内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【035】|合成樹脂管配線

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

合成樹脂管配線とは?

合成樹脂管配線とは、合成樹脂製の管(電線管)の中に電線を通して配線する方法です。耐食性や絶縁性に優れ、軽量で施工しやすいという特長があります。

電線

  1. 絶縁電線

    • 合成樹脂管配線には、絶縁電線を使用する必要があります。
    • 絶縁電線の定義については、1100-1(用語)⑪(絶縁電線)を参照してください。
  2. より線

    • 直径3.2mm(アルミ電線は4.0mm)を超える電線は、より線を使用する必要があります。
    • ただし、長さ1m程度以下の合成樹脂管に収める場合は、単線を使用できます。
  3. 接続点

    • 合成樹脂管内には、電線の接続点を設けてはいけません。

施設場所の制限

  1. 重量物・機械的衝撃

    • 合成樹脂管配線は、重量物の圧力または著しい機械的衝撃を受ける場所に施設してはいけません。
    • ただし、適切な防護装置を施す場合は、この限りではありません。
  2. コンクリート埋込み

    • コンクリート内の埋込みは、重量物の圧力または著しい機械的衝撃を受けるおそれのある場所とはみなされません。

合成樹脂管及び附属品の選定

  1. 電気用品安全法

    • 電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管及びボックスその他の附属品を使用する必要があります。
    • ただし、附属品のうち、金属製のボックス及び粉じん防爆形フレキシブルフィッチングは除きます。
  2. 端口・内面

    • 端口及び内面は、電線の被覆を損傷しないようになめらかなものである必要があります。
  3. 硬質ビニル管の厚さ

    • 原則2mm以上とします。
    • ただし、露出場所または点検できる隠ぺい場所で、乾燥した場所に接触防護措置を施す場合(屋内配線の使用電圧が300V以下の場合に限る)は、1mm以上とすることができます。
    • JIS C 8430(1999)「硬質塩化ビニル電線管」の硬質ビニル管の寸法は、3115-1表を参照してください。

安全な電気環境のために

合成樹脂管配線は、安全性を確保するために非常に重要です。電気工事の専門家にご相談いただき、適切な電線、施設場所、合成樹脂管及び附属品を選定・施工しましょう。

まとめ

  • 合成樹脂管配線には、絶縁電線を使用し、太い電線はより線を使用します。
  • 合成樹脂管内には、電線の接続点を設けてはいけません。
  • 重量物や機械的衝撃を受ける場所への施設は制限されています。
  • 電気用品安全法に適合した合成樹脂管及び附属品を使用し、端口・内面はなめらかなものを選定します。
  • 硬質ビニル管の厚さは、施設場所に応じて適切なものを選定します。

3115-1表 硬質ビニル管の寸法

太さ(管の呼び方) 外径 厚さ
14 18 2.0
16 22 2.0
22 26 2.0
28 34 3.0
36 42 3.5
42 48 4.0
54 60 4.5
70 76 4.5
82 89 5.9

3115-2表 合成樹脂製可とう管 (PF管) の寸法

太さ(管の呼び方) 外径 内径
14 21.5 14.0
16 23.0 16.0
22 30.5 22.0
28 36.5 28.0
36 45.5 36.0
42 52.0 42.0

3115-3表 CD管の寸法

太さ(管の呼び方) 外径 内径
14 19.0 14.0
16 21.0 16.0
22 27.5 22.0
28 34.0 28.0
36 42.0 36.0
42 48.0 42.0

 

管の太さの選定

同一太さの絶縁電線を同一管内に収める場合、合成樹脂管の太さは以下の基準で選定します。

  1. 絶縁電線10本以下

    • 3115-4表及び3115-5表を参照します。
  2. 絶縁電線10本超

    • 3115-6表を参照します。

硬質ビニル管の最小太さ選定表

この表は、電線の太さと本数に応じて、使用する硬質ビニル管の最小太さ(管の呼び方)を示しています。

電線太さ (mm) より線 (mm²) 1本 2本 3本 4本 5本 6本 7本 8本 9本 10本
1.6 14 14 14 16 16 22 22 28 28 28
2.0 14 16 16 16 22 22 28 28 28 36
2.6 5.5 14 16 16 22 22 28 28 28 36 36
3.2 8 14 22 22 28 28 36 36 36 36 42
14 14 22 28 36 36 42 42 54 54 70
22 16 28 36 36 42 42 54 54 70
38 16 36 42 54 54 70 70 70
60 22 42 54 54 70 70 82 82
100 28 54 70 70 82 82
150 36 70 70 82
200 42 70 82
250 42 82

表の見方

  • 表の左側の列で、使用する電線の太さを確認します。
  • 表の上側の行で、使用する電線の本数を確認します。
  • 電線の太さと本数が交差する箇所に記載されている数字が、使用するPF管またはCD管の最小太さ(管の呼び方)です。

 

