内線規程の解釈と解説【０５９】｜1,000Ｖを超えるネオン放電灯

出典（内線規程(JEAC8001-2022)）より

記事のテーマ

電気設備の安全性を確保するための、1,000Vを超えるネオン放電灯施設に関するルールについて解説する。

ネオン放電灯とは？

ネオン放電灯とは、ネオンガスを封入した放電管に高電圧をかけて発光させる照明器具のことです。看板や装飾などに使用されます。

1,000Vを超えるネオン放電灯施設ルール

1. 適用範囲

   • この節の規定は、管灯回路の使用電圧が1,000Vを超えるネオン放電灯を屋内に施設する場合に適用されます。
   • 前項のネオン放電灯を屋側又は屋外に施設する場合についても本節の規定を準用します。

2. 対地電圧

   • 1項の放電灯に電気を供給する電路の対地電圧は、150V以下とする必要があります。
   • ただし、住宅以外の場所において、以下の各号により施設する場合は、300V以下とすることができます。
     • ① ネオン管は、接触防護措置を施すこと。
     • ② ネオン変圧器は、屋内配線と直接接続して施設すること。

3. 分岐回路

   • ネオン放電灯は、15A分岐回路又は20A配線用遮断器分岐回路で使用する必要があります。
   • この場合、ネオン放電灯と電灯及び小形機械器具とは、併用することができます。

4. 開閉器などの施設

   • 1分岐回路に数個のネオン変圧器を接続する場合は、各変圧器ごとに専用の2極開閉器又はコンセントを設ける必要があります。
   • ただし、ネオン放電灯の点滅に使用する操作用開閉器は、分岐回路中に施設し、単極とすることができます。（勧告）
   • 開閉器の施設例図は、3230-1図に示されています。

ネオン変圧器の施設ルール

1. 安全性の確保

   • ネオン変圧器は、簡易接触防護措置を施すとともに、危険のおそれがないように施設する必要があります。

2. 電気用品安全法の適用

   • ネオン変圧器は、電気用品安全法の適用を受けるものである必要があります。

3. 二次側の接続

   • ネオン変圧器は、二次側を直列又は並列に接続して使用してはいけません。
   • ただし、調光装置付きなどのように特殊な用途に使用するものは、この限りではありません。

4. 屋外施設

   • ネオン変圧器を雨線外に施設する場合は、屋外形のものを使用する必要があります。
     • 屋外用のネオン変圧器は、正規の取付状態においてブッシングが下向きとなるのが普通です。
     • 変圧器を横向き又は転倒などして取り付けると、ブッシング取付け部分から箱内に浸水するおそれがあるため、注意が必要です。

5. 定格二次短絡電流

   • 定格二次短絡電流が30mAを超える変圧器を使用する場合は、3230-10（定格二次短絡電流が30mAを超えるネオン変圧器を施設する場合）の規定により施設する必要があります。

ネオン管回路の配線ルール

1. がいし引き配線

   • ネオン管回路の配線は、がいし引き配線により、以下の各号によるほか、メタルラス張りなどとの絶縁の規定により施設する必要があります。
     • ① 電線には、ネオン電線を使用すること。
       • ネオン電線の定格電圧には、7,500Vと15,000Vの2種があるので、電圧区分により適切に使用する必要があります。
     • ② 配線は、外傷を受けるおそれがなく、かつ、接触防護措置を施した露出場所又は点検できる隠ぺい場所（管灯回路の配線のために設けた場所に限るものとし、普通の屋根裏、戸だな、押入れなどは含まない。）に施設すること。
     • ③ 電線は、磁器又はガラス製などのがいしにより堅ろうに支持し、造営材の下面又は側面に取り付け、かつ、以下により施設すること。
       • ただし、電線を露出場所に施設する場所において技術上やむを得ないときは、造営材の上面に取り付けることができます。
         • a. 電線相互間の隔離距離は、6cm以上であること。
         • b. 電線と造営材との離隔距離は、3230-1表によること。
         • c. 電線支持間の距離は、1m以下とすること。
     • ④ 電線相互の接続点は、電線の接続の規定によるほか、厚さ4mm以上のがい管、1mm以上のガラス管、磁器製のジョイントケースなどに収め、かつ、接続点をがい管などの管端から3cm以上となるようにすること。
       • ただし、サイン用ダクトの内部に収めたもの、その他、人が触れるおそれがないように防護したものは、この限りではありません。
     • ⑤ 電線が、造営材又はサイン用ダクト構成材などを貫通する場合は、その部分を厚さ4mm以上のがい管に収め、かつ、がい管の両端を造営材などから4cm以上突き出すこと。

ネオン管回路の配線における電線と造営材との離隔距離（3230-1表）

ネオン管回路の配線において、電線と造営材（建物などの構造物）との間に適切な距離を保つことは、感電事故を防ぎ、安全な電気環境を確保するために非常に重要です。

1. 露出場所

露出場所とは、配線が直接見える場所のことです。

• 6,000V以下の場合：電線と造営材との離隔距離は、2cm以上とする必要があります。
• 6,000Vを超え9,000V以下の場合：電線と造営材との離隔距離は、3cm以上とする必要があります。
• 9,000Vを超える場合：電線と造営材との離隔距離は、4cm以上とする必要があります。

