出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
この記事に書かれていること

不平衡率とは,中性線と各電圧側電線間に接続される負荷設備容量(VA)の差と総負荷設備容量(VA)の平均値の比(%)をいう。すなわち,次の式をもって表わす。
単相の場合
設備不平衡率= | 中性線と各電圧側電線間に接続される負荷設備容量の差 | ×100 |
総負荷設備容量の1/2 |
三相の場合
設備不平衡率= | 各線間に接続される単相負荷総設備容量の最大最小の差 | ×100 |
総負荷設備容量の1/3 |
単相3線式の場合
やむを得ない場合は,設備不平衡率40%までとすることができる
三相三線式の場合
設備不平衡率30%以下とすること
- 低圧受電で専用変圧器などにより受電する場合
- 高圧受電において, 100kVA(kW)以下の単相負荷の場合
- 高圧受電において,単相負荷容量の最大と最小の差が100kVA以下である場合
単相・三相3線式の不平衡負荷の制限
単相・三相3線式の不平衡負荷
🎯この章で学べること
ハリタ先生
今回は「単相3線式」と「三相3線式」の不平衡負荷について学びます。電気設備の安全に関わる重要なルールなので、しっかりマスターしましょう!
ペン太
はい、頑張ります!単相と三相、両方あるんですね!
この章の学習目標
- ✓単相3線式の不平衡率(40%以下)を理解する。
- ✓三相3線式の不平衡率(30%以下)を理解する。
- ✓それぞれの計算式を使って不平衡率を求められる。
単相3線式基本の解説
ハリタ先生
まずは単相3線式から。これは、中性線とそれぞれの電圧線の間の負荷(電気を使う量)が偏らないように、バランスを取るのが基本なんだ。
負荷は「平衡」が原則
低圧受電の単相3線式では、中性線と各電圧側電線との間に接続する負荷は、平衡させることが原則です。これは、配線に過大な電流が流れるのを防ぎ、安全を確保するためです。
やむを得ない場合の許容値
どうしても負荷のバランスを完全にとるのが難しい場合もあります。そのようなやむを得ない場合は、設備不平衡率が40%までとすることが許容されています。
設備不平衡率の計算式
設備不平衡率は、次の式で計算します。この式は必ず覚えましょう!
× 100
例外となるルール
原則にはいくつかの例外があります。これも覚えておきましょう。
- 契約電力5kW程度以下の小規模な設備で、少数の加熱装置を使うなど完全な平衡が難しい場合は、40%の限度を超えることができます。
- 片寄せ配線を行った単相3線式分岐回路は、構造的に平衡させることができないため、この不平衡負荷の制限から除外されます。ただし、その場合でも幹線においては負荷を平衡させる必要があります。
🔍単相3線式 計算の重要ポイント
ハリタ先生
では、実際の例題を使って計算方法を見ていこう。カードをクリックして、各ステップの詳細を確認してね!
図:単相3線式 100/200Vの場合の例
三相3線式基本の解説
ハリタ先生
次に三相3線式だ。こちらも基本的な考え方は同じだけど、許容値と計算式が少し違うから注意しよう。
三相3線式の許容値
低圧及び高圧受電の三相3線式における不平衡負荷の限度は、単相接続負荷により計算し、設備不平衡率30%以下とすること。単相3線式より厳しい30%という数値をしっかり覚えよう。
三相3線式の計算式
計算式も単相3線式とは異なるので注意が必要です。
× 100
例外となるルール
三相3線式にも例外があります。
- 低圧受電で専用変圧器などにより受電する場合。
- 高圧受電で、1つの線間での合計が100kVA(kW)以下の単相負荷の場合。
- 高圧受電で、各線間に接続される単相負荷設備容量の最大と最小の差が100kVA(kW)以下である場合。
🔍三相3線式 計算の重要ポイント
図:三相3線式 200Vの場合の例
特殊な負荷への対応
ハリタ先生
最後に、電気炉のような大容量の単相負荷や、他の利用者に影響を与える可能性のある特殊な機器のルールについて見ていこう。これらは電力会社との協議が必要になる重要なケースだよ。
高圧受電での大容量単相負荷
高圧受電で電気炉などの大容量単相負荷を使用し、これまでの制限を守るのが難しい場合は、一般送配電事業者と協議の上、以下の方法で施設します。
- 単相負荷1個の場合: 逆V接続によること。ただし、300kVAを超えないものとする。
- 単相負荷2個の場合: スコット接続によること。ただし、1個の容量が200kVA以下のときは、やむを得ない場合に限り、普通の変圧器2台を使用できる。
- 単相負荷3個の場合: できる限り線路電流が平衡するように各線間に負荷を接続すること。
特殊な機械器具
フリッカ(ちらつき)や高調波など、他の電気使用者に障害を及ぼすおそれがある特殊な機械器具は、一般送配電事業者と協議のうえ施設する必要があります。
🤔ペン太の質問コーナー
ペン太
先生、単相と三相で計算式の分母が「1/2」と「1/3」になるのはなぜですか?
ハリタ先生
とても良い点に気づいたね!これは、それぞれの配線方式で、負荷が接続される「系統の数」に基づいているんだ。単相3線式は中性線と2本の電圧線で「2系統」と考えるから1/2、三相3線式は3本の線間で「3系統」と考えるから1/3で割って、1系統あたりの平均的な負荷を基準にしているんだよ。
🧠重要用語フラッシュカード
ペン太
カードで繰り返し練習すれば、しっかり覚えられそうです!
カードをクリックして、用語と意味を確認し、記憶を定着させましょう。
✔️理解度チェックテスト
ハリタ先生
さあ、最後の仕上げだ!テストで実力を試してみよう。
単相3線式における不平衡負荷とは?

