この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。

構内引込線を3つの視点で図解整理。高さ(116-1表)、造営物などとの離隔(原則と116-2表・OW電線の扱い・JESC E2005)、電線と施設(解釈第116条・第117条)を要点とFAQでまとめます。

技術図書館構内引込線|高さ・離隔・準拠先の3つで見る高さは1370-1表、離隔は2110-2表、支持と分岐は2200系。OW電線は低圧絶縁電線に含まない点まで全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

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出典:電気設備の技術基準の解釈 第1条・第67条・第68条・第71条・第78条・第110条・第116条・第117条・解釈の解説

構内引込線は、この記事では、需要場所の建物へ電気を引き込む架空引込線(解釈第1条第九号)と、その屋側部分を中心に整理します。「構内引込線」は内線規程の項目名で、省令・解釈には同じ名前の定義はありません。押さえるポイントは 「高さ/造営物などとの離隔/電線と施設」 の3つに整理できます。

高さは、下を通るもので決まる 道路・鉄道・それ以外で、最低の高さが違います。
離隔は、原則として低圧架空電線と同じ 電線の種類で、値が変わります。
電線と取り付けにも決まりがある 電線の強さ、触れない範囲、屋側部分の工事です。
根拠は、解釈第116条 高圧の引込線は第117条です。
ペン太ペン太
引込線って、ただ家に引き込めばいいわけじゃないんですね。
ハリタハリタ
そう。下を通るものに合わせた「高さ」、造営物などとの「離隔」、使う「電線と施設のしかた」。この3つで整理しよう。

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ペン太ペン太
構内引込線って敷地の中の電線ですよね。高さとか離隔って、敷地内なら自由に決めていいんじゃないですか?
ハリタハリタ
いえ、基準があります。高さは下を通るものごとに最低値が決まっていて、離隔は原則として低圧架空電線と同じ規定に準じます。

この記事で押さえる3つのこと

  • 低圧架空引込線の高さは、道路の横断で路面上5m、鉄道・軌道でレール面上5.5m、それ以外で地表上4m以上(116-1表)。
  • 離隔の原則は低圧架空電線と同じ。116-2表は技術上やむを得ないときの値で、OW電線は「その他」の欄。
  • 電線は絶縁電線かケーブル。OW電線は手を伸ばしても触れない範囲に。連接引込線は分岐点から100mまで。
この記事の道案内
電気設備の技術基準の解釈(第116条・第117条)にそって、構内引込線のルールを3つの視点で整理します。

① 高さ

道路の横断は、路面上5m以上 やむを得ず交通に支障がなければ3m以上。
鉄道・軌道は、レール面上5.5m以上 横断歩道橋の上は、路面上3m以上です。
それ以外は、地表上4m以上 やむを得ず交通に支障がなければ2.5m以上。
歩行者だけの通路は「それ以外」 道路の区分から、除かれています。
  • 低圧架空引込線の電線の高さは、解釈第116条第1項第六号の116-1表に規定する値以上にする
  • 道路(歩行の用にのみ供される部分を除く)を横断するなら路面上5m、鉄道・軌道を横断するならレール面上5.5m、それ以外は地表上4m
  • 高圧架空引込線の高さは、高圧架空電線と同じ第68条第1項に準じる。道路・鉄道・横断歩道橋を横断しない場所なら、地表上3.5m以上にできる(ケーブル以外は下方に危険の表示。解釈第117条)

解釈の解説によると、架空引込線の高さは、主に経済上の理由から、交通に支障がない限り一般の電線路より緩和されています。2.5mは、建造物の構造上、取付け点を4mにするのがどうしても難しい場合のための緩和です。

