出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
出退表示灯回路の施設基準と安全対策をわかりやすく解説
出退表示灯回路とは?
出退表示灯回路とは、建物の出入口などに設置され、人物の出入り状況を表示するための電気回路です。例えば、会議室や更衣室、事務室などで、人が中にいるかどうかを示す「出・退」表示灯に使われます。
使用電圧の基準
出退表示灯回路では、絶縁変圧器を使用して安全な電圧で動作させる必要があります。具体的には以下の条件を満たす必要があります。
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一次側電路の対地電圧:300V以下
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二次側電路の使用電圧:60V以下
このような低電圧の設定により、感電リスクの低減と安全な運用が確保されます。
📝補足:
出退表示灯回路が「小勢力回路」に該当する場合は、内線規程3560節に基づいて施設することが可能です。
絶縁変圧器と過電流保護の要件
出退表示灯回路で使用する絶縁変圧器には、次のような安全基準が求められます。
1. 絶縁耐力試験の実施
絶縁変圧器の安全性を確認するために、巻線間・鉄心間・外箱との間に一定の電圧を加える「絶縁耐力試験」を行います。
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定格電圧150V以下:交流1,500Vで1分間試験
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定格電圧150V超:交流2,000Vで1分間試験
この試験に合格することで、漏電や短絡の危険を防ぎ、安全な回路の構築が可能になります。
2. 過電流遮断器の設置
絶縁変圧器の二次側には、過電流を感知して回路を遮断する「過電流遮断器」の設置が義務付けられています。
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設置目的:絶縁変圧器や配線の焼損・事故を防ぐため
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推奨設置場所:絶縁変圧器のすぐ近く
1. 屋内造営材への取り付け
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使用する電線の種類と強度:
・直径0.8mm以上の軟銅線相当のコード、ケーブル類
・または直径0.65mm以上の軟鋼線相当の通信用ケーブル -
配線の収容方法:
キャブタイヤケーブルまたはケーブル以外の場合、以下の方法で収容する必要があります。
・金属管、合成樹脂管、金属線ぴ、フロアダクトなどを使用
2. その他の配線方法
設置場所に応じて、下記の内線規程3560-3の各項目に準じて施設します。
設置場所 | 対応する規定 |
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地中 | 3560-3(2項) |
地上 | 3560-3(3項) |
架空 | 3560-3(4項) |
移動用配線 | 3560-3(5項) |
特殊な場所に設置する場合
出退表示灯回路を、湿気の多い場所や水気のある場所、興行場を除く特殊場所に設置する場合は、内線規程3560-5(特殊場所の施設)に従って施工する必要があります。特に、絶縁・防水・耐環境性を考慮した配線材の選定と適切な収容方法が求められます。
まとめ|出退表示灯回路は「安全設計」が命
出退表示灯回路は、建物利用者の動線や在室状況を明示する重要な設備です。使用電圧、絶縁変圧器、過電流保護、配線方法など、それぞれに明確な施設基準が定められています。
設計・施工にあたっては、内線規程をしっかりと確認し、安全性を確保することが何よりも重要です。