内線規程の解釈と解説【017】|電磁障害の防止
出典:電気設備技術基準の解釈 第155条・解釈の解説、電気設備に関する技術基準を定める省令 第16条・第67条・省令の解説、電波法 第2条
電磁障害とは、電気機械器具が出す高周波電流が、近くの無線設備の働きを邪魔する現象のこと。押さえるポイントは 「どんな現象か/機器ごとのコンデンサ/足りないときの防止装置と、接地・耐電圧」 の3つです。
ペン太
ハリタ
ペン太
ハリタこの記事で押さえる3つのこと
① どんな現象?(しくみ)
電磁障害とは、電気機械器具が出す高周波電流が、無線設備(ラジオやテレビなど)の機能を邪魔する現象です。省令第67条は、電気使用場所に施設する電気機械器具や接触電線が、電波や高周波電流などによって、無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設することを求めています。このうち電気機械器具の具体的な方法を、機器の種類ごとに決めているのが、解釈第155条です。
- 対策が決まっている機器は、蛍光放電灯、小型交流直巻電動機、ネオン点滅器の3種類(第155条第一号)
- 小型交流直巻電動機は、使用電圧が低圧で、定格出力が1kW以下の交流直巻電動機。電気ドリルのほか、ヘアドライヤ、電気掃除機、電気ミキサなどに使われている(解釈の解説)
- 防ぐのは、継続的かつ重大な障害。一時的・瞬間的なものや、軽微なものは、規制していない(解釈の解説)
無線設備への障害の伝わり方は、解釈の解説で、4つに分けられています。
| 伝わり方 | 内容 |
|---|---|
| ① 電波で直接 | 電気機械器具や電線路などから直接出る電波による障害 |
| ② 電路を伝わって | 使用電流に含まれる高周波分が電路に伝わり、その電路に接続された無線設備に影響する障害 |
| ③ 電路から電波に | 電路に伝わった高周波分から、さらに電路が電波を出して起こる障害 |
| ④ 接地点を通って | 接地点からの伝導による障害 |
ペン太
ハリタ- 電磁障害は、電気機械器具が出す高周波電流が、無線設備の機能を邪魔する現象。
- 防ぐのは、継続的かつ重大な障害だけ。一時的・瞬間的なものや、軽微なものは規制しない。
- 伝わり方は、電波で直接、電路を伝わって、電路から電波に、接地点を通って、の4つ。
② 機器ごとのコンデンサ(蛍光灯・電動機)
第一号のイ〜ハは、機器の種類に応じて、入れるコンデンサを決めています。まず、蛍光放電灯(イ)です。
- 適当な箇所に、静電容量が0.006μF以上0.5μF以下のコンデンサを設ける
- 放電灯と並列にコンデンサを入れると、妨害の高周波電流を最も効果的に防げる。一般的には、この方法で受信障害を解決できる(解釈の解説)
- 予熱始動式で、グローランプに並列に接続する場合は、0.006μF以上0.01μF以下
次に、小型交流直巻電動機(ロ・ハ)です。使用電圧が低圧で、定格出力が1kW以下の交流直巻電動機のことで、ノイズの元は、ブラシと整流子の接触面で起こる火花放電です(解釈の解説)。電気ドリル用か、それ以外かで、入れるコンデンサが分かれています。
- 電気ドリル用(ロ):端子相互間に0.1μFの無誘導型コンデンサ、各端子と大地の間に0.003μFの貫通型コンデンサ(十分な側路効果のあるもの)を設ける
- テレビなどの超短波帯は波長が非常に短く、標準放送波帯向けの防止器では十分な効果が期待できないため、貫通型と無誘導型を組み合わせる(解釈の解説)
電気ドリル用以外(ハ)は、次の4つのいずれかです。
| 付け方 | 入れるコンデンサ | あてはまるとき |
|---|---|---|
| (イ)原則 | 端子相互間に0.1μF。各端子と、機械器具の金属製外箱または電動機の枠、大地との間に0.003μF | 機械器具に直接入れる、ふつうの付け方 |
| (ロ)枠が絶縁されている | 端子相互間に0.1μF。各端子と、枠または大地との間に0.003μFを超える容量 | 電動機の枠が、人が触れるおそれがある金属製部分から絶縁されている機械器具 |
| (ハ)大地につなぐ | 各端子と大地との間に0.1μF | コンデンサの一端を、確実に大地とつなげるとき(端子相互間のコンデンサは省ける) |
| (ニ)近くの配線に入れる | 機械器具に接続する電線相互間に0.1μF。各電線と、機械器具の金属製外箱または大地との間に0.003μF | 機械器具に近接した箇所(解説では、コンセントの近くの屋内配線に施設する場合) |
- 蛍光放電灯は、0.006μF以上0.5μF以下(グローランプに並列なら0.01μFまで)。
- 電気ドリル用は、端子間に0.1μF(無誘導型)、各端子と大地の間に0.003μF(貫通型)。
- 電気ドリル以外は、4つの付け方のどれか。端子と外箱の間は、感電を考えて0.003μFが原則。
- 対象の電動機は、低圧で、定格出力が1kW以下のもの。
③ 足りないときの防止装置と、接地・耐電圧
コンデンサを入れても足りないときの追加対策と、ネオン点滅器、接地、耐電圧のきまりです(第155条第一号ニ・ホ、第二号、第三号)。
- 追加対策(ニ):蛍光放電灯や小型交流直巻電動機で、コンデンサを入れてもなお、無線設備に継続的かつ重大な障害を与える高周波電流が出るおそれがあるときは、その機器に接続する電路の、機器に近接する箇所に、高周波電流の発生を防止する装置(防止装置)を施設する
- D種接地工事(第二号):電動機のコンデンサ(ロ・ハ)のうち、電路と大地の間に設けるものと、防止装置(ニ・ホ)の接地側端子に施す
- 防止装置の接地側端子は、接地工事を施していない電気機械器具の金属製の台や外箱など、人が触れるおそれがある金属製部分と接続しない(第一号ニ(ロ))
- ネオン点滅器(ホ):電源端子相互間と、各接点に近接する箇所で、これらに接続する電路に、防止装置を設ける。最初から必要
- 耐電圧(第三号):イ〜ハのコンデンサは、155-1表の交流電圧を、両端子の間と、各端子と外箱の間に、連続して1分間加えたとき、耐える性能を持つ
| 電圧を加える場所 | 加える交流電圧 |
|---|---|
| 端子相互間・電線相互間(使用電圧が150V以下の電路に施設するもの) | 230V |
| 端子相互間・電線相互間(その他のもの) | 460V |
| 端子または電線と、金属製外箱・枠・大地との間 | 1,000V |
- コンデンサを入れても足りないときは、機器に近接する電路に、防止装置を追加する。
- ネオン点滅器には、最初から防止装置を設ける。
- D種接地工事は、電路と大地の間のコンデンサ(ロ・ハ)と、防止装置の接地側端子に施す。
- 防止装置の接地側端子は、接地工事を施していない金属製の台や外箱など、人が触れるおそれがある部分とつながない。
- コンデンサは、規定の交流電圧を連続して1分間加えても耐える性能が必要。
よくある質問(FAQ)
