出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
🔧電動機の負荷算定と分岐回路の選定方法
電動機(モーター)を使うときに大事なのが「どのくらい電気が必要か」をちゃんと計算すること。これを負荷算定といいます。
✅【1】電動機の負荷算定ってなに?
ざっくり言うと「モーターにどれだけ電気が必要か」を調べること。使うモーターによって負荷の計算方法がちがいます。
💡汎用モーター(普通のモーター)
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モーターについてる**銘板(ネームプレート)**に書かれた「定格電流」をそのまま使うのが基本。
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出力別に規約電流が決まっているから、そこから選ぶこともできるよ!
💡インバーター付き/エアコン・冷凍機など特殊なモーター
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メーカーの資料を見るのが確実!
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圧縮機は「銘板電流 × 1.2」で計算することも多いよ。
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冷凍機やチラーは「起動時の電流」に注意!
✅【2】モーター回路は“原則”1台1回路!
電動機はスタート時に大きな電流を流すから、基本的に**1台につき1回路(専用回路)**をつけてあげるのがルール。
✅【3】例外もあるよ!(複数モーターの共用)
以下のようなケースでは、1つの回路に複数台のモーターをつなぐこともOK!
ケース | 条件 |
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① 小型のモーターだけ使うとき | 15Aや20Aのブレーカーで、合計容量が2.2kW以下ならOK |
② 各モーターに過負荷保護があるとき | 制御盤の中などで1つの回路に複数台つなぐことがあるよ |
③ 機械的に一体の装置 | クレーンやコンベアなど、複数台のモーターがセットで動く場合 |
✅ここまでのまとめ
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電動機は、種類によって定格電流の見方や考え方が違う!
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基本は1台1回路。でも条件を満たせば例外もある。
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メーカー資料や内線規程をよく確認することが大事!
なるほどね〜。とりあえずモーター1台ずつ回路わけとけば安心ってことだね!
そうそう。あとインバータとか冷凍機はクセがあるから、仕様書をちゃんと見てね。
⚡【電動機の分岐回路に必要な開閉器とブレーカーの選び方】
電動機に安全に電気を送るには、ただ電線をつなげばいいわけじゃありません。
「開閉器」と「過電流遮断器(ブレーカー)」を正しく選んで設置することがとても大事です!
✅【1】そもそも、設置しないといけないの?
内線規程 3605-で、電動機の分岐回路には開閉器とブレーカーの設置が必要とされています。これは感電や火災のリスクを減らすための安全ルールです。
✅【2】分岐開閉器はどう選べばいい?
🔸開閉器の定格電流は、そこに設置する過電流遮断器(ブレーカー)と同じか、それ以上の値で選びます。
→ そうしないと、安全に「オン/オフ」できないんだ。
✅【3】過電流遮断器(ブレーカー)はどう選ぶ?
ブレーカーを選ぶときには、電動機の特性に合わせた考慮が必要!
【A】定格電流の基本ルール
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電動機の定格電流 ×3(50A超の場合は×2.75)
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そこに他の機器の定格電流も足してOKな範囲に収める
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起動電流で誤って動作しないような大きさを選ぶ
【B】電線の許容電流とのバランスもチェック!
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電線が流せる最大電流(許容電流)も忘れず確認!
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原則は「電線の許容電流 ≧ ブレーカーの定格電流」
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ただし条件を満たせば、電線の2.5倍以下で選定することも可能。
【C】専用回路の場合の特例
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電動機“だけ”に使う専用回路なら、ちょっと融通が利く。
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「1360-4」に適合する専用ブレーカーなら、電線の許容電流ぴったりのサイズでもOK。
✅【まとめ】
ポイント | 内容 |
---|---|
開閉器の定格 | ブレーカーと同等以上にする |
ブレーカーの選び方 | 起動電流に耐えて、安全に遮断できるサイズに |
電線とのバランス | 許容電流を超えないようにする |
専用回路なら | 特定の条件下で制限が緩和されることも |
ふーん、スイッチとブレーカーにもちゃんとルールがあるんだね。感電とか事故にならないようにってことか〜!
そうそう、安全第一!あと、メーカーの仕様や施工環境も見ながら選ぶのが大事だよ。
🛠️電動機に使うスイッチとブレーカーのルール
電動機を安全に動かすには、「スイッチ」と「ブレーカー」をちゃんと設置することが必要なんだ。これは事故防止のために、ルール(内線規程3605-4)で決まってるよ。
✅【1】開閉器とブレーカーの両方が必要!
