この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
塩害を受けるおそれがある場所の対策の全体像
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

塩害を受けるおそれがある設備は「耐塩工事に準じて施工する(推奨)」とされています。押さえるポイントは 「なぜ起こるか(しくみ)/3つの対策」 の2つです。

塩害は塩分の付着→吸湿→絶縁低下腐食漏電というメカニズムで起こり、対策は材料の選定・施工の工夫・保守点検の3本柱という2ポイントの図解

⚡ 先に結論だけ言うと
要点は2つ。①しくみ=飛来した塩分が機器に付着→吸湿して導電化→絶縁低下・腐食・漏電②対策の3本柱=材料の選定/施工の工夫/保守・点検。耐塩工事の要否は 施設者と電気事業者の協議で決めるのが基本。
見習いペン太
見習いペン太
海から離れていれば、塩害は気にしなくていいんですよね?
はりた
はりた
それが油断できないんだ。規程の注記にもあるけど、強い潮風や台風のあとは内陸でも塩害事故が起こることがある。だから「海岸からの距離」だけで判断せず、環境や気象も見て対策を考えるんだよ。
この記事でわかること
✔ ① なぜ起こる?(メカニズム)
✔ ② 対策の3本柱

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ペン太ペン太
うちの現場は海から遠いので、塩害対策は考えなくていいですよね?
ハリタハリタ
油断は禁物です。強い潮風や台風の後は内陸でも塩害事故が起こるため、海岸からの距離だけで判断しないのが規程の注意点ですよ。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 塩害は、どういう仕組みで絶縁低下や腐食につながるのか
  • 塩害対策の3本柱とは何か
  • 耐塩工事をするかどうかは、だれが決めるのか
この記事の道案内
海岸からの距離だけで判断しない、というのがこの条文の要点です。

① なぜ起こる?(メカニズム)

トピック1:なぜ起こる?
  • 潮風・塩分が機器(がいし・端子・金属部)に付着する
  • 付着した塩分が湿気を吸って導電化する
  • 結果として 絶縁低下・漏電・地絡や金属の腐食につながる(海沿いだけでなく強風時は内陸でも)
ペン太ペン太
塩分が付くだけで漏電や地絡まで⁉ どうしてそうなるんですか?
ハリタハリタ
付着した塩分が湿気を吸って導電化するからです。絶縁低下や腐食に進む前に、材料・施工・保守の3本柱で備えるんですよ。
ここまでのポイント
  • 潮風・塩分が機器(がいし・端子・金属部)に付着する
  • 付着した塩分が湿気を吸って導電化する
  • 結果として絶縁低下・漏電・地絡や金属の腐食につながる
  • 海沿いだけでなく、強風時は内陸でも起こりうる

② 対策の3本柱

トピック2:対策の3本柱

潮風の塩分が機器に付着し吸湿して絶縁低下・腐食につながる流れと、材料選定・施工の工夫・保守点検という3つの塩害対策を示す図解

  • ① 材料の選定:耐食金属(ステンレス等)・溶融亜鉛めっき・防食塗装・耐塩用がいし・防水構造・絶縁距離の余裕
  • ② 施工の工夫:屋外は耐塩工事に準じる・隙間の防水・水抜き換気・塩分が溜まりにくい配置・確実な接地
  • ③ 保守・点検:定期的な塩分の清掃/洗浄・絶縁抵抗の測定・腐食/変色のチェック・台風後など環境変化に注意
ここがポイント|要否は協議で、遠隔地でも油断しない
耐塩工事を施すかは 施設者と電気事業者の協議で決めるのが望ましい。海岸線から遠くても気象条件で塩害が起こりうるため、材料・施工・保守の3本柱で備えます。
取り違えやすいところ正しくは
海から遠ければ塩害対策は不要強風時は内陸でも起こる。距離だけで判断しない
塩分が付いても乾いていれば問題ない湿気を吸って導電化し、絶縁低下や地絡につながる
材料を耐食にすれば対策は完了材料・施工・保守の3本柱で備える
耐塩工事の要否は設計側だけで決める施設者と電気事業者との協議で決めることが望ましい
ここまでのポイント
  • 材料の選定:耐食金属・溶融亜鉛めっき・防食塗装・耐塩用がいし・防水構造・絶縁距離の余裕
  • 施工の工夫:屋外は耐塩工事に準じる、隙間の防水、水抜き換気、塩分が溜まりにくい配置、確実な接地
  • 保守・点検:定期的な塩分の清掃/洗浄、絶縁抵抗の測定、腐食/変色のチェック、台風後など環境変化に注意

よくある質問(FAQ)

トピック3:よくある質問(FAQ)

Q. そもそも塩害ってどんな現象?

A. 空気中を飛んでくる塩分が、がいしや端子・金属部に付着し、湿気を吸って導電性をもつことで起こります。結果として絶縁が低下して漏電・地絡につながったり、金属が腐食したりします。海沿いだけでなく強風時には内陸でも起こることがあります。

Q. 塩害対策の基本は?

A. 「材料の選定(耐食金属・防食塗装・耐塩用がいしなど)」「施工の工夫(屋外は耐塩工事に準じる・防水・湿気対策)」「保守点検(定期的な塩分の清掃・絶縁抵抗測定)」の3本柱です。

Q. 耐塩工事をするかどうかは誰が決めるの?

A. 内線規程では、耐塩工事を施すかどうかは電気設備の施設者と電気事業者との協議で決めることが望ましいとされています。海岸から遠い地域でも気象条件によっては塩害が起こるため、環境をふまえて判断します。

まとめ

塩害は、材料・施工・保守の3本柱で備え、要否は協議で決めるのが規程の考え方です。

3本柱具体的にやること
材料の選定耐食金属(ステンレス等)・溶融亜鉛めっき・防食塗装・耐塩用がいし・防水構造・絶縁距離の余裕
施工の工夫屋外は耐塩工事に準じる/隙間の防水/水抜き換気/塩分が溜まりにくい配置/確実な接地
保守・点検定期的な塩分の清掃・洗浄/絶縁抵抗の測定/腐食・変色のチェック/台風後の確認

メカニズムで押さえること

  • 潮風・塩分ががいし・端子・金属部に付着する
  • 付着した塩分が湿気を吸って導電性をもつ
  • 絶縁低下による漏電・地絡、金属の腐食につながる

判断で押さえること

  • 耐塩工事を施すかは、施設者と電気事業者との協議で決めるのが望ましい
  • 海岸線から遠くても、気象条件によっては塩害が起こる
  • 台風後など環境が変わったときは点検で確認する

距離ではなく環境で見る。この一点を外さなければ、対策の抜けは防げます。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
耐塩工事をやるかどうかは、最後は誰がどう決めるんですか?
ハリタハリタ
施設者と電気事業者の協議で決めるのが基本です。台風後の点検や塩分の清掃も忘れずに続けていきましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。