2. 点検できる隠ぺい場所

点検できる隠ぺい場所とは、配線が隠れていて通常は見えませんが、点検のために容易にアクセスできる場所のことです。

• 電圧区分に関わらず、電線と造営材との離隔距離は、6cm以上とする必要があります。

 

ネオン管回路の配線ルール（放電灯管極間接続部など）

1. 適用範囲

   • 管灯回路の配線のうち、放電灯の管極間を接続する部分、ネオン管取付けわく内に施設する部分、又は造営材に沿って施設する部分（ネオン管からの長さが2m以下の部分に限る。）を以下の各号により施設する場合は、前項の規定によらないことができます。

2. ガラス管の使用

   • ① 電線は、厚さ1mm以上のガラス管に収める必要があります。
     • ただし、電線の長さが10cm以下の場合は、この限りではありません。

3. ガラス管の支持

   • ② ガラス管の支持点間の距離は、50cm以下である必要があります。
   • ③ ガラス管の支持点間のうち、最も管端に近いものは、管端から8cm以上12cm以下の部分に設ける必要があります。
   • ④ ガラス管は、造営材に堅ろうに取り付ける必要があります。

4. 塩害対策

   • 3. 塩害により、がいしなどが汚損されるおそれが多い場所に施設する管灯回路の配線は、がいしやがい管を接地した金属材に取り付けるなどして、可燃材に漏えい電流が流れることがないように施設する必要があります。

ネオン管の施設ルール

1. がいしによる支持

   • ネオン管は、外傷を受けるおそれがなく、かつ、接触防護措置を施し、造営材と直接接触しないように磁器又はガラス製のがいしにより堅ろうに支持する必要があります。
   • ただし、突出し看板のようにわく組みしてネオン管を取り付ける場合において技術上やむを得ないときは、がいしを使用せずに外径6mm以上で厚さ2mm以上又はこれと同等以上の機械的強度を有するガラス管を組み合わせ、各交点とわく組とを緊縛し、このガラス管に管灯を堅ろうに緊縛して支持することができます。

2. 支持点の設置

   • ネオン管は、管端から8cm以上で12cm以下の箇所及び中間の適当な箇所に支持点を設ける必要があります。

3. 管極部のリード線の離隔距離

   • 管極部のリード線の離隔距離は、3230-1表により施設する必要があります。

4. 造営材などを貫通する場合

   • 管極が造営材又はサイン用ダクトの構成材などを貫通する場合は、その部分を厚さ4mm以上のがい管に収め、かつ、がい管の両端を造営材などから4cm以上突き出す必要があります。

配線と他の配線などとの離隔距離ルール

1. 離隔距離の確保

   • 管灯回路の配線が他の配線、弱電流電線、光ファイバケーブル、金属製水管、ガス管若しくはこれらに類するものと接近し、又は交差する場合は、3102-7（配線と他の配線又は弱電流電線、光ファイバケーブル、金属製水管、ガス管などとの離隔）の規定により施設する必要があります。

自動点滅装置のルール

1. ネオン変圧器の一次側への取付け

   • 自動点滅装置は、ネオン変圧器の一次側に取り付ける必要があります。
   • ただし、特殊な構造のものは、この限りではありません。
   • 自動点滅装置の定格電流は、ネオン変圧器の定格電流の2倍以上のものが望ましいです。

2. 高周波電流の発生防止

   • 1項の自動点滅装置には、電源端子相互間及び各接点に近接する箇所において、これらに接続する電路に高周波電流の発生を防止する装置を設ける必要があります。

ネオン変圧器の接地ルール

1. D種接地工事

   • ネオン変圧器の外箱、ネオン変圧器を収める金属箱、管灯を支持する金属わくなどは、D種接地工事を施す必要があります。

定格二次短絡電流が30mAを超えるネオン変圧器の施設ルール

1. ネオン電線の使用

   • 管灯回路の配線には、ネオン電線を使用し、裸電線の部分をなるべく短くする必要があります。

2. 危険表示と施錠

   • サイン塔などの入口には、人が見やすいよう適当な大きさの危険表示を行い、かつ、扉には錠をかける必要があります。

3. 施設場所の制限

   • ネオン変圧器及び管灯回路の配線は、床又は窓などから容易に手が届く範囲内の場所又は水中に施設してはいけません。

4. 接地線の使用

   • 接地線には、直径2.6mmのIV電線又はこれと同等以上の太さ及び絶縁効力のあるものを使用する必要があります。

ネオン変圧器の二次側電路を接地する場合の施設ルール

1. 地絡遮断装置の施設

   • 二次側電路に地絡が生じたときに自動的に当該電路を遮断する装置を施設する必要があります。

2. 接地線の使用

   • 接地線には、引張り強さ0.39kN以上の容易に腐食しがたい金属線又は1.6mm以上の軟銅線であって、故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものを使用する必要があります。

まとめ

• ネオン放電灯の対地電圧は、原則として150V以下にしましょう。
• 住宅以外の場所で300V以下で使用する場合は、接触防護措置を施し、ネオン変圧器を屋内配線と直接接続しましょう。
• 分岐回路は、15A又は20Aの分岐回路を使用しましょう。
• ネオン変圧器ごとに専用の開閉器又はコンセントを設けましょう。

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（注）

• この記事は、電気技術規程・解釈に基づいた一般的な情報提供を目的としています。
• 実際の設置にあたっては、必ず専門家にご相談ください。
• 最新の情報については、関連法令をご確認ください。

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