技術図書館床下に隠すのではなく、開けて直せるように電線は300Vを境に選び分ける。支持点間はケーブル2m以下、屈曲半径は外径の6倍以上この資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
📚 内線規程の解説シリーズ(全119条文+テーマ解説)|条文・テーマから探せる 総合インデックスはこちら →

出典:電気設備の技術基準の解釈 第164条・第1条・第12条・第156条・第167条

アクセスフロアは床下に配線スペースを設けた二重床で、オフィスビルやデータセンターで使われます。床下の配線は、ケーブル工事などの決まりで施設します。場所の区分と使用電線・支持・接続と接地が要点です。電気設備の技術基準の解釈にそって、3つに整理します。

床下は、点検できる隠ぺい場所か 解釈第1条第三十号。
電線は、164-1表から ケーブル工事の決まりで選ぶ。
ケーブル相互は、器具で接続 接続箱その他の器具を使う。
金属部分は、接地する 300V以下はD種。
ペン太ペン太
アクセスフロアの中って、どんな電線でも転がしておけばいいんですよね?
ハリタハリタ
ケーブル工事の決まりで選びます。164-1表のとおり、電圧と、点検できる場所かどうかで使える電線が変わります。

この記事で押さえる3つのこと

  • 床下が点検できる隠ぺい場所かを考え、164-1表で電線を選ぶ。
  • 支持点間はケーブル2m・キャブタイヤ1m。被覆を傷めない。
  • 接続は接続箱などの器具で。金属部分は接地する。
この記事の道案内
電気設備の技術基準の解釈にそって、アクセスフロア内のケーブル配線のルールを4つの視点で整理します。
この記事の内容を、ツールで計算する幹線・分岐回路 一気通貫計算電流を入れると、遮断器・電線サイズ・電線管まで一度に出ます
ツールを開く登録不要セコサポ(姉妹サイト)

1. 使用電線の種類

点検できる隠ぺい場所の定義 容易に接近し、点検できる。
300V以下で点検できるなら 2種・ビニルキャブタイヤも可。
300V超か、点検できないなら ケーブルか3種・4種。
ケーブル工事は、全区分で使える 156-1表です。
  • アクセスフロアの床下は、床パネルを外して容易に点検できるかで場所の区分を考える。点検できる隠ぺい場所は、点検口がある天井裏、戸棚又は押入れ等、容易に電気設備に接近し、又は点検できる隠ぺい場所(解釈第1条第三十号)
  • ケーブル工事は、156-1表のすべての施設場所の区分で使える工事
  • 電線は164-1表による。ケーブルと3種・4種のキャブタイヤケーブルはどの場合も使える。2種キャブタイヤケーブルやビニルキャブタイヤケーブルなどは、300V以下で展開した場所か点検できる隠ぺい場所だけ(第164条第1項第一号)
  • ケーブル工事の低圧配線が弱電流電線や水管・ガス管などと接近・交差するときは、接触しないように施設する(第167条第2項)
ペン太ペン太
床パネルの上に什器が載っていても、点検できる場所なんですか?
ハリタハリタ
容易に接近し、点検できるかで決まります。パネルを外せないなら、点検できる隠ぺい場所に当たるかを確かめましょう。
使用電圧・場所 使える電線(164-1表)
300V以下・点検できる ケーブル、キャブタイヤケーブル(2種・ビニル・耐燃性ポリオレフィンなども)
300V超 ケーブル、3種・4種のキャブタイヤケーブルなど
点検できない ケーブル、3種・4種のキャブタイヤケーブルなど
たとえるなら
アクセスフロアは、床下の収納庫
床パネルを外せば、中の配線を出し入れできます。だからこそ、本当に「容易に点検できる」状態かどうかで、使える電線が変わります。
ここに注意!
「アクセスフロアの中なら、どの電線でもよい」ではありません。
床下の配線もケーブル工事の決まりによります。電線は164-1表のとおりで、電圧と場所の区分の組み合わせで使えるものが決まります(解釈第164条第1項第一号)。
ここに注意!
「2種キャブタイヤは、300Vを超えても使える」ではありません。
2種キャブタイヤケーブルやビニルキャブタイヤケーブルなどは、使用電圧300V以下で、展開した場所か点検できる隠ぺい場所に施設する場合だけ使えます(164-1表)。
ここまでのポイント
  • 床下は、容易に点検できるかで場所の区分を考える。
  • ケーブル工事は、156-1表のすべての区分で使える。
  • 電線は164-1表。2種・ビニルキャブタイヤ等は300V以下の点検できる場所まで。
  • 弱電流電線や水管・ガス管とは、接触しないように施設する。


