内線規程の解釈と解説【002】|不平衡負荷の制限及び特殊な機械器具
分電盤で負荷を振り分けるとき、「a側ばかり重い」「三相の1線間だけ大きい」といった片寄りが出ることがあります。これが不平衡負荷です。内線規程は、この片寄りを単相3線式は40%以下、三相3線式は30%以下に抑えるよう決めています。ただし計算の分母もちがうので、数字だけ覚えると迷います。この記事では、シーソーのたとえで片寄りをつかみ、2つの計算を例題とかんたん計算で確かめます。
不平衡負荷とは ― 電線ごとの負荷の「片寄り」
負荷が片寄ると、次のような困りごとが出ます。
- 電圧がそろわない:重い側の電圧が下がり、軽い側の電圧が上がる。機器の調子が悪くなる
- 中性線に電流が流れる:単相3線式では、a側とb側の差の電流が中性線を流れる
- 変圧器や電線を片側しか使えない:重い側に合わせて大きくする必要が出て、ムダが増える
- 三相では、モーターの過熱:線間の電圧がそろわないと、三相のモーターが熱を持ちやすい
だから負荷は、できるだけ平均に振り分けるのが原則です。そのうえで、片寄りの上限を「設備不平衡率」で決めています。
- 不平衡負荷=電線ごとの負荷の片寄り(シーソーの傾き)
- 電圧がそろわない・中性線の電流・機器の過熱などの原因になる
- 原則は負荷を平均に振り分ける
単相3線式 ― 分母は「総容量の1/2」、40%以下
設備不平衡率〔%〕= 中性線と各電圧線の間の負荷の差 ÷(総負荷設備容量 × 1/2)× 100
- 分子:a側(L1–N)とb側(N–L2)の100V負荷の差
- 分母:総負荷設備容量の1/2。総容量には、L1–L2の200V負荷も入れる
- 上限:40%以下
- 単相3線式は40%以下
- 分子はa側とb側の100V負荷の差、分母は総容量の1/2
- 200V負荷は分母(総容量)にだけ入れる
三相3線式 ― 分母は「総容量の1/3」、30%以下
設備不平衡率〔%〕= 各線間の単相負荷の最大と最小の差 ÷(総負荷設備容量 × 1/3)× 100
- 分子:ab間・bc間・ca間につなぐ単相負荷のうち、いちばん大きい線間といちばん小さい線間の差
- 分母:総負荷設備容量の1/3。総容量には三相負荷も入れる
- 上限:30%以下(三相4線式も同じ考え方)
三相の30%には、制限をかけなくてよい場合があります。たとえば、低圧受電で専用の変圧器などで受電する場合、高圧・特別高圧受電で単相負荷が100kVA以下の場合、単相負荷の最大と最小の差が100kVA以下の場合などです。細かい条件は内線規程の原文で確かめます。
- 三相3線式は30%以下
- 分子は線間の単相負荷の最大−最小、分母は総容量の1/3
- 三相負荷は分母(総容量)にだけ入れる
- 条件によっては制限の適用外になる
超えそうなときの対策と、特殊な機械器具
上限を超えそうなときは、まず分電盤や動力盤で負荷の振り分けを見直すのが基本です。100V回路をa側・b側に交互に割り当てる、三相の線間に単相負荷を均等に配る、といった調整でほとんど解決します。
それでも平衡がとれない大容量の単相負荷(単相の電気炉など)は、一般送配電事業者と協議したうえで、接続のしかたを工夫します。
- 単相負荷1台:逆V結線(300kVAを超えない範囲)
- 単相負荷2台:スコット結線(1台200kVA以下なら、ふつうの変圧器2台を使うことも)
- 単相負荷3台:線路の電流が平衡するよう、各線間に1台ずつ接続
また、電気炉や溶接機のように、動くたびに大きな電流が流れて電圧を揺らす特殊な機械器具は、同じ配電線につながる周りの建物にも影響します。こうした機器を使うときは、早めに電力会社と協議します。
- まず負荷の振り分けを見直す
- 大きな単相負荷は、電力会社と協議して逆V・スコット結線など
- 電圧を揺らす特殊な機械器具は、早めに電力会社と協議
よくある質問
単相3線式と三相3線式で、不平衡率の制限はなぜ違うの?
負荷を分ける数がちがうからです。単相3線式は2つ(a側・b側)に分けるので分母は総容量の1/2で上限40%、三相は3つ(ab・bc・ca)に分けるので分母は総容量の1/3で上限30%です。
200V負荷や三相負荷は計算に入れるの?
分子には入れず、分母の総容量にだけ入れます。どちらも各線に均等にかかるので、片寄りを生まないからです。
設備不平衡率が制限を超えそうなときはどうする?
まず負荷を各線へなるべく均等に振り分け直します。大容量の単相負荷で平衡がとれない場合は、電力会社と協議のうえ、1台なら逆V結線、2台ならスコット結線、3台なら各線間に分散して接続します。
制限が適用されない例外はあるの?
三相では、低圧受電で専用の変圧器などで受電する場合、高圧・特別高圧受電で単相負荷が100kVA以下の場合、単相負荷の最大と最小の差が100kVA以下の場合などがあります。詳しくは内線規程の原文で確かめます。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 多少片寄っても動けば問題ない | 電圧の不ぞろい・過熱の原因になる |
| 上限はどの方式も同じ | 単相3線式40%、三相3線式30% |
| 分母はどちらも総容量 | 単相3線式は1/2、三相は1/3 |
| 200V負荷・三相負荷も分子に入れる | 分母の総容量にだけ入れる |
| 超えたら変圧器を大きくする | まず負荷を振り分け直す |
📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】
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