技術図書館数値だけ覚えると迷う|先に方式を確定させる単相3線式は40%以下で分母は総容量の1/2、三相3線式は30%以下で分母は1/3この資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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分電盤で負荷を振り分けるとき、「a側ばかり重い」「三相の1線間だけ大きい」といった片寄りが出ることがあります。これが不平衡負荷です。内線規程は、この片寄りを単相3線式は40%以下、三相3線式は30%以下に抑えるよう決めています。ただし計算の分母もちがうので、数字だけ覚えると迷います。この記事では、シーソーのたとえで片寄りをつかみ、2つの計算を例題とかんたん計算で確かめます。

不平衡負荷は、電線ごとの負荷の片寄り シーソーが傾いた状態です。
設備不平衡率の上限は、単相3線式40%・三相3線式30% 分母は、総容量の1/2(単相3線式)と1/3(三相3線式)です。
超えそうなら、まず振り分け直し 大きな単相負荷は、結線を工夫します。
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。

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不平衡負荷とは ― 電線ごとの負荷の「片寄り」

たとえるなら
単相3線式は、2人で乗るシーソーです。
中性線を支点に、a側とb側に負荷が乗っています。同じ重さならまっすぐですが、a側にだけ負荷を足すと傾きます。この傾きが不平衡です。傾いたままにしておくと、あちこちに無理が出ます。
a側とb側が同じなら、釣り合う 上のシーソーも、下の回路も同じです。中性線の電流はほぼ0です。
a側にだけ負荷を足すと、傾く 重い側の電圧が下がり、軽い側の電圧が上がります。
差の電流が、中性線を流れる これが不平衡負荷です。

負荷が片寄ると、次のような困りごとが出ます。

  • 電圧がそろわない:重い側の電圧が下がり、軽い側の電圧が上がる。機器の調子が悪くなる
  • 中性線に電流が流れる:単相3線式では、a側とb側の差の電流が中性線を流れる
  • 変圧器や電線を片側しか使えない:重い側に合わせて大きくする必要が出て、ムダが増える
  • 三相では、モーターの過熱:線間の電圧がそろわないと、三相のモーターが熱を持ちやすい

だから負荷は、できるだけ平均に振り分けるのが原則です。そのうえで、片寄りの上限を「設備不平衡率」で決めています。

ひっかけ注意
「多少片寄っても、動けば問題ない」ではありません。
片寄りが大きいと、重い側の電圧が下がって軽い側が上がり、機器の調子が悪くなります。三相ではモーターが熱を持ちやすくなります。動いているからと放っておかず、負荷はできるだけ平均に振り分けます。
ここまでのポイント
  • 不平衡負荷=電線ごとの負荷の片寄り(シーソーの傾き)
  • 電圧がそろわない・中性線の電流・機器の過熱などの原因になる
  • 原則は負荷を平均に振り分ける

単相3線式 ― 分母は「総容量の1/2」、40%以下

例題:a側6kVA・b側4kVA・200V負荷4kVA 総容量は14kVAです。
分子は、a側とb側の差の2kVA 200V負荷は入れません。
分母は、総容量14kVAの1/2で7kVA
2÷7×100=28.6%で、40%以下なのでOK

設備不平衡率〔%〕= 中性線と各電圧線の間の負荷の差 ÷(総負荷設備容量 × 1/2)× 100

  • 分子:a側(L1–N)とb側(N–L2)の100V負荷の差
  • 分母:総負荷設備容量の1/2。総容量には、L1–L2の200V負荷も入れる
  • 上限:40%以下
たとえるなら
分母は「2人で分けたときの、1人分」
お菓子を2人で分けるとき、公平な分け方は半分ずつです。2人の差が、この「1人分(全体の半分)」の何%にあたるかを見るのが、設備不平衡率です。同じ差の2個でも、全部で14個なら1人分は7個なので差は小さく見え、全部で4個なら1人分は2個なので差は大きく見えます。
ひっかけ注意
200V負荷を分子に入れない。
L1とL2の間につなぐ200V負荷は、a側とb側に同じだけかかるので、片寄りを生みません。分子には入れず、分母の総容量にだけ入れます。
ここまでのポイント
  • 単相3線式は40%以下
  • 分子はa側とb側の100V負荷の差、分母は総容量の1/2
  • 200V負荷は分母(総容量)にだけ入れる


三相3線式 ― 分母は「総容量の1/3」、30%以下

例題:ab間12kVA・bc間10kVA・ca間8kVA・三相負荷50kVA 総容量は80kVAです。
分子は、単相負荷の最大と最小の差 12−8=4kVA。三相負荷は入れません。
分母は、総容量80kVAの1/3 80÷3を分母にします。
4÷(80÷3)×100=15%で、30%以下なのでOK

設備不平衡率〔%〕= 各線間の単相負荷の最大と最小の差 ÷(総負荷設備容量 × 1/3)× 100

  • 分子:ab間・bc間・ca間につなぐ単相負荷のうち、いちばん大きい線間といちばん小さい線間の差
  • 分母:総負荷設備容量の1/3。総容量には三相負荷も入れる
  • 上限:30%以下(三相4線式も同じ考え方)
たとえるなら
三相負荷は「3人で担ぐお神輿」
お神輿を3人が同じ力で担げば、だれにも片寄りは出ません。三相のモーターなどの三相負荷も、3本の電線に同じだけ電流がかかるので、片寄りを生みません。だから分子には入れず、全体の大きさ(総容量)にだけ数えます。
ひっかけ注意
40%と30%、1/2と1/3を取り違えない。
単相3線式は「2つに分ける」ので分母が1/2、上限40%。三相は「3つに分ける」ので分母が1/3、上限30%。数字も式もちがうので、計算の前にまず配線方式を確かめます。

