出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
この記事に書かれていること

住宅の屋内電路 (電気機械器具内の電路を除く。)の対地電圧は 150V以下とする
- 定格消費電力が 2kW以上の電気機械器具及びこれに電気を供給する屋内配線を次により施設する場合
- 当該住宅以外の場所に電気を供給するための屋内配線を次により施設する場合
- 太陽電池モジュール接続する負荷側の屋内配線を次により施設する場合
住宅や施設の「対地電圧150V以下」の原則とは?|例外条件と設置基準も解説
電気の安全設計では、「対地電圧」という考え方がとても大切です。
特に住宅など、人が長時間過ごす場所では、感電などのリスクを減らすために屋内配線の電圧を制限するルールがあります。
この記事では、内線規程1300節に基づいて、住宅や施設で守るべき対地電圧の制限と例外的な取り扱いについてわかりやすく解説します。
✅ 対地電圧とは?
🔌 なぜ「地面」との電圧を気にするの?
私たちが生活している建物や地面は、基本的に**“電気的にゼロ(0V)”の基準とされています。
この「地面」と比べて、電線や金属部分にどれくらいの電圧があるか**を測ることで、感電や漏電の危険性を把握できます。
🧍♂️ 人が感電するのは「対地電圧」が原因
例えば、人が濡れた手で金属部分に触れて感電する場合、
電気は「電線 → 人の体 → 地面」へと流れます。
このとき流れる電圧が 対地電圧です。
✅ だから対地電圧の制限がある!
感電リスクを下げるため、住宅や浴室などの人が触れる場所では、
150V以下に制限されているのが一般的です(内線規程より)。
🔌 【基本ルール】住宅の屋内配線は150V以下
🔹 原則
-
住宅の屋内配線(電気機器内を除く)は、対地電圧150V以下としなければなりません。
📌 赤ちゃんからお年寄りまで安心して暮らせるように、住宅では低い電圧で安全性を高めています。
⚠️ ただし、条件を満たせば150Vを超えてもOKな場合もあります。
以下に、150Vを超える使用が認められる例外条件を紹介します。
【ケース別】150V超の対地電圧が許される例
① 定格消費電力が2kW以上の電気機械器具
条件 | 内容 |
---|---|
使用電圧 | 最大300VまでOK |
配線 | 専用回路であること |
接触防護 | 電線や機器に簡易接触防護を設ける(絶縁材料など) |
回路 | 開閉器・過電流遮断器・漏電遮断器を設置すること |
② 定格消費電力が2kW未満の電気機器
-
原則通り、対地電圧150V以下のまま設置します。
③ 住宅以外(店舗・工場・事務所など)の屋内配線
-
対地電圧は300V以下まで許可されます。
-
人が触れないように、金属管・合成樹脂管・ケーブルなどで隠ぺい施設を行います。
④ 太陽光発電システム(太陽電池モジュール)
項目 | 内容 |
---|---|
対地電圧 | 直流450V以下まで許可 |
安全装置 | 地絡時に自動遮断する装置を設置すること |
配線方法 | 隠ぺいまたはケーブル配線で安全措置をとること |
⑤ 住宅以外に設置された家庭用電気機器
-
原則150V以下
-
ただし条件により300V以下も可(旅館・店舗など)
💡 白熱電灯についての注意
白熱電球への配線も原則として対地電圧150V以下。
ただし、特定の安全条件を満たせば300V以下も可能です。
✅ まとめ|150V制限の背景と設計時の注意点
ポイント | 内容 |
---|---|
基本原則 | 住宅では対地電圧150V以下が原則 |
例外条件 | 消費電力が2kW以上/住宅以外の建物/太陽光発電など |
安全対策 | 接触防止・専用回路・漏電遮断器の設置が必須 |
設計のヒント | 消費電力と使用場所によって対地電圧の制限が異なるので確認が重要 |
出典:内線規程(JEAC8001-2022)より
電気の安全設計には、**「場所」「用途」「消費電力」**の3つの視点が欠かせません。
本記事を参考に、安心・安全な配線設計を心がけましょう!