出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
漏電遮断器の設置義務と選定・施設方法|安全な電気設備のために
感電や火災など、電気設備に起因する事故を未然に防ぐためには、漏電遮断器(ELB)の設置が非常に重要です。この記事では、漏電遮断器の設置義務・選定方法・設置場所・設置時の注意点について、ポイントごとに解説します。
漏電遮断器の設置が義務となる主なケース
1. 60Vを超える低圧機械器具への電源供給
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金属製の外箱を持つ機器に電源を供給する際は、原則として漏電遮断器の設置が必要です。
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以下の条件に該当する場合は例外となります:
– 簡易接触防護措置が施されている
- 乾燥した場所に設置されている
2. 使用電圧が300Vを超える低圧電路
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高圧または特別高圧から変圧器で接続される電路で、使用電圧が300Vを超える場合、漏電遮断器の設置が義務付けられています。
3. 住宅の屋内配線
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浴室や台所、屋外コンセントなど、水気や湿気の多い場所には、必ず漏電遮断器を設置する必要があります。
4. その他の設備・場所
以下のような場所でも、漏電遮断器の設置が求められます:
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ライティングダクト
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プールの水中照明
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浴室用コンセント
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屋外コンセント
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建設工事用設備
漏電遮断器の選定ポイント
1. 目的に応じた選び方
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感電防止が目的の場合
→ 感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内の高感度・高速形を選定 -
火災防止などその他の目的の場合
→ 使用目的に合わせた感度電流・動作時間を設定
2. 定格電流の確認
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使用する機器の合計負荷電流より大きな定格電流を持つ漏電遮断器を選びます。
3. 種類の選定
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使用場所や目的に応じて、電流動作形などの適切なタイプを選定します。
4. JIS規格の適合
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JIS C 8201-2-2、JIS C 8221、JIS C 8222など、関連JIS規格に準拠した製品を選ぶと、信頼性が高まります。
5. 中性線欠相保護機能の確認
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単相3線式電路では、中性線欠相保護機能付きの漏電遮断器を選びましょう。
漏電遮断器の施設場所と注意点
基本的な設置場所
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分電盤内:電源側または盤内に設置
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機器内蔵型:電気機器に組み込まれている場合もあり
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点検しやすい場所に設けることが原則です
避けるべき場所
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高温多湿
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振動の激しい場所
※防雨型・防浸型を使用する場合は、これらの場所でも設置可能です。
接地線に関する注意事項
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漏電遮断器が動作した際に接地線が遮断されないような構成で設置する必要があります。
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接地線には、IV電線または同等以上の絶縁性能を持つ電線を使用することが推奨されています。
補足事項|より安全性を高めるために
1. 停電警報装置の設置
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医療機関やデータセンターなど、停電が重大な影響を与える設備では、監視所に停電警報装置を設けることが推奨されます。
2. 住宅用分電盤での推奨
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互換性形漏電遮断器を主開閉器として使用するのが望ましいです。これはJIS規格準拠で、安全性・メンテナンス性が高い設計です。
3. 引込開閉器との兼用
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漏電遮断器を引込開閉器として兼用する場合は、過電流保護機能付きの製品を使用します。これにより、漏電と過電流の両方から回路を保護できます。
まとめ|正しい選定と設置で電気事故を防ぐ
漏電遮断器は、感電事故や火災を防ぐための最も基本的かつ重要な安全装置です。使用環境や目的に応じた製品を正しく選び、適切に設置することで、電気設備の安全性を高めることができます。
特に、住宅や重要設備を扱う施設では、これらの基準や推奨事項をしっかりと把握し、実践することが不可欠です。