内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【096】|水中照明灯などの施設

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

記事のテーマ

水中照明灯の施設基準と安全対策について解説する。

水中照明灯とは?

水中照明灯とは、水泳プールやその他これに類する場所で使用される照明灯のことです。

使用電圧

水中照明灯に電気を供給するためには、絶縁変圧器を使用する必要があります。

絶縁変圧器の使用電圧は、以下の各号による必要があります。

一次側電路

絶縁変圧器の一次側電路の使用電圧は、300V以下とする必要があります。

二次側電路

絶縁変圧器の二次側電路の使用電圧は、150V以下とする必要があります。

電源装置

絶縁変圧器は、以下の各号による必要があります。

二次側電路

絶縁変圧器の二次側電路は、非接地である必要があります。

絶縁耐力

絶縁変圧器は、交流5,000Vの試験電圧で1の巻線と他の巻線、鉄心及び外箱との間の絶縁耐力を試験したとき、連続して1分間これに耐えるものである必要があります。

二次側配線及び移動電線

1. 絶縁変圧器の二次側配線

二次側配線は、金属管配線で施設する必要があります。これにより、配線を物理的に保護し、感電や漏電のリスクを低減します。

2. 移動電線

照明灯への電力供給に使用する移動電線は、以下の条件を満たす必要があります。

接続点のない、2mm²以上の多心キャブタイヤケーブルを使用します。これにより、接続不良による事故を防ぎ、耐久性を高めます。

遊泳者が触れる可能性のある場所には施設しない、また、損傷の恐れがある場所では金属管などで保護します。安全確保と電線の保護を徹底します。

3. 移動電線と配線との接続

移動電線と配線の接続には、差込接続器を使用し、水が浸入しにくく、水が溜まらない構造の金属ボックスに収納します。接続部は、水中やそれに準ずる場所を避け、安全な場所に設置します。

4. 照明灯の容器などと接地線との接続

照明灯の容器、防護装置の金属部分、金属製外箱、配線用金属管、接地線は、差込接続器を用いて電気的に完全に接続します。これにより、接地経路を確保し、漏電時の安全性を高めます。

 

照明器具の施設

水中照明器具設置の基本

水中照明器具は、安全基準を満たす容器に収め、さらに損傷を防ぐための保護措置が必要です。

設置時の重要事項

定格最大水深の遵守:

器具が指定する最大水深を超えて設置してはいけません。

電球の定格容量:

指定された定格容量を超える電球は使用しないでください。

グランドパッキンの確実な締め付け:

移動電線を固定するグランドパッキンは、しっかりと確実に締め付けてください。

適切な送り接続:

送り接続を行う場合は、専用の器具を使用してください。

常時水没使用器具の注意:

水中専用器具は、水面の変動を考慮し、絶対に水面上に出ないように設置してください。

 

開閉器及び過電流遮断器

絶縁変圧器の二次側電路には、開閉器及び過電流遮断器を各極に施設する必要があります。

ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができます。

注釈

絶縁変圧器の二次側電路の過電流遮断器としてヒューズを用いる場合は、電路の各極にこれを装置し、配線用遮断器を用いる場合は、電路の各極に素子を配し、そのいずれが働いても電路の各極を遮断するものとします。

接地

1. 絶縁変圧器の接地

二次側電路の使用電圧が30V以下の場合:

一次巻線と二次巻線の間に金属製の混触防止板を設ける。

混触防止板にA種接地工事を施す。

A種接地工事に使用する接地線:

接触防護措置を施す。

IV電線、ビニルキャブタイヤケーブルなどの絶縁電線またはケーブルを使用する。

2. 開閉器及び過電流遮断器の接地

開閉器及び過電流遮断器は、堅ろうな金属製の外箱に収める。

外箱にC種接地工事を施す。

3. 接地線の直径

接地線の直径は、原則として2.6mm以上とする。

ただし、分岐回路の金属管接地ブッシングに接続する場合は、2mm以上でも可。

4. 容器及び防護装置の金属製部分の接地

照明器具の容器及び防護装置の金属製部分には、C種接地工事を施す。

移動電線の線心の1つを接地線として使用し、差込接続器で接続する。

漏電遮断器

絶縁変圧器の二次側電路の使用電圧が30Vを超える場合は、その電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する漏電遮断器を施設する必要があります。

注釈

この場合の漏電遮断器は、電路が非接地式電路であるので、漏電遮断器の内部において高抵抗で中性点を接地した特殊な構造のものを使用する必要があります。一般の屋内配線用のものでは1線が地絡しても動作しないので注意する必要があります。

 

噴水などに施設する照明灯

1. 適用範囲

水中または水没の恐れがある場所に照明器具を設置する場合でも、水中に人が立ち入る可能性がない場合は、通常の電気設備の規定に加えて、以下の特別な規定に従って設置できます。

2. 照明灯の設置

照明灯は、専用の防水容器に収納する必要があります。

器具の最大定格水深を超えないように設置してください。

定格容量を超える電球は使用しないでください。

水中専用器具は、水面に出ないように設置してください。

ケーブル接続は、防水性を確保するために確実に行ってください。

水中接続に適した器具を使用してください。

3. 対地電圧

照明灯に電気を供給する電路の対地電圧は、安全のため150V以下に制限されています。

4. 移動電線

水中照明用のケーブルは、以下の条件を満たす必要があります。

0.75mm²以上のクロロプレンキャブタイヤケーブルなどの防水性、耐燃性のあるケーブルを使用してください。

ケーブルに接続点を設けないでください。

5. 容器の金属部分の接地

感電防止のため、照明灯の容器の金属部分はC種接地工事を行う必要があります。

水中照明灯の容器の施設

水中照明灯容器の安全基準

水中照明灯の容器は、水中で安全に使用するために、以下の基準を満たす必要があります。

  1. 材料

    • 照射窓:ガラスまたはレンズ製
    • その他:腐食しにくい金属(防錆処理済み)で堅牢な構造
  2. 接地用端子

    • 内部に接地用端子を設置
    • 接地用ねじの直径:4mm以上
  3. ねじ込み接続器・ソケット

    • 磁器製(蛍光灯用ソケットを除く)
  4. 絶縁耐力

    • 2,000Vの交流電圧に1分間耐える絶縁性能
  5. 浸水試験

    • 最大出力の電球を取り付け、最大水深(15cm未満の場合は15cm)で試験
    • 通電と停止を6回繰り返し、浸水がないこと
  6. 表示

    • 最大適合電球のワット数と最大水深を見やすい場所に表示

 

噴水などに施設する水中照明灯の容器

噴水などに設置する水中照明灯の容器に関する安全基準を、分かりやすく丁寧にまとめました。

1. 照射用窓の材質

  • 照射用窓(電球のガラス部分が露出しないもの)は、安全性を考慮し、ガラスまたはレンズ製である必要があります。

2. 容器の材質と構造

  • 容器のその他の部分には、腐食しにくい材質を使用します。具体的には、以下のいずれかです。
    • カドミウムめっき、亜鉛めっき、塗装などで錆止めを施した金属
    • 耐久性のあるプラスチック
  • 容器は、外部からの衝撃や水圧に耐えられるよう、堅牢に作られている必要があります。

3. 追加の安全基準

  • 上記以外にも、電気設備の安全基準(前項の③から⑥)を満たす必要があります。

 

 


(キーワード)

水中照明灯、施設基準、電気工事、安全対策


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