出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
電気集じん装置の施設基準と安全対策を徹底解説|設置条件・接地・危険場所対策まで
高電圧を利用して粉じんやミストを除去する「電気集じん装置」。その設置には、火災・感電・漏電といったリスクを避けるために、厳格な施設基準と安全対策が定められています。
この記事では、電源装置・配線・特殊場所での施設基準に加え、接地や火気危険場所での対応まで詳しく解説します。
二次側配線の施設基準
以下のように、感電や漏電リスクを防ぐための措置が求められます。
1. 安全な配線の原則
関係者以外の立ち入りを制限したうえで、安全対策を講じた配線が必要です。
2. ケーブルの使用
絶縁性と耐久性に優れたケーブルを使用することが基本です。
3. 絶縁防護措置
移動電線は、保護管や絶縁材でしっかり保護します。
4. 高電圧部分の保護
人が触れられないように配置し、金属製の防護装置でカバーします。
5. 湿気・水気対策
金属管配線を用い、装置との電気的接触を避けて設置します。
6. 接地側の原則
高電圧から装置までの配線は、屋外に設けることが原則です。洗浄水がかかる場合は防護措置が必要です。
7-8. 屋外・地中配線の規定
地中電線路の規定(3505-8、2315節)に準拠して施設します。
電気集じん装置そのものの施設基準
1. 設置場所の制限
関係者以外が容易に近づけない場所に設置します。ただし、安全性が確認された装置は例外的に設置可能です。
2. 高電圧充電部分の制限
原則として屋根上・屋外設置は禁止ですが、特別高圧で保護措置がある場合は認められます。
特殊場所での施設基準
1. 火災・爆発危険場所への対応
火花や高温部分を防ぐ対策が必要です。付属設備も含めて対策を施します。
2. 設置制限場所
ガス蒸気危険場所や粉じんの多い場所に限定して設置し、火薬庫等への設置は禁止されています。
接地工事の基準
装置や金属部分には、A種接地工事が原則として必要です。
接地対象例
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電源装置の金属製外箱
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金属製遮へい板、さく、外壁
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被塗装物を吊る金属製わく
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ケーブルの防護装置・被覆金属体
接触防護措置を講じた場合の例外
適切な防護が施されている場合は、D種接地工事でも可とされています。
石油精製用不純物除去装置に関する基準
この装置は高電圧を使い、不純物を除去するため、ガス蒸気危険場所では以下の対策が求められます。
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A種接地工事の実施
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充電部は液中に露出しない設置
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専用の過電流遮断器を一次側に設置
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JISなど技術基準の順守
まとめ|設置には正確な基準の理解と対応が不可欠
電気集じん装置は高電圧を扱うため、わずかなミスが重大事故につながることもあります。施設基準に従った正確な設置と、感電・火災・爆発に備えた対策が何より重要です。
設置の際は必ず専門家の監修を受け、最新の技術基準や法令を遵守して安全な設備を実現しましょう。