住宅や小規模な建物でよく使われる「単相3線式配線」。
この方式では100Vと200Vを同時に取り出すことができる便利な電源方式ですが、片側に負荷が偏りすぎると“不平衡”の問題が起きてしまいます。
今回は、内線規程1305-1(対応省令:第4条)に基づき、単相3線式における不平衡負荷の制限と注意点をやさしく解説します。
🔌 単相3線式とは?
単相3線式とは、電柱から引き込まれる**3本の電線(2本の電圧線+1本の中性線)**によって、
-
100V(電圧線と中性線の間)
-
200V(電圧線同士の間)
の両方の電源を取り出すことができる方式です。
住宅のコンセントやエアコン、IHヒーターなどに広く使われています。
⚠ なぜ「不平衡」が問題になるのか?
中性線と各電圧側電線の**負荷が極端に違う(=不平衡)**状態になると、次のようなトラブルが起きます:
-
✅ 中性線に大量の電流が流れて発熱や火災リスクが増加
-
✅ 電圧のバランスが崩れ、機器の誤作動や故障の原因
-
✅ 電力損失が大きくなり、効率が悪化
📏 内線規程による「不平衡負荷の制限」
🔹 原則:負荷は平均化すること
中性線と各電圧側電線に接続される負荷(機器や照明など)は、できるだけバランスよく配置することが求められます。
設備不平効率の計算式|単相の場合
設備不平衡率= | 中性線と各電圧側電線間に接続される負荷設備容量の差 | ×100 |
総負荷設備容量の1/2 |
🔹 許容範囲:最大で40%まで
やむを得ない場合は、不平衡率40%まで認められています(※勧告)
これは、電力会社や設計基準での安全目安として設定されており、
これを超えると電気的トラブルのリスクが急増します。
🔸 例外:片寄せ配線とは?
「片寄せ配線」とは、あえて負荷を片側の電線にだけ接続する方法です。
-
特定の分岐回路(内線規程3605-2表3項②)でのみ許可
-
例:単相3線式の一部回路で分岐的に100Vを利用
ただし、これは特殊なケースのため、一般の住宅や事務所では使わないのが原則です。
🧯 安全に使うためのポイント
チェック項目 | 内容 |
---|---|
配線計画 | 機器の配置を左右バランスよく分ける |
点検 | 分電盤でA・B系統の負荷状況を確認 |
中性線電流 | 熱くなっていないか、異常がないかチェック |
高負荷機器 | エアコン・IHなどは左右交互に振り分ける |
電気事業者との連携 | 高負荷の不平衡が続く場合は相談する |
三相3線式の不平衡負荷とは?

工場やビルなどでよく使われる三相3線式配線。
安定した電力供給を実現できる反面、単相負荷の偏り=不平衡負荷が起きると、モーターの故障や電圧の乱れといったトラブルを引き起こすことがあります。
この記事では、内線規程に基づき、不平衡負荷の基礎知識と制限、対策方法を初心者にもわかりやすく解説します。
⚡ 三相3線式とは?
三相3線式は、3本の電線(R相・S相・T相)で構成され、各相間に200Vの電圧がかかる方式です。
この3本の線間に単相機器(100V/200V機器)を接続することも可能ですが、接続方法を誤ると不平衡が発生してしまいます。
❓ 不平衡負荷とは?
各相に接続される単相負荷の容量がバラバラな状態を「不平衡負荷」といいます。
例えば:
-
R-T間:10kVA
-
S-T間:5kVA
-
R-S間:2kVA
→ このように負荷が偏ると、「不平衡負荷」となります。
📉 設備不平衡率とは?
設備不平衡率は、以下の式で求めます:
設備不平衡率= | 各線間に接続される単相負荷総設備容量の最大最小の差 | ×100 |
総負荷設備容量の1/3 |
✅ 内線規程での制限:不平衡率は30%以下が目安
原則として、設備不平衡率は30%以下に抑える必要があります。
✅ 制限が適用されない例(例外規定)
以下の場合は30%の制限を超えてもOKとされています:
条件 | 内容 |
---|---|
低圧受電で専用変圧器を使っている | 対象外 |
高圧受電で単相負荷が100kVA以下 | 対象外 |
単相負荷の最大最小差が100kVA以下 | 対象外 |
⚠ 不平衡負荷が引き起こすトラブル
-
モーターやインバータの故障
-
過熱・振動・電圧降下
-
他設備への悪影響(フリッカ・高調波)
🛠 不平衡を回避するための対策
✅ 不平衡率30%を守れないときは?
高圧受電で**大容量の単相機器(例:電気炉)**を使う場合、通常の方法ではバランスを取れないこともあります。
その場合は、以下の特殊接続方法が推奨されます。
1. 単相負荷が1台 → 逆V結線を使用
※300kVA以下まで可
2. 単相負荷が2台 → スコット結線を使用
※1台あたり200kVA以下であれば、通常の変圧器2台で別相接続でも可
3. 単相負荷が3台 → 各相に均等に分散接続
📌 特殊な機械器具の注意点
-
フリッカ・高調波など他の電気使用者に悪影響を与える可能性がある場合は、電気事業者との事前協議が必要です。
-
電動機については、始動電流や運転電流のバランスにも注意を!
✅ まとめ|三相配線の不平衡対策チェックリスト
項目 | 内容 |
---|---|
原則 | 設備不平衡率30%以下に抑える |
例外 | 専用変圧器・100kVA以下・差100kVA以下の場合は対象外 |
対策方法 | 逆V結線/スコット結線/均等分散 |
特殊機器 | フリッカ・高調波は事前相談必須 |
設計ポイント | 各線にかかる負荷を均等にするよう設計 |