内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【076】|ガス蒸気危険場所

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

記事のテーマ

ガス・蒸気危険場所での電気配線に関する安全基準と対策について解説する。

配線方法の基本

ガス・蒸気危険場所での配線は、以下のいずれかの方法で行う必要があります。

金属管配線

ケーブル配線

本質安全防爆回路の配線

金属管配線の場合の注意点

金属管配線を選択する場合、以下の点に注意する必要があります。

1. 絶縁電線の使用

重要性:

電線は必ず絶縁電線を使用する必要があります。絶縁電線を使用することで、感電や漏電による事故を防ぎ、電気設備の安全性を高めることができます。

理由:

絶縁されていない電線は、人体や他の金属物に接触した場合、感電や短絡を引き起こす可能性があります。

2. 厚鋼電線管の使用

重要性:

金属管を使用する際には、薄鋼電線管ではなく、厚鋼電線管または同等以上の強度を持つものを使用してください。

理由:

厚鋼電線管は、薄鋼電線管よりも強度が高く、外部からの衝撃や圧力に強いため、電線をより安全に保護することができます。特に、工場や屋外など、より過酷な環境下では、厚鋼電線管の使用が推奨されます。

3. シーリングフィッチングの設置

重要性:

配線を耐圧防爆構造の電気機械器具に引き込む場合は、引込口の近くにシーリングフィッチングを設けることが必須です。

耐圧防爆構造以外の防爆構造の電気機械器具に引き込む場合でも、水や粉じんなどの異物が侵入するおそれがある場合は、シーリングフィッチングが必要です。

理由:

シーリングフィッチングは、電気機械器具内部への可燃性ガスや粉じんの侵入を防ぎ、爆発や火災のリスクを低減します。

また、水や粉じんなどの異物が電気機械器具内部に侵入すると、故障や事故の原因となるため、シーリングフィッチングによる保護が重要です。

金属管配線における防爆の考え方

絶縁電線に接続する電気機械器具の接続端子部以外で、電気火花や高温部が発生することはまれです。

絶縁電線とその接続部だけを内蔵する電線管の部分は、外傷保護と異物の侵入防止などの機能を持っていれば良いとされています。

したがって、このような部分に使用する電線管用附属品には、耐圧防爆性能などは要求されません。

金属管配線における防爆性能の確保

耐圧防爆構造の電気機械器具の容器とシーリング間

耐圧防爆構造のものを必ず使用してください。

安全増防爆構造の電気機械器具の容器と電線管との間

安全増防爆構造のもの、または防じん及び防水性能をもった耐圧防爆構造のものを使用してください。

金属管配線用附属品の使用について

耐圧防爆性能などが要求されない部分に、耐圧防爆構造又は安全増防爆構造の電線管用附属品を使用することは禁止されていません。

金属管の接続方法

管相互、管とボックスその他の附属品、電線接続箱、電気機械器具との接続には、管用平行ねじを使用し、ねじの有効部分で5山以上ねじ合わせ、ロックナットで強く締め付ける方法、または同等以上の効力のある方法で堅ろうに接続する必要があります。

 

フレキシブルフィッチングの使用

電動機に接続する部分など、可とう性を必要とする短小な部分の配線には、危険場所の危険度に応じた耐圧防爆構造または安全増防爆構造のフレキシブルフィッチングを使用する必要があります。

(耐圧防爆構造は解釈第159条第4項第二号、安全増防爆構造は同第三号のフレキシブルフィッチングに適合するものを使用する必要があります。)

(フレキシブルフィッチングの使用例は3415-2図を参照してください。)

 

