この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。

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電線を通るあいだに、電圧は少しずつ下がります。これが電圧降下です。どこまで下がってよいかを決めているのが内線規程1310節。基本は幹線2%・分岐回路2%で、こう長(受電点から一番遠い負荷までの長さ)が60mを超えると、幹線と分岐回路の合計で4〜7%まで広がります。この記事では、こう長ごとの許容値を早見の図と表で整理し、略算式の係数Kと計算例まで確かめます。

①基本は幹線2%・分岐回路2%(構内の変圧器の幹線は3%)、②60m超は合計で4〜7%、③略算式は e=K×L×I÷(1000×A) です。
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。

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許容値のきほん ― 幹線2%+分岐回路2%

たとえるなら
電圧降下の許容値は、旅行のおこづかいのようなものです。
家から駅まで(幹線)で2%、駅から目的地まで(分岐回路)で2%。それぞれの区間で使ってよい額が決まっています。自分の家に大きな変圧器がある(構内の変圧器から送る)なら、最初の区間に少し多め(3%)を使えます。
区間低圧で受電構内の変圧器から
幹線2%以下3%以下
分岐回路2%以下2%以下
こう長60m以下の場合。内線規程 1310-1。

ここでのこう長は、供給変圧器の二次側(低圧で受電するなら引込線の取付点)から、いちばん遠い負荷までの電線の長さです。幹線だけの長さではありません。

ここまでのポイント
  • 60m以下は、幹線2%・分岐回路2%を別々に守る
  • 構内の変圧器から送る幹線は3%まで
  • こう長は受電点から一番遠い負荷まで

こう長早見表 ― 60mを超えたら「合計」で見る

こう長が60mを超えると、幹線と分岐回路の合計で見ます。構内の変圧器から送るなら120m以下5%・200m以下6%・200m超7%、低圧で受電するなら4%・5%・6%です。
こう長構内の変圧器から低圧で受電
60m以下幹線3%+分岐2%幹線2%+分岐2%
120m以下合計5%以下合計4%以下
200m以下合計6%以下合計5%以下
200m超合計7%以下合計6%以下
内線規程 1310-1。60m超は幹線と分岐回路の合計の値。
ひっかけ注意
「60mを超えたら2%、3%、4%…」ではありません。
60m超の値は幹線と分岐回路の合計で、構内の変圧器からなら5〜7%、低圧受電なら4〜6%です。1区間ずつの値と取り違えると、電線をむだに太くしてしまいます。合計の中の配分は自由ですが、実務では分岐回路に2%を残し、残りを幹線に回すのが出発点です。

60m超の配分の考え方と、幹線サイズを決める計算の流れは電圧降下の許容範囲と計算方法で詳しく扱っています。

ここまでのポイント
  • 60m超は幹線+分岐回路の合計で見る
  • 構内の変圧器から:120m以下5%・200m以下6%・200m超7%
  • 低圧で受電:120m以下4%・200m以下5%・200m超6%

略算式と係数K ― 計算してみる

e〔V〕= K × L〔m〕× I〔A〕÷(1000 × A〔mm²〕)

係数Kは、単相2線式35.6、三相3線式30.8、単相3線式・三相4線式(電圧線と中性線の間)17.8です。
  • L:こう長〔m〕 I:電流〔A〕 A:電線の断面積〔mm²〕
  • K:配線方式で決まる係数(単相2線式35.6/三相3線式30.8/単相3線式・三相4線式17.8)
ひっかけ注意
単相3線式の2%は「2V」です。
K=17.8の式は、電圧線と中性線の間(100V)の電圧降下を出します。だから2%は2V。200Vの2%(4V)で計算すると、必要な断面積を半分に見積もってしまいます。
100V・20m・15Aの分岐回路では、2.0mmのVVF(3.14mm²)で3.4V(3.4%)。5.5mm²にすると1.9V(1.9%)で2%に収まります。
🧮 電圧降下 かんたん計算ツール(略算式)

配線方式・こう長・電流・電線断面積を入れると、電圧降下を概算できます。

配線方式:

こう長L(m): / 電流I(A): / 断面積A(mm2):

基準電圧V(例 100 / 200):

電圧降下:– / 降下率:–

※ 略算式による概算です。実設計では内線規程の最新版・資料で確認してください。

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ひとことで言うと:「60m以下は幹線2・分岐2、60m超は合計4〜7%。計算は e=K×L×I÷(1000×A)、単相3線は100Vで見る」。
ここまでのポイント
  • e=K×L×I÷(1000×A)
  • Kは単相2線35.6・三相3線30.8・単相3線/三相4線17.8
  • 単相3線式は100Vで見る(2%=2V)
  • 対策は、太くする・短くする・電流を減らす

よくある質問

電圧降下の許容値はどのくらい?

こう長60m以下なら、幹線2%・分岐回路2%が基本です。構内の変圧器から供給する幹線は3%まで。60mを超えると、幹線と分岐回路の合計で、構内の変圧器からなら5〜7%、低圧受電なら4〜6%です。

こう長はどこからどこまで?

供給変圧器の二次側(低圧受電なら引込線の取付点)から、いちばん遠い負荷までの電線の長さです。

電圧降下はどうやって概算するの?

e(V)=K×こう長L(m)×電流I(A)÷(1000×断面積A(mm²))で求めます。Kは単相2線式35.6、三相3線式30.8、単相3線式・三相4線式(対中性線)17.8です。

電圧降下を小さくするには?

電線を太くする(Aを大きく)、こう長を短くする(Lを小さく)、電流を減らす(負荷の分散や電圧の格上げ)の3つです。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ正しくは
どんな場合も一律2%構内の変圧器の幹線は3%、60m超は合計4〜7%
60m超は1区間ごとに3〜5%幹線+分岐回路の合計で4〜7%
こう長は幹線の長さ受電点から一番遠い負荷まで
係数Kはどの方式も同じ35.6・30.8・17.8の3種類
単相3線の2%は4V100Vで見て2V
「こう長で許容値、方式で係数K」。この2つで判断できます。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

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ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。