PF管・CD管の最小太さ選定表

この表は、電線の太さと本数に応じて、使用するPF管とCD管の最小太さ(管の呼び方)を示しています。

電線太さ (mm) より線 (mm²) 1本 2本 3本 4本 5本 6本 7本 8本 9本 10本
1.6 14 14 14 14 16 16 22 22 22 22
2.0 14 14 14 16 22 22 22 22 22 28
2.6 5.5 14 16 16 22 22 22 28 28 28 36
3.2 8 14 22 22 22 28 28 28 36 36 36
14 14 22 28 28 36 36 42 42
22 16 28 36 36 42 42
38 22 36 42
60 22 42
100 28

表の見方

  • 表の左側の列で、使用する電線の太さを確認します。
  • 表の上側の行で、使用する電線の本数を確認します。
  • 電線の太さと本数が交差する箇所に記載されている数字が、使用するPF管またはCD管の最小太さ(管の呼び方)です。

最大電線本数選定表

この表は、電線の太さと管の種類に応じて、10本を超える電線を収める場合の最大電線本数を示しています。

電線太さ (mm) より線 (mm²) 硬質ビニル管 28 硬質ビニル管 36 硬質ビニル管 42 硬質ビニル管 54 PF管・CD管 22 PF管・CD管 28
1.6 12 19 25 40 11 18
2.0 15 20 32 15
2.6 5.5 12 16 27
3.2 8 11 19

表の見方

  • 表の左側の列で、使用する電線の太さを確認します。
  • 表の上側の行で、使用する管の種類と太さを確認します。
  • 電線の太さと管の種類・太さが交差する箇所に記載されている数字が、収容可能な最大電線本数です。

電線占有率緩和

  1. 条件

    • 管の屈曲が少なく、容易に電線を引き入れ及び引き替えることができる場合に適用されます。
  2. 緩和内容

    • 電線が同一太さで断面積8mm²以下の場合:3115-7表を参照し、電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積の48%以下とすることができます。
    • その他の場合:3110-7表、3115-8表から3115-10表を参照し、電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積の48%以下とすることができます。
  3. 引込線取付点から引込口装置まで

    • 6m以下であっても、原則として1項の規定に従うことが望ましいです。

電線引き入れ・引き替え容易な場合の最大電線本数選定表

この表は、管の屈曲が少なく、電線を引き入れ・引き替えやすい場合に、電線の太さと管の種類・太さによって収容可能な最大電線本数を示しています。

電線太さ (mm) より線 (mm²) 硬質ビニル管 14 硬質ビニル管 16 硬質ビニル管 22 PF管・CD管 16 PF管・CD管 22
1.6 4 7 11 9 17
2.0 3 6 9 7 14
2.6 5.5 3 5 7 4 9
3.2 8 2 3 5 3 6

 

異なる太さの電線を収容する場合

  1. 管の太さ選定

    • 3110-7表、3115-8表から3115-10表を参照し、電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積の32%以下となるように管の太さを選定します。
  2. 計算方法

    • 計算方法の例は、3110-5(管の太さの選定)3項〔注〕に示されています。

絶縁電線を合成樹脂管内に収めるときの補正係数

異なる太さの電線を収容する場合、以下の補正係数を用いて管の太さを計算します。

電線太さ (mm) より線 (mm²) 硬質ビニル管 PF管・CD管
1.6 2.0 1.3
2.0
2.6 5.5 1.2 1.0
3.2 8
14以上 1.0 1.0

表の見方

  • 表の左側の列で、使用する電線の太さを確認します。
  • 表の上側の行で、使用する管の種類を確認します。
  • 電線の太さと管の種類が交差する箇所に記載されている数字が、補正係数です。

硬質ビニル管の内断面積と電線占有率選定表

この表は、硬質ビニル管の太さ(管の呼び方)に応じて、内断面積の32%と48%を示しています。これらの値は、電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積に対して占める割合を計算する際に使用します。

電線管の太さ (管の呼び方) 内断面積の32% (mm²) 内断面積の48% (mm²) 電線管の太さ (管の呼び方) 内断面積の32% (mm²) 内断面積の48% (mm²)
14 49 73 36 307 461
16 81 122 42 401 602
22 121 182 54 653 980
28 196 295 70 1,127 1,691
82 1,497 2,245

表の見方

  • 表の左側の列で、使用する硬質ビニル管の太さ(管の呼び方)を確認します。
  • 表の中央の列で、内断面積の32%の値を確認します。
  • 表の右側の列で、内断面積の48%の値を確認します。

PF管・CD管の内断面積と電線占有率選定表

この表は、PF管とCD管の太さ(管の呼び方)に応じて、内断面積の32%と48%を示しています。これらの値は、電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積に対して占める割合を計算する際に使用します。

電線管の太さ (管の呼び方) 内断面積の32% (mm²) 内断面積の48% (mm²)
14 49 73
16 64 96
22 121 182
28 196 295
36 325 488
42 443 664

