出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
集電式自走搬送装置の施設基準と安全対策を徹底解説!
工場や倉庫などで活用される「集電式自走搬送装置」。その設置には、安全性と電気工事の基準を遵守する必要があります。本記事では、施設基準や使用電圧、接地工事など、押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。
集電式自走搬送装置とは?
集電式自走搬送装置とは、地面や走行路に設置された導体から電力を集め、自走する搬送機器のことです。製造現場や物流施設などで、自動搬送を行う装置として広く使用されています。
設置場所の制限について
以下のような場所には、集電式自走搬送装置を設置することができません:
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乾燥していない場所
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点検が困難な隠ぺい箇所
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粉じんが爆発の危険をもたらす場所(粉じん危険場所)
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不燃性じんあいが多い場所
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可燃性ガスや蒸気が存在する場所(ガス蒸気危険場所)
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危険物が存在するエリア
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火薬庫などの特別危険区域
使用電圧の基準
電気的な安全性を確保するため、電圧には厳密な制限があります。
1. 電源装置への供給電路
→ 使用電圧は300V以下に制限されています。
2. 走行路の電圧
→ 原則として直流30V以下。接触防護措置を講じた場合は、直流60Vまで使用可能です。
3. 走行制御回路の電圧
→ 自走台車の制御回路も直流30V以下が原則。
4. 絶縁変圧器の使用条件
→ 走行路導体に接続しない制御回路には絶縁変圧器を使用。
一次側:300V以下/二次側:60V以下に制限。
走行路の施設基準
1. 異極導体間の絶縁措置
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感電防止のため、絶縁性の隔壁や絶縁物の挿入が必要。
2. 走行路の規格適合
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「3305-8(低圧クレーン・ホイスト等)」4項に準拠。
3. 相互接続の要件
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走行路は堅牢かつ電気的に完全に接続する。ただし、条件を満たせば例外あり。
4. 造営材への取り付け
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支持点間の距離は3m以下、しっかりと固定すること。
じんあい除去装置の設置
走行路には、じんあい(微細な粒子)を除去する装置の設置が必要です。これにより、動作不良の防止や品質確保、安全対策に寄与します。
接地の基準
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金属製外箱:D種接地工事を実施。
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走行路の支持物:同様にD種接地が必要。
電源装置の規格と安全対策
1. JIS C 3565-8への適合
→ 安全・信頼性が担保されます。
2. 漏電遮断器の設置
→ 感電事故を未然に防ぐための対策。
3. 絶縁変圧器の導入
→ 一次側と二次側の電気的絶縁でリスク軽減。
4. 二次側電路の接地禁止
→ 地絡による感電を防止。
5. 接地端子の設置
→ 外箱の帯電対策として必要。
6. 過電流遮断器の設置
→ 開閉器とあわせて設置、火災や機器損傷を防止。