三相の30%には、制限をかけなくてよい場合があります。たとえば、低圧受電で専用の変圧器などで受電する場合、高圧・特別高圧受電で単相負荷が100kVA以下の場合、単相負荷の最大と最小の差が100kVA以下の場合などです。細かい条件は内線規程の原文で確かめます。

🧮 設備不平衡率 かんたん計算
① 単相3線式(40%以下)
a側(L1–N) kVA
b側(N–L2) kVA
200V負荷(L1–L2) kVA
設備不平衡率:–
② 三相3線式(30%以下)
ab間の単相負荷 kVA
bc間の単相負荷 kVA
ca間の単相負荷 kVA
三相負荷 kVA
設備不平衡率:–
概算用です。実際の判定は内線規程の最新版で確かめてください。

ここまでのポイント
  • 三相3線式は30%以下
  • 分子は線間の単相負荷の最大−最小、分母は総容量の1/3
  • 三相負荷は分母(総容量)にだけ入れる
  • 条件によっては制限の適用外になる


超えそうなときの対策と、特殊な機械器具

まず、負荷の割り当てを見直す a側7kVA・b側3kVA(不平衡率80%)のとき、2kVAをb側へ移すと、5kVAずつで0%です。
それでも平衡がとれない大きな単相負荷は、結線を工夫 電力会社と協議します。
1台なら逆V結線、2台ならスコット結線 3台なら、各線間に1台ずつ接続します。

上限を超えそうなときは、まず分電盤や動力盤で負荷の振り分けを見直すのが基本です。100V回路をa側・b側に交互に割り当てる、三相の線間に単相負荷を均等に配る、といった調整でほとんど解決します。

それでも平衡がとれない大容量の単相負荷(単相の電気炉など)は、一般送配電事業者と協議したうえで、接続のしかたを工夫します。

  • 単相負荷1台:逆V結線(300kVAを超えない範囲)
  • 単相負荷2台:スコット結線(1台200kVA以下なら、ふつうの変圧器2台を使うことも)
  • 単相負荷3台:線路の電流が平衡するよう、各線間に1台ずつ接続

また、電気炉や溶接機のように、動くたびに大きな電流が流れて電圧を揺らす特殊な機械器具は、同じ配電線につながる周りの建物にも影響します。こうした機器を使うときは、早めに電力会社と協議します。

電気炉や溶接機は、動くたびに大きな電流が流れる
配電線の電圧が揺れ、周りの建物の照明もちらつく 同じ配電線につながる建物にも及びます。
使うときは、早めに電力会社と協議する
ひとことで言うと:「まず方式を確かめる。単相3線は1/2で40%、三相は1/3で30%。超えたら振り分け直す」。
たとえるなら
大きな単相負荷は「1人で持つ重い荷物」
荷物が重いほど、持ち方を工夫しないと片寄ります。逆V結線やスコット結線は、1人で持つ荷物を、三相側で分けて受け持ってもらう「持ち手」の工夫です。まず荷物の置き場所を見直し(振り分け直し)、それでも重すぎる荷物だけ、持ち手を工夫します。
ひっかけ注意
「超えたら変圧器を大きくする」ではありません。
重い側に合わせて変圧器や電線を大きくしても、軽い側が余って、ムダが増えるだけです。まず分電盤や動力盤で、負荷の振り分けを見直します。それでも平衡がとれない大きな単相負荷だけ、電力会社と協議して結線を工夫します。
ここまでのポイント
  • まず負荷の振り分けを見直す
  • 大きな単相負荷は、電力会社と協議して逆V・スコット結線など
  • 電圧を揺らす特殊な機械器具は、早めに電力会社と協議


よくある質問

単相3線式と三相3線式で、不平衡率の制限はなぜ違うの?

負荷を分ける数がちがうからです。単相3線式は2つ(a側・b側)に分けるので分母は総容量の1/2で上限40%、三相は3つ(ab・bc・ca)に分けるので分母は総容量の1/3で上限30%です。

200V負荷や三相負荷は計算に入れるの?

分子には入れず、分母の総容量にだけ入れます。どちらも各線に均等にかかるので、片寄りを生まないからです。

設備不平衡率が制限を超えそうなときはどうする?

まず負荷を各線へなるべく均等に振り分け直します。大容量の単相負荷で平衡がとれない場合は、電力会社と協議のうえ、1台なら逆V結線、2台ならスコット結線、3台なら各線間に分散して接続します。

制限が適用されない例外はあるの?

三相では、低圧受電で専用の変圧器などで受電する場合、高圧・特別高圧受電で単相負荷が100kVA以下の場合、単相負荷の最大と最小の差が100kVA以下の場合などがあります。詳しくは内線規程の原文で確かめます。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
多少片寄っても動けば問題ない 電圧の不ぞろい・過熱の原因になる
上限はどの方式も同じ 単相3線式40%、三相3線式30%
分母はどちらも総容量 単相3線式は1/2、三相は1/3
200V負荷・三相負荷も分子に入れる 分母の総容量にだけ入れる
超えたら変圧器を大きくする まず負荷を振り分け直す
まず配線方式、次に分母、最後に上限。この順に確かめれば取り違えません。

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ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。