表の見方

  • 表の左側の列で、使用するPF管またはCD管の太さ(管の呼び方)を確認します。
  • 表の中央の列で、内断面積の32%の値を確認します。
  • 表の右側の列で、内断面積の48%の値を確認します。

電線占有率の計算

  • 電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が、表に記載された内断面積の32%または48%以下となるように、管の太さを選定します。
  • 32%は、異なる太さの電線を収容する場合に適用されます。
  • 48%は、管の屈曲が少なく、電線を引き入れ・引き替えやすい場合に適用されます。

配管ルール

  1. 端口のなめらかさ

    • 合成樹脂管の端口は、電線の被覆を損傷しないようになめらかなものである必要があります。
  2. 管及び附属品の施設

    • 合成樹脂管配線に使用する管及びボックスその他の附属品は、以下の各号により施設する必要があります。
      • ① 温度変化による伸縮を考慮すること。
      • ② コンクリート内に集中配管して建物の強度を減少させないこと。
      • ③ 壁内の埋込みボックスなどは、コンクリート打設時に損傷を受けないような十分な強度のものを使用すること。
      • ④ 管の屈曲は、3110-8(管の屈曲)の規定に準じて施設すること。
      • ⑤ CD管は、直接コンクリートに埋込んで施設する場合を除き、専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設すること。

管及び附属品の連結・支持ルール

  • 堅ろうな支持

合成樹脂管相互及び合成樹脂管とその附属品との連結及び支持は、堅ろうに、かつ造営材その他に確実に支持する必要があります。

  • サドルなどによる支持

合成樹脂管をサドルなどで支持する場合は、以下の点に注意する必要があります。

支持点間の距離は1.5m以下とする。

支持点は、管端、管とボックスとの接続点及び管相互の接続点のそれぞれの近くの箇所(0.3m程度)に設ける。

合成樹脂製可とう管の場合は、支持点間の距離を1m以下とするのが望ましい。

  • 差し込み接続

合成樹脂管相互及び管とボックスとは、差し込み深さを管の外径の1.2倍(接着剤を使用する場合は0.8倍)以上とし、かつ、差し込み接続により堅ろうに接続する必要があります。

  • 機械的固定の省略

不燃性の組立式建物など技術上やむを得ない場合で、合成樹脂管及びプルボックスを乾燥した場所において不燃性の造営材に堅ろうに施設するときは、管とプルボックス相互の機械的固定を省くことができます。

  • 管相互の接続

管相互の接続は、ボックス又はカップリングを使用するなどし、直接接続はしてはいけません。

ただし、硬質ビニル管相互の接続は、この限りではありません。

  • 可とう管・CD管のボックスへの引込み

合成樹脂製可とう管又はCD管をボックス又はプルボックスの中に引き込む場合は、水がボックス又はプルボックスの内に浸入し難いように施設する必要があります。

 

アウトレットボックス類のルール

  1. アウトレットボックスの使用

    • 照明器具、コンセント、点滅器などの取付け位置には、アウトレットボックス又はこれに相当するものを使用する必要があります。
    • ただし、露出した引下げ配線の末端又はこれに類する場合は、木台を使用することができます。
  2. ボックスの容積

    • ボックスは、十分な容積のあるものを選定する必要があります。
  3. ボックスのカバー

    • ボックスには、照明器具などで覆われる場合を除き、カバーを取り付ける必要があります。
  4. プルボックス及びジョイントボックス

    • プルボックス及びジョイントボックスについては、3110-10(プルボックス及びジョイントボックス)の規定を準用します。

接地ルール

  1. 使用電圧300V以下の場合

    • 合成樹脂管に金属製のボックス又は粉じん防爆形フレキシブルフィッチングを接続して使用する場合は、ボックス又は粉じん防爆形フレキシブルフィッチングにD種接地工事を施す必要があります。
    • ただし、以下のいずれかに該当する場合は、D種接地工事を省略できます。
      • ① 乾燥した場所に施設する場合
      • ② 屋内配線の使用電圧が直流300V又は交流対地電圧が150V以下の場合において、簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合
  2. 使用電圧300Vを超える場合

    • 合成樹脂管に金属製のボックス又は粉じん防爆形フレキシブルフィッチングを接続して使用する場合は、C種接地工事を施す必要があります。
    • ただし、接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合はD種接地工事によることができます。
  3. 異種回路との離隔

    • 3102-7(配線と他の配線又は弱電流電線、光ファイバケーブル、金属製水管、ガス管などとの離隔)の規定により強電流回路の電線と弱電流回路の弱電流電線を同一のボックス内に収める場合は、隔壁を施設し、C種接地工事を施すか、又は金属製の電気的遮へい層を有する通信ケーブルを使用し、当該遮へい層にC種接地工事を施す必要があります。

(注)

  • この記事は、電気技術規程・解釈に基づいた一般的な情報提供を目的としています。
  • 実際の設置にあたっては、必ず専門家にご相談ください。
  • 最新の情報については、関連法令をご確認ください。

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