区分 高さ 技術上やむを得ず、交通に支障がないとき
道路を横断 路面上5m 路面上3m
鉄道・軌道を横断 レール面上5.5m (緩和なし)
横断歩道橋の上 横断歩道橋の路面上3m (緩和なし)
上記以外 地表上4m 地表上2.5m
たとえるなら
引込線の高さは、ガード下の高さ制限のようなもの
ガード下やトンネルの入口には、くぐれる車の高さが書いてありますよね。引込線の高さも、その下を何が通るかで決まります。車両が通る道路を横断するなら路面上5m、鉄道や軌道ならレール面上5.5m、それ以外の場所なら地表上4mです。
ここに注意!
「引込線の高さは、どこでも4m以上」ではありません。
道路(歩行の用にのみ供される部分を除く)を横断するなら路面上5m以上、鉄道又は軌道を横断するならレール面上5.5m以上、横断歩道橋の上なら路面上3m以上です。それ以外の場所が地表上4m以上です。技術上やむを得ず交通に支障がないときは、道路の横断で3m、それ以外で2.5mまで緩和されます(解釈第116条第1項第六号、116-1表)。
ペン太ペン太
引込線の高さって、どこでも同じでいいんですか?
ハリタハリタ
下を通るもので変わります。道路の横断は路面上5m、鉄道はレール面上5.5m、それ以外は地表上4mです。
ここまでのポイント
  • 道路の横断は路面上5m、鉄道・軌道はレール面上5.5m。
  • それ以外は地表上4m。やむを得ないときの緩和もある。


② 造営物などとの離隔

原則は、低圧架空電線と同じ 上部造営材の上方は2m。ケーブルなどは1mです。
やむを得ないときは、116-2表 上方は0.5m・1m・2m、その他は0.15mか0.3m。
OW電線は、「その他」の欄 「OW以外の低圧絶縁電線」の欄には入りません。
引き込む建物は、危険がなければ緩和 取付け点付近は、JESC E2005の方法も。

引込線と造営物などとの離隔は、場面で読む条文が変わります。

  • 原則:工作物や植物と接近・交差するときは、低圧架空電線に係る第71条から第79条までの規定に準じる(解釈第116条第1項第七号)。たとえば第78条では、造営物の上部造営材の上方は2m(高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線・ケーブルは1m)
  • 直接引き込んだ造営物:危険のおそれがない場合に限り、第71条第1項第二号と第78条第1項の離隔によらないことができる(同号ただし書)
  • それ以外の工作物で、技術上やむを得ないとき:116-2表の値以上にし、危険のおそれがないように施設する(同項第八号)。需要場所の取付け点付近に限り、JESC E2005(2002)による方法もある
電線の種類 上部造営材の上方 その他
高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線・ケーブル 0.5m 0.15m
屋外用ビニル絶縁電線以外の低圧絶縁電線 1m 0.3m
その他(屋外用ビニル絶縁電線など) 2m 0.3m
たとえるなら
電線の種類で離隔が変わるのは、防具の厚さで間合いが変わるようなもの
防具をしっかり着けた人ほど、相手の近くまで寄れますよね。引込線も、ケーブルや高圧絶縁電線は、造営物の上方0.5mまで近づけます(技術上やむを得ない場合)。屋外用ビニル絶縁電線(OW電線)は、表の「その他」の欄に入るので、上方は2mです。
ここに注意!
「OW電線も、低圧絶縁電線の欄で離隔を読む」ではありません。
116-2表の「屋外用ビニル絶縁電線以外の低圧絶縁電線」の欄(上方1m)に、OW電線は入りません。OW電線は「その他」の欄で、造営物の上部造営材の上方は2m、その他の部分は0.3mです(解釈第116条第1項第八号)。
ここに注意!
「116-2表の離隔が、いつでも使える」ではありません。
116-2表は、直接引き込んだ造営物以外の工作物と接近又は交差する場合で、技術上やむを得ないときの値です。原則は、低圧架空電線に係る第71条から第79条までの規定に準じます(たとえば第78条では、造営物の上部造営材の上方は2m、ケーブルなどは1m)。
ここに注意!
「直接引き込む建物なら、離隔を気にしなくてよい」ではありません。
直接引き込んだ造営物との離隔距離で、第71条第1項第二号と第78条第1項によらないことができるのは、危険のおそれがない場合に限られます(解釈第116条第1項第七号ただし書)。解釈の解説は、引込点付近にこれらの離隔を当てはめるのは不可能なための緩和と説明しています。
ここまでのポイント
  • 離隔の原則は、低圧架空電線の第71条〜第79条に準じる。
  • 116-2表は、技術上やむを得ないときの値。OW電線は「その他」の欄。
  • 引き込む建物との離隔は、危険のおそれがなければ緩和できる。