Q. 電磁障害ってどういう現象?
A. 電気機械器具が出す高周波の電流が、近くの無線設備(ラジオやテレビなど)の機能を邪魔する現象です。電波が直接届くもののほか、高周波分が電路を伝わるもの、電路から電波が出るもの、接地点を通るものがあります。規制の対象は、継続的かつ重大なものです(電気設備技術基準の解釈 第155条の解説)。
Q. 電磁障害を防ぐにはどうすればいい?
A. 蛍光放電灯と小型交流直巻電動機には、機器ごとに決まった容量のコンデンサを入れます。それでも継続的かつ重大な障害のおそれがあるときは、機器に近接する電路に、高周波電流の発生を防止する装置を追加します。ネオン点滅器には、最初から防止装置を設けます(電気設備技術基準の解釈 第155条第一号)。
Q. 接地は電磁障害対策に関係あるの?
A. 関係します。電路と大地の間に入れるコンデンサ(電動機用)と、防止装置の接地側端子には、D種接地工事を施します(第155条第二号)。また、防止装置の接地側端子は、接地工事を施していない金属製の台や外箱など、人が触れるおそれがある金属製部分とは接続しません(第一号ニ)。
Q. 根拠になる条文は?
A. 電気設備に関する技術基準を定める省令の第16条(電気的、磁気的障害の防止)と第67条(電気機械器具又は接触電線による無線設備への障害の防止)、その具体的な方法を定める電気設備技術基準の解釈の第155条です。無線設備は、電波法第2条で定義されています。
まとめ|コンデンサを入れ、足りなければ防止装置を足す
電磁障害の防止は、機器ごとに決まったコンデンサを入れ、足りなければ防止装置を足すのが基本です。接地と耐電圧のきまりも、あわせて確認します。
| 確認する項目 | 内容 |
|---|---|
| 防ぐ対象 | 無線設備の機能に、継続的かつ重大な障害を与える高周波電流(一時的・瞬間的なもの、軽微なものは規制しない) |
| 障害の伝わり方 | 電波で直接/電路を伝わって/電路から電波に/接地点を通って |
| 蛍光放電灯 | 適当な箇所に0.006μF以上0.5μF以下(予熱始動式でグローランプに並列なら0.006μF以上0.01μF以下) |
| 電気ドリル用の小型交流直巻電動機 | 端子相互間に0.1μF(無誘導型)、各端子と大地の間に0.003μF(貫通型) |
| 電気ドリル以外の小型交流直巻電動機 | 4つの付け方のどれか。原則は、端子相互間に0.1μF、端子と外箱・枠・大地の間に0.003μF |
| 追加対策 | コンデンサを入れても足りないとき、機器に近接する電路に防止装置 |
| ネオン点滅器 | 電源端子相互間と、各接点に近接する箇所で、これらに接続する電路に防止装置 |
| D種接地工事 | 電路と大地の間のコンデンサ(電動機用)と、防止装置の接地側端子 |
| コンデンサの耐電圧 | 連続して1分間。端子相互間は230V(150V以下の電路)か460V、端子と外箱・枠・大地の間は1,000V |
| 根拠 | 省令 第16条・第67条、解釈 第155条(無線設備は電波法 第2条) |
現象で押さえること
- 対策が決まっている機器(蛍光放電灯、小型交流直巻電動機、ネオン点滅器)。
- 無線設備への伝わり方(電波で直接、電路を伝わって、電路から電波に、接地点を通って)。
- 防ぐのは、継続的かつ重大な障害だけであること。
機器側の対策で押さえること
- 機器ごとに決まったコンデンサ(蛍光放電灯、電気ドリル用、ドリル以外)。
- コンデンサで足りないときの防止装置。ネオン点滅器は最初から。
- 端子と外箱の間は、0.003μFが原則(感電を考えた上限)。
接地と耐電圧で押さえること
- D種接地工事を施すもの(電路と大地の間のコンデンサ、防止装置の接地側端子)。
- コンデンサの耐電圧(連続して1分間)と、防止装置の接地側端子の扱い。
電磁障害の対策は、機器の種類ごとに決まっています。どの機器に、どのコンデンサを、どこに入れるのかを第155条で確かめ、足りないときの防止装置と、接地・耐電圧のきまりも、あわせて確認しておくと確実です。
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