出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
臨時架空電飾の施設基準と安全対策
臨時架空電飾とは、イベント会場や工事現場などで一時的に設置される照明設備を指します。仮設とはいえ、感電や漏電といったリスクを避けるために、施設方法や構造には厳密なルールが設けられています。
この記事では、臨時架空電飾の施設基準や、設置時の安全対策について、電気工事に関わる方や現場管理者にもわかりやすく解説します。
臨時架空電飾とは?
臨時架空電飾とは、展示会や祭り、建設現場などで一時的に使用される電飾設備です。一般的に「仮設の電球や照明を空中に張って使うもの」とイメージするとよいでしょう。
使用電圧の制限
臨時架空電飾に電力を供給する際の使用電圧は150V以下に制限されています。特に屋内に設置する場合は、対地電圧が150V以下であることが求められます。
施設期間の制限
臨時架空電飾の設置には期間制限があります。
設置工事が完了した日から4か月を超えて施設することはできません。
電線の施設方法と構造
電線の種類と太さ
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絶縁電線またはそれ以上の絶縁性能を持つ電線を使用します。
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電線の太さは、支持点間の距離に応じて3591-1表に準じた軟銅線、または同等以上の強度があるものを選定します。
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メッセンジャーワイヤを使用するかどうかで必要な太さが異なります。
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支持点間が30mを超える場合は、メッセンジャーワイヤが必須となります。安全確保のため、メッセンジャーワイヤなしの電線は認められません。
電線の支持方法
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両端をがいしでしっかり引き留める必要があります。
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メッセンジャーワイヤ使用時は20mごとに電線をテープで固定し、ハンガーやバインド線で支持します。
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スパンワイヤを使う場合は、がいしで絶縁する構造とします。
メッセンジャーワイヤとスパンワイヤの基準
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引張強さ3.69kN以上の金属線、または直径4mm以上の亜鉛めっき鉄線を使用します。
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メッセンジャーワイヤは20mを超える区間には2条以上設ける必要があります。
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両端はがいしで引き留めるか、玉がいしを挿入して絶縁する構造とします。
分岐回路・電線こう長
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使用する分岐回路は15Aまたは20Aです。
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分岐開閉器から最終ソケットまでの電線こう長は100m以内とする必要があります。
開閉器と過電流遮断器の防水措置
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雨線外に施設する場合、開閉器や遮断器は防水構造のものを使用するか、防水箱に収める必要があります。
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使用環境に応じて、防湿形、防雨形、防まつ形、防浸形などから適切なものを選定します。
電線・ワイヤ・器具の高さ基準
設置場所 | 必要な高さ |
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屋内 | 床面上2.3m以上 |
屋側 | 地表上2.5m以上 |
屋外・車道横断 | 5m以上 |
屋外・車道沿い | 4.5m以上 |
屋外・その他 | 3m以上 |
漏電遮断器の設置義務
臨時架空電飾に電気を供給する回路には、必ず漏電遮断器を設置しなければなりません。
感電防止や火災予防のための最重要ポイントです。
まとめ|臨時架空電飾の安全対策を確実に
臨時架空電飾は、見た目にはシンプルでも、多くの安全基準に基づいて設置されるべきものです。使用電圧や設置期間、支持方法、電線のこう長や高さなど、各項目に明確なルールがあります。
電気工事に携わる方は、これらの施設基準を正しく理解し、安全な仮設照明の実現を心がけることが重要です。
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