③ 電線と施設のしかた

電線は、絶縁電線かケーブル 引張強さ2.30kN以上。径間15m以下は1.38kN以上。
OW電線は、手を伸ばしても触れない 人が通る場所から、届かない範囲です。
屋側部分は、第110条に準じる 取付け点から引込口までの部分です。
ケーブルは、第67条に準じる 架空ケーブル工事の方法です。
  • 電線は絶縁電線又はケーブル。ケーブル以外は、引張強さ2.30kN以上又は直径2.6mm以上の硬銅線。径間15m以下に限り、1.38kN以上又は直径2mm以上の硬銅線(解釈第116条第1項第一号・第二号)
  • 屋外用ビニル絶縁電線は、人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲に、それ以外の絶縁電線は、容易に触れることのない範囲に施設する(第三号・第四号)
  • ケーブルは、架空ケーブル工事(第67条)に準じる。取付け点から引込口までの屋側部分・屋上部分は、低圧屋側電線路の規定(第110条第2項・第3項)に準じる(第五号・第2項)
  • 構内の特例(第82条第2項・第3項)の低圧架空電線に直接接続する架空引込線は、第82条に準じて施設できる(第3項)
連接引込線は、100mまで 分岐する点から、100mを超えない範囲。
広い道路と屋内は通らない 幅5m超の道路は横断しません。
高圧の電線は、3種類 高圧絶縁電線、引下げ用高圧絶縁電線、ケーブル。
高圧は、条件つきで3.5m以上 ケーブル以外は、下方に危険の表示。
  • 低圧連接引込線は、引込線から分岐する点から100mを超える地域にわたらない。幅5mを超える道路を横断しない。屋内を通過しない(第116条第4項)
  • 高圧架空引込線の電線は、引張強さ8.01kN以上又は直径5mm以上の硬銅線を使う高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線、引下げ用高圧絶縁電線、ケーブル(第117条)
取り違えやすいところ 正しくは
高さは、どこでも4m以上 道路の横断は路面上5m、鉄道・軌道はレール面上5.5m、それ以外は地表上4m(116-1表)
離隔は、いつも116-2表の値 原則は第71条〜第79条に準じる。116-2表は、技術上やむを得ないときの値
OW電線も、低圧絶縁電線の欄で読む 116-2表では「その他」の欄(上方2m、その他0.3m)
直接引き込む建物なら、離隔は不要 危険のおそれがない場合に限り、第71条第1項第二号・第78条第1項によらないことができる
連接引込線は、どこまでも延ばせる 分岐点から100mまで。幅5m超の道路の横断と、屋内の通過はできない
高圧の引込線も、低圧と同じ電線でよい 高圧絶縁電線(8.01kN以上)、引下げ用高圧絶縁電線、ケーブル
たとえるなら
連接引込線は、隣へ回していく回覧板のようなもの
回覧板は、となりの家へ、そのまたとなりへと回していきますよね。連接引込線も、1つの引込線から分かれて、となりの需要場所へ電気を引き込みます。ただし、回す範囲が広すぎると不便なのと同じで、分岐する点から100mを超える地域にわたってはいけません。
ここに注意!
「連接引込線は、どこまでも延ばせる」ではありません。
低圧連接引込線は、引込線から分岐する点から100mを超える地域にわたらないこと、幅5mを超える道路を横断しないこと、屋内を通過しないことが決まっています(解釈第116条第4項)。解釈の解説は、広範囲に連接すると、電圧降下や事故範囲の拡大などで好ましくないためと説明しています。
ここに注意!
「高圧の引込線も、低圧と同じ電線でよい」ではありません。
高圧架空引込線の電線は、引張強さ8.01kN以上のもの又は直径5mm以上の硬銅線を使う高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線、引下げ用高圧絶縁電線、又はケーブルです。絶縁電線なら、がいし引き工事で施設します(解釈第117条第1項)。
ここまでのポイント
  • 電線は絶縁電線かケーブル。2.30kN以上(径間15m以下は1.38kN以上)。
  • OW電線は、手を伸ばしても触れない範囲に施設する。
  • 連接引込線は分岐点から100mまで。高圧の引込線は第117条。


