出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
がいし引き配線とは?
がいし引き配線とは、がいしという絶縁体を用いて電線を建物などに固定し、配線する方法です。比較的安価で施工できるため、工場や倉庫などでよく用いられます。
がいし引き配線に使用できる電線
がいし引き配線に使用できる電線は、原則として絶縁電線です。ただし、以下の場合は例外的に裸電線を使用できます。
- 電気炉周辺など高温になる場所、電線被覆が腐食する場所、取扱者以外立ち入り禁止場所に施設する場合
- 特別低電圧照明回路施設の場合
- 電気さく施設の場合
使用できない絶縁電線
がいし引き配線に使用できない絶縁電線は、DV電線とDE電線です。これらの電線は、がいし引き配線には適さないため、使用は禁止されています。
絶縁電線の定義
絶縁電線の定義については、1100-1(用語)⑪(絶縁電線)を参照してください。
まとめ
- がいし引き配線に使用できる電線は、原則として絶縁電線です。
- 例外的に裸電線を使用できる場合があります。
- DV電線とDE電線は、がいし引き配線に使用できません。
- 安全な電気環境のために、電気工事の専門家にご相談ください。
(キーワード)
がいし引き配線、電線、絶縁電線、裸電線、DV電線、DE電線、電気工事、電気技術規程、安全
がいし引き配線に使用できる絶縁体
がいし引き配線に使用できる絶縁体は、以下の条件を満たす必要があります。
- 絶縁性
- 難燃性
- 耐水性
絶縁体と電線太さの関係
絶縁体と電線太さの関係は、3105-1表を参照してください。
注意点
- 3105-1表は、配電盤、分電盤などの配線には適用されません。
まとめ
- がいし引き配線に使用できる絶縁体は、絶縁性、難燃性、耐水性が必要です。
- 絶縁体と電線太さの関係は、3105-1表を参照してください。
- 安全な電気環境のために、電気工事の専門家にご相談ください。
(キーワード)
がいし引き配線、絶縁体、がいし、電線太さ、電気工事、電気技術規程、安全
がいし引き配線に使用できる保護管
がいし引き配線に使用できる保護管(がい管、合成樹脂管など)は、以下の条件を満たす必要があります。
- 絶縁性
- 難燃性
- 耐水性
- 端口及び内面が電線の被覆を損傷しないようななめらかさ
保護管の施設方法
-
保護管の固定
- 保護管が移動できる状態にある場合は、がいしを取り付けるか、電線にバインド線やテープを巻き付け、保護管が移動しないように固定します。
-
保護管の継ぎ目
- やむを得ず2本以上の保護管を継いで使用する場合は、継ぎ目をテープで巻き、互いに離れないようにします。
-
割りがい管、折ったがい管
- 割りがい管は、やむを得ない場合を除き、使用しません。また、折ったがい管も使用しません。
-
引込口など雨線外
- 引込口など雨線外で使用する保護管は、雨水の浸入を防ぐため外側を下向きにし、電線を下方に湾曲させます。
保護管への電線通線
-
電線の方向
- 電線に外力が加わらないよう、かつ、端口で被覆を損傷しないよう、電線の方向を保護管の中心方向に一致させます。
-
がいしによる支持
- 技術上やむを得ず上記が難しい場合は、保護管の両端で電線をがいしで支持します。
-
がいしまでの距離
- 上記の場合、保護管端からがいしまでの距離は、電線長さで20cm以下とします。ただし、家屋外壁貫通の外側に限り、60cmまで可能です。
まとめ
- がいし引き配線に使用できる保護管は、絶縁性、難燃性、耐水性が必要です。
- 保護管は、適切に固定し、継ぎ目はテープで巻き、雨水の浸入を防ぐ必要があります。
- 保護管への電線通線は、電線被覆を損傷しないよう、かつ、電線に外力が加わらないように行う必要があります。
- 安全な電気環境のために、電気工事の専門家にご相談ください。
(キーワード)
がいし引き配線、保護管、がい管、合成樹脂管、絶縁性、難燃性、耐水性、電線被覆、電気工事、電気技術規程、安全
絶縁電線のバインド
-
バインド線
- バインド線は、銅または鉄の心線に被覆を施したものを使用します。
