この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
全体像:内線規程【047】アクセスフロア内のケーブル配線
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

アクセスフロアは床下に配線スペースを設けた二重床で、オフィスビルやデータセンターで使われます。使用電線の選定・支持・点検しやすい接続が要点です。3つに整理します。

アクセスフロア内のケーブル配線の3つのポイントの図解
結論
①使用電線は電圧で選ぶ(300V以下は各種外装ケーブル・二種以上のキャブタイヤ、300V超はケーブルまたは三種以上のキャブタイヤ)。②支持点間はケーブル2m以下・キャブタイヤ1m以下、屈曲内半径は外径の6倍(単心8倍)以上。③接続・コンセント分電盤点検しやすく施設し、金属製部分に接地。
この記事でわかること
✔ 1. 使用電線の種類
✔ 2. 支持・屈曲
✔ 3. 接続・コンセント・分電盤・接地
ペン太ペン太
アクセスフロアの中って、どんな電線でも転がしておけばいいんですよね?
ハリタハリタ
電圧で決まります。300V以下はビニル外装ケーブルなど、300V超はケーブルか三種以上のキャブタイヤケーブルです。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 使用電圧が300Vを超える場合、使える電線は何ですか。
  • 造営材の側面・下面に沿う支持点間は、ケーブルで何m以下ですか。
  • コンセント等は、原則としてどこに施設しますか。
この記事の道案内
内線規程(JEAC8001-2022)にそって、アクセスフロア内のケーブル配線のルールを4つの視点で整理します。

1. 使用電線の種類

トピック1:使用電線の種類
  • 使用電圧300V以下:ビニル外装・ポリエチレン外装・クロロプレン外装ケーブル、ビニルキャブタイヤ・耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤ、二種以上のキャブタイヤケーブル
  • 使用電圧300V超:ケーブルまたは三種以上のキャブタイヤケーブル
  • 什器で移動が困難など点検が困難な場合は、300V以下でもケーブルまたは三種以上のキャブタイヤを使うのが推奨
  • ケーブル配線と弱電流電線は、色分けやセパレータでルート識別・接触防止を行う
ペン太ペン太
フロア内でケーブルを曲げるとき、どのくらいまで曲げていいんですか?
ハリタハリタ
屈曲の内側半径は外径の6倍以上、単心なら8倍以上です。支持点間はケーブル2m以下が目安です。
使用電圧・状況使用できる電線
300V以下ビニル外装・ポリエチレン外装・クロロプレン外装ケーブル、ビニルキャブタイヤ・耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤ、二種以上のキャブタイヤケーブル
300Vを超えるケーブル、又は三種以上のキャブタイヤケーブル
什器で移動が困難など点検が困難な場合300V以下でもケーブル又は三種以上のキャブタイヤを使うのが推奨
ここまでのポイント
  • 使用電圧300V以下は、ビニル外装・ポリエチレン外装・クロロプレン外装ケーブル、ビニルキャブタイヤ・耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤ、二種以上のキャブタイヤケーブル。
  • 使用電圧300V超は、ケーブル又は三種以上のキャブタイヤケーブル。
  • 什器で移動が困難など点検が困難な場合は、300V以下でもケーブル又は三種以上のキャブタイヤを使うのが推奨。
  • ケーブル配線と弱電流電線は、色分けやセパレータでルート識別・接触防止を行う。

2. 支持・屈曲

トピック2:支持・屈曲
  • 適合するサドル・ステープル等で、損傷しないよう堅ろうに固定する
  • 造営材の側面・下面に沿う支持点間はケーブル2m以下・キャブタイヤケーブル1m以下
  • フロア内の床に施設する場合はころがしにできる
  • 屈曲部の内側半径は、ケーブル仕上り外径の6倍(単心は8倍)以上
  • 移動電線を引き出すフロアの貫通部は、保護材を挿入するなどして損傷を防ぐ
たとえ話
アクセスフロアは床をパカッと開けて配線できるのが利点。ただし開けて点検できる状態を保つのが大事なので、接続部やコンセントは「上から確認できる・開けられる」位置に置くわけです。
見習いペン太
見習いペン太
床下だから、あとから触りにくくなりそう…。
はりた
はりた
だから接続部はフロア上から確認できて常時開閉できる場所にね。分電盤は原則フロア内に置かないんだ。
支持・屈曲の対象数値
造営材の側面・下面に沿う支持点間(ケーブル)2m以下
造営材の側面・下面に沿う支持点間(キャブタイヤケーブル)1m以下
フロア内の床に施設する場合ころがしにできる
屈曲部の内側半径ケーブル仕上り外径の6倍以上(単心は8倍以上)
ここまでのポイント
  • 適合するサドル・ステープル等で、損傷しないよう堅ろうに固定する。
  • 造営材の側面・下面に沿う支持点間は、ケーブル2m以下・キャブタイヤケーブル1m以下。
  • フロア内の床に施設する場合は、ころがしにできる。
  • 屈曲部の内側半径は、ケーブル仕上り外径の6倍(単心は8倍)以上。
  • 移動電線を引き出すフロアの貫通部は、保護材を挿入するなどして損傷を防ぐ。