よくある質問(FAQ)

Q1. 造営物との離隔は? 原則は低圧架空電線と同じ。やむを得ないときは116-2表。
Q2. OW電線は「低圧絶縁電線」? 116-2表では、「その他」の欄です。
Q3. 離隔がとれないときは? 引き込む建物との離隔は、危険がなければ緩和。
Q4. 低圧の引込線の高さは? 道路横断5m、鉄道5.5m、それ以外4m。

Q. 引込線と造営物の離隔距離はどれくらい必要?

A. 原則は、低圧架空電線に係る第71条から第79条までの規定に準じます(解釈第116条第1項第七号)。たとえば第78条では、造営物の上部造営材の上方は2m(高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線・ケーブルは1m)、その他は0.6m(同0.3m)です。直接引き込んだ造営物以外の工作物で、技術上やむを得ないときは、116-2表の値(上方0.5m・1m・2m、その他0.15m・0.3m)によることができます(同項第八号)。

Q. OW電線は「低圧絶縁電線」に含まれるの?

A. 116-2表では、「屋外用ビニル絶縁電線以外の低圧絶縁電線」の欄には入らず、「その他」の欄です。造営物の上部造営材の上方は2m、その他は0.3mです。また、OW電線は、人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲に施設します(解釈第116条第1項第三号)。

Q. 離隔が確保できないときの緩和はある?

A. 直接引き込んだ造営物との離隔は、危険のおそれがない場合に限り、第71条第1項第二号と第78条第1項によらないことができます(解釈第116条第1項第七号ただし書)。他の工作物との離隔は、技術上やむを得ないときに116-2表によることができ、需要場所の取付け点付近に限り、JESC E2005(2002)による方法もあります(同項第八号)。

Q. 構内引込線の高さの基準は?

A. 低圧架空引込線は、道路を横断するなら路面上5m、鉄道又は軌道を横断するならレール面上5.5m、横断歩道橋の上なら路面上3m、それ以外は地表上4m以上です。技術上やむを得ず交通に支障がないときは、道路の横断で3m、それ以外で2.5mまで緩和されます(解釈第116条、116-1表)。


まとめ|高さ・離隔・電線の3つで確認する

構内引込線は、高さは116-1表、離隔は低圧架空電線の規定(やむを得ないときは116-2表)、電線と施設は第116条・第117条という3つの参照先を押さえておけば、確認の道筋が定まります。

確認したい内容 解釈の規定
低圧の高さ 道路横断5m、鉄道・軌道5.5m、横断歩道橋の上3m、それ以外4m(116-1表)
高圧の高さ 第68条第1項に準じる。条件つきで地表上3.5m(第117条)
離隔の原則 低圧架空電線の第71条〜第79条に準じる
離隔の特例 技術上やむを得ないとき116-2表。取付け点付近はJESC E2005も
引き込む建物 危険のおそれがなければ、第71条第1項第二号・第78条第1項によらない
電線 絶縁電線かケーブル。2.30kN以上(径間15m以下は1.38kN以上)
屋側部分 第110条第2項・第3項に準じる
連接引込線 分岐点から100mまで。幅5m超の道路を横断せず、屋内を通過しない

高さで押さえること

  • 人や車両の通行を妨げないか。
  • 道路・鉄道・それ以外の区分の高さ以上か。

離隔で押さえること

  • 原則の離隔(第71条〜第79条)を満たすか。
  • 造営物の上部か側方か。
  • 116-2表を使うなら、やむを得ない場合か。OW電線は「その他」。

電線と施設で押さえること

  • 電線の種類と引張強さ。
  • 人が触れない範囲と、屋側部分の工事。
  • 連接引込線の範囲と、高圧の引込線の電線。

構内引込線は、「どの場面の値を読むか」で迷いやすい条文です。高さは下を通るもの、離隔は原則か特例か、電線は種類と径間で決まるので、図面ではこの順に確かめると確実です。

ペン太ペン太
基準はわかってきました。実際の設計では次に何を確認すればいいですか?
ハリタハリタ
まず使う電線の種類を確定し、116-1表の高さと、原則の離隔を図面で照合しましょう。離隔が足りないときだけ、116-2表などの特例の条件を確かめます。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。