設置

  • 開閉機能付きの過電流遮断器を使用する場合は、開閉器の省略可

  • 過電流遮断器は常設必須


🧯漏電遮断器と警報器の設置

✅基本ルール

  • 発熱線に電気を供給する電路には漏電遮断器を原則設置

✅例外ケース

例外条件 内容
特定基準に基づく設置 技術基準3540-3の3項/4項に該当
30V以下かつ乾燥場所 感電リスクが低い環境
その他例外 技術基準3540-3の6項 ただし書に準拠

✅漏電遮断器の仕様

項目 基準値
感度電流 15mA以下
動作時間 0.1秒以内
種別 電流動作形

▶ 漏電遮断器の設置が難しい場合は、漏電火災警報器の設置が必須です。


🧷接地工事とその省略条件

✅基本原則

  • 金属製部分にはD種接地工事を実施

✅省略可能な条件(全て満たす必要あり)

  • 関係者以外が立ち入れない

  • 乾燥した場所に設置

  • 箱内で発熱線間隔10cm以上

  • 加熱物と箱壁面の離隔が1.5cm以内(最低1cm確保)


📌その他の安全上の注意点

  • 火災の原因となる布・紙で発熱線を覆うのは禁止

  • 可燃物(木材・わら・綿など)付近への設置も禁止

  • 支持点間隔は1m以内が原則(6cm以上間隔がある場合は緩和)


✅まとめ:電気温床の安全な設置と運用のポイント

項目 要点
使用電圧 300V以下
発熱線の温度管理 90℃以下・防護措置必須
接続方法 ろう付け or 接続管、口出し線以外禁止
配線 適正サイズ・防護措置・人が触れない場所に設置
遮断器類 過電流遮断器・開閉器の設置(条件付き省略可)
接地工事 原則D種、条件次第で省略可
漏電対策 漏電遮断器 or 漏電火災警報器が必須
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