3. 接続・コンセント・分電盤・接地

トピック3:接続・コンセント・分電盤・接地
  • ケーブル配線相互の接続は、フロア上から容易に確認でき、常時開閉可能な場所に施設し、接続部に過大な力が加わらないよう張力止め等を施す
  • コンセント等はフロア面またはフロア上に施設するのが原則(住宅用以外で条件を満たす場合はフロア内も可。抜止形・引掛形を使い、位置をマーキング)
  • 分電盤はフロア内に施設しないのが原則(住宅用以外で、そのフロア内のみに給電する補助分電盤は条件付きで可)
  • 金属製のボックスその他の金属製部分には接地工事を施す
取り違えやすいところ正しくは
フロア内なので支持は不要適合するサドル・ステープル等で、損傷しないよう堅ろうに固定する。ころがしにできるのはフロア内の床に施設する場合
貫通部はそのまま通してよい移動電線を引き出すフロアの貫通部は、保護材を挿入するなどして損傷を防ぐ
接続はフロア内のどこでもよいフロア上から容易に確認でき、常時開閉可能な場所に施設し、張力止め等を施す
コンセントはフロア内に付けてよい原則はフロア面またはフロア上。住宅用以外で条件を満たす場合はフロア内も可(抜止形・引掛形を使い、位置をマーキング)
分電盤もフロア内に収められる原則フロア内に施設しない。住宅用以外で、そのフロア内のみに給電する補助分電盤は条件付きで可
弱電流電線とは分ければよい色分けやセパレータでルート識別・接触防止を行う
ここまでのポイント
  • ケーブル配線相互の接続は、フロア上から容易に確認でき、常時開閉可能な場所に施設する。
  • 接続部に過大な力が加わらないよう張力止め等を施す。
  • コンセント等はフロア面またはフロア上に施設するのが原則(住宅用以外で条件を満たす場合はフロア内も可。抜止形・引掛形を使い、位置をマーキング)。
  • 分電盤はフロア内に施設しないのが原則(住宅用以外で、そのフロア内のみに給電する補助分電盤は条件付きで可)。
  • 金属製のボックスその他の金属製部分には接地工事を施す。

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問(FAQ)
Q. アクセスフロアとは?
A. 床下に配線スペースを設けた二重床のことです。オフィスビルやデータセンターなどで使われます。
Q. 使えるケーブルは電圧でどう変わる?
A. 300V以下はビニル・ポリエチレン・クロロプレン外装ケーブルや二種以上のキャブタイヤケーブル、300V超はケーブルまたは三種以上のキャブタイヤケーブルです。点検が困難な場合は300V以下でも三種以上のキャブタイヤ等が推奨されます。
Q. 支持点間の距離は?
A. 造営材の側面・下面に沿う場合、ケーブルは2m以下、キャブタイヤケーブルは1m以下です。フロア内の床ではころがしにできます。
Q. ケーブルの曲げ半径は?
A. 屈曲部の内側半径を、ケーブル仕上り外径の6倍(単心のものは8倍)以上とします。
Q. 分電盤はフロア内に置ける?
A. 原則として置きません。住宅用以外のフロアで、そのフロア内にのみ給電する補助的な分電盤は、固定・確認・開閉・防滴などの条件を満たす場合に限り施設できます。

まとめ|「あとから開けて直せる」ことが前提

アクセスフロア内のケーブル配線は、使用電圧で電線を選び、接続部をフロア上から確認できる場所に置き、コンセントや分電盤は原則フロア内に入れないことが基本です。

確認する項目規程が示す内容
300V以下で使える電線ビニル外装・ポリエチレン外装・クロロプレン外装ケーブル、ビニルキャブタイヤ・耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤ、二種以上のキャブタイヤケーブル
300V超で使える電線ケーブル、又は三種以上のキャブタイヤケーブル
点検が困難な場合300V以下でもケーブル又は三種以上のキャブタイヤを推奨
弱電流電線との関係色分けやセパレータでルート識別・接触防止
固定方法適合するサドル・ステープル等で堅ろうに
支持点間(ケーブル)2m以下(造営材の側面・下面に沿う場合)
支持点間(キャブタイヤケーブル)1m以下(同上)
フロア内の床ころがしにできる
屈曲部の内側半径仕上り外径の6倍以上(単心は8倍以上)
フロアの貫通部保護材を挿入するなどして損傷を防ぐ
配線相互の接続場所フロア上から容易に確認でき、常時開閉可能な場所
接続部の保護過大な力が加わらないよう張力止め等
コンセント等フロア面またはフロア上が原則(条件付きでフロア内も可。抜止形・引掛形、位置をマーキング)
分電盤原則フロア内に施設しない(条件付きで補助分電盤は可)
接地金属製のボックスその他の金属製部分

電線の選定で押さえること

  • 使用電圧が300Vを超えるかどうか。
  • 点検が困難な場所ではないか。
  • 弱電流電線との識別方法。

敷設で押さえること

  • 支持点間の距離と固定金具。
  • 曲げ半径(多心6倍/単心8倍)。
  • フロア貫通部の保護。

機器と接続で押さえること

  • 接続部をフロア上から確認できるか。
  • コンセント・分電盤の設置場所と条件。
  • 金属製部分の接地工事。

アクセスフロアは「あとから開けられる」ことが最大の利点です。接続部やコンセントの位置に関する規定も、その利点を実際に活かせるようにするためのものです。レイアウト変更が前提の建物ほど、上の表の接続・機器の欄が効いてきます。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
分電盤もフロア内に隠せばスッキリすると思うんですが、どう検討します?
ハリタハリタ
分電盤は原則フロア内に施設しません。接続部やコンセントはフロア上から確認できる位置に置きましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。