2. 支持・屈曲

造営材に沿うなら、2m以下 キャブタイヤは1m以下。
重量物・衝撃には、防護装置 第164条第1項第二号。
被覆を損傷しないように 第164条第1項第三号。
曲げ半径の数値 解釈には書かれていない。
  • 電線を造営材の下面又は側面に沿って取り付けるときは、支持点間をケーブル2m以下(接触防護措置を施した場所で垂直に取り付けるときは6m以下)、キャブタイヤケーブル1m以下とする(解釈第164条第1項第三号)
  • 被覆を損傷しないように取り付ける(第三号)
  • 重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に施設する電線には、適当な防護装置を設ける(第二号)
  • ケーブルの曲げ半径の数値は、第164条には書かれていない
たとえるなら
支持点は、ロープを留める杭
杭の間隔が広いとロープがたるみます。造営材に沿わせるなら、ケーブルは2m以下、キャブタイヤケーブルは1m以下の間隔で支持します。
ここに注意!
「床パネルを外せなくても、点検できる隠ぺい場所」ではありません。
点検できる隠ぺい場所は、容易に電気設備に接近し、又は点検できる隠ぺい場所です(解釈第1条第三十号)。什器などで床パネルを外せないときは、この定義に当たるかを確かめます。
ここに注意!
「曲げ半径の数値が、解釈で決まっている」ではありません。
解釈第164条が求めるのは、被覆を損傷しないように取り付けることです。ケーブルの曲げ半径の数値は、第164条には書かれていません。
ペン太ペン太
床下だから、あとから触りにくくなりそう…。
ハリタハリタ
だから、パネルを外して点検できるかが大事なんだ。ケーブル相互は接続箱などの器具でつなぐよ。
支持・防護 決まり(解釈第164条)
ケーブルの支持点間 2m以下(造営材の下面・側面に沿うとき)
垂直+接触防護措置 ケーブルは6m以下
キャブタイヤの支持点間 1m以下
重量物・衝撃のおそれ 適当な防護装置を設ける
取り付けかた 被覆を損傷しないように
ここまでのポイント
  • 被覆を損傷しないように取り付ける。
  • 造営材の下面・側面に沿う支持点間は、ケーブル2m以下・キャブタイヤケーブル1m以下。
  • 接触防護措置の場所で垂直に取り付けるケーブルは6m以下。
  • 重量物・衝撃のおそれがある箇所は、防護装置を設ける。
  • 曲げ半径の数値は、第164条には書かれていない。


3. 接続・コンセント・分電盤・接地

ケーブル相互は、器具を使う 接続箱・コード接続器など。
電気抵抗を増やさない 第12条の本文です。
引張強さを20%以上減らさない 第12条第一号イ。
絶縁は、同等以上 接続器か、十分な被覆。
  • 電線を接続するときは、電線の電気抵抗を増加させない(解釈第12条)
  • ケーブル相互の接続は、コード接続器、接続箱その他の器具を使う。金属被覆のないケーブル相互を第一号・第二号に準じて接続する場合などは例外(第12条第三号)
  • 引張強さを20%以上減少させず、接続部分は同等以上の絶縁効力のある接続器を使うか、十分に被覆する(第12条第一号・第二号)
  • 使用電圧300V以下では、防護装置の金属製部分、金属製の電線接続箱、電線の被覆に使う金属体にD種接地工事(第164条第1項第四号)。短い防護装置などは省略できる例外がある
  • 使用電圧300V超ではC種接地工事。接触防護措置を施すときはD種接地工事でよい(第五号)
  • コンセントや分電盤の置き場所について、解釈には個別の決まりはない。点検・操作のしやすさを考え、内線規程の該当箇所でも確かめる
弱電流電線と、接触させない 第167条第2項です。
300V以下は、D種接地 短い防護装置は省略の例外。
300V超は、C種接地 接触防護措置でD種も可。
対象は、金属の部分 防護装置・接続箱など。
思いこみ 正しくは
どの電線でもよい 164-1表。電圧と場所の区分で決まる
2種も300V超で可 300V以下の展開・点検できる隠ぺい場所だけ
開かなくても点検可 容易に接近・点検できるかを確かめる
曲げ半径の数値が解釈に 第164条は「被覆を損傷しないように」
どこでもつないでよい 接続箱その他の器具を使う
弱電流電線と触れてよい 接触しないように施設する
たとえるなら
接続箱は、配線の待ち合わせ部屋
ケーブルどうしは、床下で直接ねじってつなぐのではなく、接続箱などの器具の中で落ち合います。つなぎ目を守り、あとから確かめやすくなります。
ここに注意!
「床下なら、ケーブルをどこでもつないでよい」ではありません。
ケーブル相互の接続は、コード接続器、接続箱その他の器具を使います(解釈第12条第三号)。金属被覆のないケーブル相互を第一号・第二号に準じて接続する場合などは例外です。
ここに注意!
「弱電流電線とは、触れていてもよい」ではありません。
ケーブル工事の低圧配線が弱電流電線や水管・ガス管などと接近・交差するときは、接触しないように施設します(解釈第167条第2項)。
ここまでのポイント
  • ケーブル相互は、接続箱その他の器具を使って接続する。
  • 電気抵抗を増やさず、引張強さを20%以上減らさず、同等以上の絶縁にする。
  • 300V以下は、防護装置の金属製部分などにD種接地。
  • 300V超はC種接地(接触防護措置でD種)。
  • コンセント・分電盤の置き場所は、解釈に個別の決まりはない。