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電動機に電気を送る分岐回路には、**開閉器(ON/OFFするスイッチ)と過電流遮断器(ブレーカー)**を設置するのが基本。
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感電や火災を防ぐための、法律で決められた安全ルール!
✅【2】開閉器の定格電流は、ブレーカー以上!
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スイッチの定格電流(壊れずに扱える最大電流)は、ブレーカーの定格電流と同じか、それ以上じゃないとダメ。
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これでスイッチ操作中に回路が壊れるのを防げる!
✅【3】ブレーカーの選定ルール
🔸電動機が1台だけの場合
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ブレーカーの定格電流は、電動機の定格電流の3倍までOK!
※電動機が50A超える場合は、2.75倍まで -
他の機器と一緒に使うときは、その定格電流も合計して計算。
🔸電線とのバランスも大事!
-
原則として、電線の許容電流 ≧ ブレーカーの定格電流じゃないとダメ!
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ただし、過負荷保護装置との協調が取れるなら、電線の2.5倍以下のブレーカーでもOK。
🔸ちょっと特殊な場合…
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電線の許容電流が100A超で、計算で中途半端な値になったら、直近の上位の定格値のブレーカーでOK。
-
専用回路で、「1360-4」に適合する遮断器を使う場合は、電線と同じ定格電流でも大丈夫!
✅ここまでのまとめ
項目 | ポイント |
---|---|
開閉器 | ブレーカー以上の定格電流 |
ブレーカー(基本) | 電動機の定格電流の3倍(または2.75倍)以下 |
電線とのバランス | 原則:許容電流 ≧ ブレーカー定格電流 |
特例あり | 単独回路や協調が取れていれば柔軟な対応もOK |
🔌電動機用の電線、どれだけ太くすればいいの?
電動機(モーター)に電気を送るには、その電流に見合った「太さの電線」を使わなきゃいけません。細すぎると…火災や故障の原因になることも!
✅【1】電線の「許容電流」ってなに?
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許容電流とは、その電線が安全に流せる最大の電流のこと!
-
超えると…電線の被覆が溶けたり、漏電・火災のおそれが⚠️
✅【2】電動機用の電線に必要な太さは?
▶ 電動機ごとに分岐回路を引くときのルールはこんな感じ👇
電線の条件 | 必要な許容電流 |
---|---|
通常 | 過電流遮断器の 40%以上(=1/2.5倍以上) |
がいし引き配線 | がいし配線の許容電流を適用できる |
✅【3】電動機がずっと動いてる(連続運転)の場合
電動機の定格電流に応じて必要な電線の許容電流も変わるよ!
定格電流 | 電線に必要な許容電流 |
---|---|
50A以下 | 定格電流の 1.25倍以上 |
50A超 | 定格電流の 1.1倍以上 |
✅【4】短時間・断続的な運転の電動機なら?
ずーっと動いてるわけじゃない電動機(例:断続運転や変動負荷)では、実際の発熱量を考慮して、**“熱的に等価な電流値”**を基に電線サイズを選んでもOK。
👉要は、使用状況に合わせて柔軟に考えようってこと!
🔍ここまでのまとめ
ポイント |
---|
電線の太さは「許容電流」で決める! |
分岐回路なら、遮断器の40%以上の許容電流 |
連続運転モーターなら、定格電流の1.25倍 or 1.1倍 |
短時間使用モーターなら、熱的に等価な電流値でもOK |
🚨【電動機の保護ってどうするの?】
✅【1】過負荷保護装置って?
モーターが想定以上の負荷で動き続けると、熱くなりすぎてコイルが焼ける危険があります⚠️
👉 そんなとき、自動で電気を止めてくれるのが「過負荷保護装置」!
代表的な装置はこちら👇
🔹 電動機用ヒューズ
🔹 配線用遮断器(モーター保護タイプ)
🔹 熱動継電器(サーマルリレー)
✅【2】でも、保護装置がいらない場合もあるよ!