ケーブル配線における注意点

1. ケーブルの種類

ケーブルは、使用場所に適した種類のものを選ぶ必要があります。

外装がゴムまたはプラスチック製のもの

金属製外装を施したもの

ケーブルの種類に関する詳細は、関連する技術基準や規格(例:1335-4(低圧ケーブル))を参照してください。

2. ケーブルの保護

ケーブルは、原則として金属製またはコンクリート製の管などの防護装置に収めて施設する必要があります。

ただし、以下の場合は例外となります。

鋼管、鋼帯、黄銅帯をがい装に有するケーブル

MIケーブル

がい装を使用する場合は、関連する技術基準(例:解釈第120条第6項)に適合するものを選びましょう。

3. ケーブルの引込み

ケーブルを電気機械器具に引込む際は、以下のいずれかの方法で施設し、かつ引込み部分でケーブルが損傷しないように注意する必要があります。

防爆構造及び引込ケーブルに適合したパッキン式引込方式

固着式引込方式

スリーブ金具式引込方式

ケーブルの引込み例については、関連する図面(例:3415-3図)を参照してください。

電気機械器具の防爆構造

1. 防爆構造の種類と選定

電気機械器具は、設置場所の爆発性ガスの種類や危険度に応じて、適切な防爆構造を持つものを選ぶ必要があります。

主な防爆構造には、以下のものがあります。

  • 耐圧防爆構造
  • 内圧防爆構造
  • 油入防爆構造
  • 安全増防爆構造
  • 本質安全防爆構造
  • 樹脂充填防爆構造
  • 非点火防爆構造
  • 特殊防爆構造

これらの防爆構造は、それぞれ特性が異なるため、設置場所の条件に合わせて最適なものを選定することが重要です。

2. 危険場所と爆発性ガスへの対応

危険場所で使用する電気機械器具は、その場所に存在する可能性のある爆発性ガスに対して、十分な防爆性能を持つものを選定する必要があります。

2種類以上の爆発性ガスが存在する場合は、より危険度の高いガスに対応した防爆構造を選定する必要があります。

3. 爆発性ガスの分類と防爆構造の記号

爆発性ガスは、その危険度によって分類されており、防爆構造にもそれぞれ記号が付けられています。

これらの分類と記号については、資料3-4-2を参照し、適切な防爆構造を選定してください。

照明器具の設置

照明器具は、上記防爆構造の規定に準じるほか、以下の点に注意して設置する必要があります。

器具に表示されたワット数を超える光源を使用しない。

器具は、造営材に直接、または吊り下げ管などを使用して堅ろうに取り付ける。

電動機の設置

電動機は、過電流が発生した際に爆発性ガスに着火するおそれがないように設置する必要があります。

 

電線と電気機械器具の接続

電線と電気機械器具の接続部は、振動によって緩まないように、止めナットやばね座金などを使用して緩み止めを施し、電気的に完全に接続する必要があります。

流動防止・シーリングの方法

金属管配線の場合

金属管配線の場合、以下の箇所にシーリングフィッチングを設ける必要があります。

危険場所と非危険場所、異なる種別の危険場所との間の隔壁を貫通する電線管の隔壁のいずれかの側1点。

ただし、シーリングフィッチングを設けた箇所と隔壁との間の電線管には継目を設けないこと。

呼び径54mm以上の電線管で、電線接続部分を収納する端子箱又はボックス類から45cm以内で接近した箇所。

ただし、3415-2(配線)②cによるシーリングフィッチングが設けられた端子箱を除く。

電線管の管路長が15mを超える場合は、管路長15m以下ごとに設ける必要があります。

ケーブル配線の場合

ケーブル配線の場合、危険場所と非危険場所との境界付近で保護管をシールし、ダクト及びケーブルピットの内部に砂などを充填します。

接地工事

低圧の電気機械器具の外箱、鉄わく、照明器具、可搬形機械器具、キャビネット及び金属管とその附属品など露出した金属製部分には、1350-2(機械器具の金属製外箱などの接地)の規定にかかわらず、すべてC種接地工事を施す必要があります。

 

地絡保護装置の設置

電路に地絡を生じたときには、これを検出して警報し、かつ、電路を自動的に遮断する保護装置を設ける必要があります。

この場合において、1項の接地抵抗値は、100Ω以下とすることが推奨されます。

 


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