- 亜硫酸ガスなどの腐食性ガス、湿気・水気の多い場所、塩害を受ける場所では、銅バインドまたは銅覆鋼バインドを使用します。
-
バインド線と電線太さの関係
- バインド線と電線の太さの関係は、3105-3表を参照してください。
バインドの方法
- 絶縁電線とバインド線の被覆を損傷せず、電線が緩まないよう確実に行います。
がいし引き配線の施設方法
-
施設場所と防護措置
- 施設場所に従い、以下のいずれかの方法で施設し、簡易接触防護措置(300V超は接触防護措置)を施します。
- 屋内露出場所
- 屋内点検できる隠ぺい場所
- 屋側・屋外300V以下(露出・点検できる隠ぺい場所)
- 屋側・屋外300V超(露出場所)
- 施設場所に従い、以下のいずれかの方法で施設し、簡易接触防護措置(300V超は接触防護措置)を施します。
-
電線の支持と保護
- 電線はがいしで支持し、造営材などに触れる箇所は、がい管または合成樹脂管に収めます。
- やむを得ない場合は、厚さ1.0mm以上の軟質ビニル管などで保護します。
まとめ
- バインド線は、施設場所に応じて適切な種類を選定し、3105-3表に従って太さを決めます。
- バインドは、被覆を損傷せず、緩まないよう確実に行います。
- がいし引き配線は、施設場所に応じて適切な防護措置を施し、電線を適切に支持・保護します。
(キーワード)
がいし引き配線、バインド、絶縁電線、バインド線、施設方法、防護措置、電気工事、電気技術規程、安全
絶縁電線の造営材貫通
-
原則
- 絶縁電線が造営材を貫通する場合は、電線ごとに別個の難燃性・耐水性のある堅ろうな物(がい管、合成樹脂管など)で絶縁します。
-
メタルラス張りなど
- メタルラス張り、ワイヤラス張り、金属板張りの木造建造物を貫通する場合は、上記に加え、3102-8(メタルラス張りなどの絶縁)に従います。
-
がい管(合成樹脂管)への収容本数
- 1本のがい管(合成樹脂管)に2本以上の電線を収容してはいけません。
その他の絶縁管
-
300V以下、乾燥した場所(点検できない隠ぺい場所を除く)
- やむを得ない場合は、厚さ1.0mm以上の軟質ビニル管などの絶縁管をがい管(合成樹脂管)の代用とすることができます。
- ただし、メタルラス張りなどを貫通する場合は、軟質ビニル管の代用は認められません。
配線方法
- がいし引き配線は、造営材の下面または側面に取り付け、3105-4表に従って施設します。
- やむを得ない場合は、造営材の上面に取り付けることができます。
まとめ
- 絶縁電線が造営材を貫通する場合は、電線ごとに別個の保護管で絶縁します。
- メタルラス張りなどを貫通する場合は、追加の絶縁措置が必要です。
- 300V以下、乾燥した場所では、軟質ビニル管などの絶縁管を代用できます。
電線支持点間の距離
-
使用電圧300V以下
- 造営材に沿って取り付ける場合は、2m以下とします。
- ノップなどを使用し、はりから次のはりに飛ばす場合は、6m以下とします。
-
使用電圧300V超過
- 造営材に沿って取り付ける場合は、2m以下とします。
- ノップなどを使用し、はりから次のはりに飛ばす場合は、6m以下とします。
-
電線相互間距離の延長
- 直径2mmの硬銅線などを使用し、ピンがいしなどを用いる場合は、電線相互間の距離を大きくし、電線支持点間の距離を伸ばすことができます。
- この場合、ノップ2個で電線に近接させて支持(ダブルノップ)、または2個のノップで電線を挟んで支持(はさみノップ)してもよいです。
造営材貫通部の保護管
- 電線が造営材を貫通する場合、がい管(合成樹脂管)などの両端は、造営材から1.5cm以上突き出す必要があります。
まとめ
- がいし引き配線は、造営材の下面または側面に取り付け、適切な離隔距離を確保する必要があります。
- 電線支持点間の距離は、使用電圧や電線の種類によって異なります。
- 造営材貫通部の保護管は、造営材から1.5cm以上突き出す必要があります。
(注)
- この記事は、電気技術規程・解釈に基づいた一般的な情報提供を目的としています。
- 実際の設置にあたっては、必ず専門家にご相談ください。
- 最新の情報については、関連法令をご確認ください。