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はじめまして、ハリタといいます。 電気設備の計画や設計、むずかしいと感じたことはありませんか? 「先輩に聞けない」「相談できる人がいない」 ――そんな悩みを抱える方の力になりたくて、このサイトを立ち上げました。 現場で迷ったとき、ふと立ち寄ってヒントが得られるような、そんな場所を目指しています。 あなたのモヤモヤが少しでも晴れることを願って――どうぞよろしくお願いします。
内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【111】|電気自動車等を充電するための設備等の施設

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

🚗🔌電気自動車の充電設備、安全に設置できてますか?基準と注意点をやさしく解説!

見習いペン太
見習いペン太
ねえはりた〜!最近うちにもEV充電器つけようって話が出てるんだけど、安全面ってどう考えればいいの?

はりた
はりた
いいねペン太!電気自動車(EV)を安全に充電するには、ちゃんと基準を守った設備にすることが大事なんだよ。


🔧 電気自動車を充電する設備とは?

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)などの電動車両に電気を供給するための設備です。

主に住宅や事務所、商業施設の敷地内に設けられ、安心・安全に充電するための専用配線とコンセントが求められます。


📌 適用範囲は?

この記事の内容は以下に該当するケースに適用されます。

  • 一般用電気工作物に設置するEV充電設備

  • 最大充電電流が交流10Aを超える普通充電回路(それ以下は別の基準が準用されます)


⚡ 対地電圧に関する安全ルール

1. 屋内配線の場合

屋内配線の対地電圧は1300-1に基づき150V以下で設計します。
→ 感電リスクを抑えるための大原則です。

2. 屋外・屋側配線の場合

屋外配線も、屋内と同様に1300-1を準用して設置します。
→ 屋外だからといって緩くなるわけではありません!

3. EVとの接続ケーブル

EVと充電設備をつなぐ電路は、基本的に対地電圧150V以下
ただし、下記の要件を満たすケーブルなら例外が認められます。

  • 3598-2のただし書に適合

  • 二種キャブタイヤケーブルと同等以上の性能

  • 使用環境に適した耐久性があること


🔌 接続部まわりの安全ポイント

1. 充電部は絶対に露出させない!

→ 感電事故を防ぐため、充電中の金属部がむき出しにならない構造であること。

2. 地絡(漏電)時の遮断装置を!

漏電ブレーカー(ELB)や漏電保護機能付き充電器で自動遮断できるように設計します。


🧰 分岐開閉器からコンセントまでの配線ルール

✅ 専用回路で設置

EVの充電設備は、他の照明や機器と共用せず、専用回路で設計することが必須です。

✅ 設計基準:3557-1表に準拠

専用回路の設置方法は内線規程3557-1表に準じて設計します。

✅ 配線の太さも重要!

  • 3597-1表と同等以上の電線サイズで選定

  • EV側で指定がある場合は、メーカー仕様を優先


見習いペン太
見習いペン太
ふむふむ…専用回路と漏電対策がカギってことだね!

はりた
はりた
そのとおり!最近は充電器の選定や配線の設計も多様化してるから、安全設計がますます重要になってきてるよ。

3597-1表:分岐回路の種類における配線太さとコンセントの定格電流の選定

3597-1表は、分岐回路の種類に応じて、適切な配線太さ、コンセントの定格電流、最大連続充電電流を選定するための基準を示しています。

分岐回路の種類 配線太さ (銅線) コンセントの定格電流 最大連続充電電流
20A配線用遮断器 直径2.0mm若しくは2.6mm (断面積3.5mm²若しくは5.5mm²) 15A 15A
20A配線用遮断器 20A 16A
30A配線用遮断器 直径2.6mm (断面積5.5mm²) 30A 24A

🔌EV充電用コンセントの設置、何に気をつければいい?【安全基準まとめ】

見習いペン太
見習いペン太
ねぇねぇ、はりた。電気自動車の充電用コンセントって、普通のコンセントと同じでいいの?

はりた
はりた
うーん、実は違うんだよペン太。EV充電用のコンセントは、ちゃんとした安全基準に沿って設置しないといけないんだ!


✅ コンセントの基本ルール

📎 接地極付きコンセントを使うこと!

EV充電用には必ず接地極付きコンセントを使用します。
→ 感電を防ぐため、D種接地工事とセットで必須です。

📎 コンセントの選定基準

使用するコンセントは、3597-2表に基づいて選定しましょう。

さらに、EV用としては次の規格に合致することが求められます:

(一社)日本配線システム工業会規格JWDS 0033(2011)「EV充電用コンセント・差込プラグ」

ちゃんと“EV充電用”として認定されたものを使う必要があります。


🚫 NGなコンセント例

  • 単相100V用の抜止式コンセント(3202-2表 備考6)は、EV充電に使用不可です。

  • 30Aを超えるコンセントについては、車両側の仕様を必ず確認しましょう。


🌧️ 雨線外(屋外)に設置する場合の注意点

✅ 防まつ形 or 防水ボックスが必須!

屋外(=雨線外)に設置する場合は、次のどちらかが必要です:

  • 防まつ形のコンセント

  • 防まつ形の防水箱に収める

📦 防水箱を使うときの注意点

条件 内容
🔑 いたずら防止 鍵付きの防水箱が望ましい
❄️ 寒冷地対応 雪の影響を受けない高さに設置
🔌 扉の構造 ケーブルを挿したまま扉が閉まる構造
🛠️ 接地工事 金属製の防水箱はD種接地工事が必要

📏 コンセントの高さはどのくらい?

  • 地面や床から約1m前後が推奨されています。

  • 寒冷地では積雪の影響を受けない高さに調整が必要です。

見習いペン太
見習いペン太
なるほど〜。防水も接地もちゃんと考えなきゃなんだね。

はりた
はりた
そうそう!「挿せば使える」じゃなくて、「安全に使える」が大事なんだよ!


🔋 充電設備の配線と接地工事

🔌 配線のルール

  • 分岐回路からの配線は、3597-4(分岐回路からコンセントまでの配線)に従って設置します。

  • 専用回路とすることが原則です。

🛠️ 金属製の充電器・ボックスは接地が必要!

  • 充電設備の外箱が金属製の場合1350-2表に基づいてD種接地工事を施します。


✅ まとめ|EV用コンセント設置のチェックリスト

項目 要件
接地 D種接地工事が必要
コンセント JWDS 0033準拠、3597-2表に基づいて選定
屋外設置 防まつ形 or 防水箱に収める
高さ 地上1m前後(寒冷地は積雪対策)
抜止式 単相100V抜止式は使用不可
防水箱(金属製) 接地+鍵付き推奨
配線 専用回路+3597-4準拠

 

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