実は、例外もあるんです👇
ケース | 内容 |
---|---|
✅ 電動機に保護装置が内蔵されている | メーカーが最初からつけてる場合 |
✅ モーターが小さくて焼けにくい | 35W以下の交流モーターなど |
✅ 常に人が見てる | ホイスト・工作機械など |
✅ そもそも過負荷の心配がない | 特定の負荷条件で |
✅ 単相モーターで15A以下の回路から電源供給 | (20A以下の配線用遮断器でも可) |
✅ 出力が0.2kW以下の小型モーター | 焼損リスクが少ない |
✅【3】欠相(けっそう)保護も忘れずに!
欠相ってなに?
→ 三相のうち1本でも電源が途切れると、電動機はうまく動かず、壊れてしまう危険性があるんだ。
だから…
📌「欠相保護装置」をつけて、電源の異常を自動で検出&遮断!
👉 欠相による損傷が起きないように、防止が必須なんだよ。
※どうしても遮断じゃなくていい場合は、警報だけの装置でもOKなケースもあるよ。
🔍ここまでのまとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
🛑 過負荷対策 | ヒューズ・サーマルリレーなどで焼損を防ぐ |
🚫 欠相対策 | 欠相保護装置や警報装置で安全を確保 |
✅ 装置が不要なケース | 小型モーターや一部の条件付きで例外あり |
🔧電動機の過負荷保護装置と欠相保護のポイント
✅1. 過負荷保護装置ってなに?
過負荷とは、電動機に本来より大きな負荷(負担)がかかってしまう状態のこと。これが長く続くと、電動機が高温になり、焼損してしまうリスクがあります。
このリスクを避けるために使われるのが「過負荷保護装置」。代表的な装置は以下のようなものです:
🔹 電動機用ヒューズ
🔹 電動機保護用配線用遮断器
🔹 熱動継電器(サーマルリレー)
これらの装置は、過負荷を検知すると電路を自動で遮断して、電動機を保護してくれます。
🛑2. 設置しなくてもよいケースもある?
🔽以下のような場合は、過負荷保護装置の設置が免除されることがあります:
- 電動機にすでに保護機能が内蔵されている
- 定格出力が0.2kW以下の小型電動機
- 35W以下で、電線のインピーダンスが高く、始動不能でも焼損のおそれがない場合
- 操作する人が常に監視している(例:ホイスト、工作機械)
- 過負荷になるような運転がそもそも起こらない負荷
- 単相電動機で、15A(遮断器の場合は20A)以下の分岐回路で使用する
⚡3. 欠相保護装置って?
欠相時の焼損を防ぐために、欠相保護装置を設置することが義務づけられています。
※欠相を検知して警報を出す「警報装置」でも代替可能な場合もあります。
📝ここまでのまとめ
装置名 | 目的 | 設置が必要な理由 |
---|---|---|
✅過負荷保護装置 | モーターの焼損防止 | 過負荷で高温になるのを防ぐ |
✅欠相保護装置 | 電源の欠相による異常を防止 | 三相電源の一部が切れたときの破損防止 |
⚙️電動機の簡単な選定方法!表でサクッと設計できるってホント?
✅1. 一般的な三相誘導電動機の場合(200V/400V)
以下に該当する電動機なら、3705-1表〜3705-4表を使って設計OK!
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汎用の三相誘導電動機(エレベーターや冷凍機などは除く)
-
インバータ制御なし
-
進相コンデンサなし
📌ポイント
-
3705-3表・3705-4表は「トップランナーモータ」用(2015年4月以降の高効率タイプ)。
-
古いモータや混在する場合は、別の資料を確認しましょう。
🧊2. 特殊な電動機・インバータ使用時の設計方法
以下のような機器は個別に負荷算定が必要になります。
🚠 エレベーター:起動・加速時の電圧降下に注意。
❄️ パッケージ形エアコン:メーカーの資料を確認。
🧊 冷凍機・ウォーターチリングユニット:冷却方式により変わる。
🌀 開放形冷凍機(汎用モータ使用):3705-1表や資料を参照。
⚡ インバータ制御モータ:電流値はメーカー資料で確認!
📚設計時は、「3705-1(負荷算定)」の2項を使って正確な電流値を出すことがポイントです。
📝まとめ
電動機の種類 | 設計方法 | 補足 |
---|---|---|
汎用三相誘導モータ(200V/400V) | 3705表で簡便設計OK | 進相コンデンサなしが前提 |
特殊用途・インバータ使用 | 個別に電流算定が必要 | メーカー資料必須 |