よくある質問(FAQ)

Q1. 使える電線は? 164-1表のケーブルなど。
Q2. 支持点間の距離は? 2m以下・キャブタイヤ1m。
Q3. ケーブル相互の接続は? 接続箱などの器具で。
Q4. 金属部分の接地は? D種かC種。
Q. アクセスフロアとは?
A. 床下に配線スペースを設けた二重床のことです。床下の配線は、ケーブル工事などの決まりによって施設します。
Q. 使えるケーブルは電圧でどう変わる?
A. 164-1表によります。300V以下で点検できる隠ぺい場所なら、2種キャブタイヤケーブルやビニルキャブタイヤケーブルなども使えます。300Vを超える場合や点検できない隠ぺい場所では、ケーブルや3種・4種のキャブタイヤケーブルなどです(解釈第164条第1項第一号)。
Q. 支持点間の距離は?
A. 造営材の下面又は側面に沿って取り付ける場合、ケーブルは2m以下(接触防護措置を施した場所で垂直に取り付ける場合は6m以下)、キャブタイヤケーブルは1m以下です(解釈第164条第1項第三号)。
Q. ケーブル相互の接続は?
A. コード接続器、接続箱その他の器具を使って接続します(解釈第12条第三号)。電気抵抗を増加させず、引張強さを20%以上減少させず、同等以上の絶縁効力を確保します。
Q. 金属製の部分に接地は必要?
A. 使用電圧300V以下では、防護装置の金属製部分、金属製の電線接続箱、電線の被覆に使う金属体にD種接地工事、300Vを超える場合はC種接地工事です(解釈第164条第1項第四号・第五号)。短い防護装置などは省略できる例外があります。

まとめ|「あとから開けて直せる」ことが前提

アクセスフロア内のケーブル配線は、床下が点検できる場所かを考えて164-1表で電線を選び、支持点間を守り、接続は器具で行って金属部分を接地することが基本です。

確認する項目 決まり(解釈)
場所の区分 容易に点検できるなら点検できる隠ぺい場所(第1条第三十号)
工事の種類 ケーブル工事は156-1表のすべての区分で使える
使える電線 164-1表。2種・ビニルキャブタイヤ等は300V以下の展開・点検できる隠ぺい場所だけ
支持点間 ケーブル2m以下(垂直+接触防護措置は6m以下)、キャブタイヤ1m以下
取り付けかた 被覆を損傷しないように
重量物・衝撃 適当な防護装置を設ける
ケーブル相互の接続 接続箱その他の器具を使う(第12条第三号)
接続の性能 電気抵抗を増やさず、引張強さを20%以上減らさず、同等以上の絶縁
弱電流電線 接触しないように施設(第167条第2項)
接地 300V以下 防護装置の金属製部分・金属製の接続箱・被覆の金属体にD種
接地 300V超 C種(接触防護措置でD種)
コンセント・分電盤 解釈に個別の決まりはない。内線規程でも確かめる

電線の選定で押さえること

  • 使用電圧が300Vを超えるかどうか。
  • 床パネルを外して容易に点検できるか。
  • 弱電流電線と接触しない施設。

敷設で押さえること

  • 支持点間の距離(ケーブル2m・キャブタイヤ1m)。
  • 被覆を損傷しない取り付け。
  • 重量物・衝撃の箇所の防護装置。

機器と接続で押さえること

  • ケーブル相互を器具で接続しているか。
  • コンセント・分電盤の置き場所(内線規程でも確認)。
  • 金属製部分の接地工事。

アクセスフロアは「あとから開けられる」ことが最大の利点です。その利点を活かすには、床パネルを外して実際に点検できる状態を保つことが大切です。レイアウト変更が前提の建物ほど、上の表の電線・接続の欄が効いてきます。

ペン太ペン太
分電盤もフロア内に隠せばスッキリすると思うんですが、どう検討します?
ハリタハリタ
まず、床パネルを外して点検できる状態かを確かめます。分電盤やコンセントの置き場所は、点検・操作のしやすさを考え、内線規程でも確認しましょう。

📎 関連するおすすめアイテム

内線規程の実務では、規程集や技術資料を手元に置いておくと確認がぐっと早くなります。

次に読むならこれ【展開した場所・隠ぺい場所】点検できる・点検できない隠ぺい場所の違いと見分け方・場所で変わる工事の種類電気設計の解説
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。