出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
使用電圧の制限
舞台、奈落、オーケストラボックス、映写室など、人や舞台道具が触れる可能性のある場所における低圧屋内配線、電球線、移動電線は、感電などの事故を防ぐため、使用電圧を300V以下に制限する必要があります。ただし、特定の条件を満たす場合には、300Vを超える電圧の使用も例外的に認められます。
原則:
舞台、奈落、オーケストラボックス、映写室など、人や舞台道具が触れる可能性のある場所では、低圧屋内配線、電球線、移動電線の使用電圧は300V以下とする必要があります。
例外:
舞台機構設備の屋内配線や移動電線を、舞台、奈落、オーケストラボックス、映写室以外の場所で、取扱者以外の人や舞台道具が触れる可能性がないように施設する場合は、使用電圧が300Vを超える低圧(対地電圧300V以下)とすることができます。
根拠:
この規定は、日本電気技術規格委員会規格JESC E6003 (2016)「興行場に施設する使用電圧が300Vを超える低圧の舞台機構設備の配線」に基づいています。
舞台機構設備:
幕、床などの昇降・移動を目的として劇場、ホールなどに固定設備として施設されるものを指します。
配線
低圧屋内配線
外傷を受けるおそれがないように、適切な防護施設を施す必要があります。
奈落の配線
金属管配線、合成樹脂管配線(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く)、ケーブル配線、またはキャブタイヤケーブル配線のいずれかにより、3435-1(配線)の規定に準じて施設する必要があります。
ただし、人が通行せず、電線が外傷を受けるおそれがない場所に限り、3435-1(配線)2項に規定するがいし引き配線に準じて施設できます。
電球線
奈落に用いる電球線には、防湿コード、ゴムキャブタイヤコード、またはビニルキャブタイヤケーブル及び耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブルを使用する必要があります。
アーク灯に接近して加熱のおそれのある電線は、耐熱性被覆のものを使用するのが望ましいです。
移動電線
3440-1(使用電圧の制限)に規定する場所に施設する移動電線(ボーダーライトの接続線を除く)は、以下の各号による必要があります。
- 使用電圧が300V以下の場合:一種キャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブルを使用
- 使用電圧が300Vを超え、対地電圧が300V以下の場合:一種キャブタイヤケーブル、ビニルキャブタイヤケーブル及び耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブルを使用
この規定は、日本電気技術規格委員会規格JESC E6003 (2016)「興行場に施設する使用電圧が300Vを超える低圧の舞台機構設備の配線」の「2.技術的規定」によります。
ボーダーライトの接続線
ボーダーライトに附属する移動電線は、3440-4(移動電線)の規定にかかわらず、一種キャブタイヤケーブル、ビニルキャブタイヤケーブル及び耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブルを使用し、かつ、当該ボーダーライトから発生する熱に十分耐えるものである必要があります。
電球、抵抗器などの施設
電球、抵抗器その他温度が著しく上昇するおそれがある器具類は、カーテン、引幕、木造の床や壁などの可燃性物質と容易に接触しないように、その間を十分隔離して施設するか、またはその間を耐火性物質で隔離する必要があります。
ボーダーライト、フットライトのような引幕などに接触しやすい電球には、金網を取り付けるか、その他適切な方法で接触を防止する必要があります。
フットライトは、じんあいの溜まりにくい構造とする必要があります。
フライダクトの施設
フライダクトを施設する場合は、以下の各号による必要があります。
フライダクトは、3440-8(フライダクトの規格)に規定する規格に適合するものである必要があります。
フライダクトとは、差込み接続器等を多数並列に取り付けた、舞台用の照明設備に電気を供給するためのダクトをいいます。
接地工事
舞台用コンセントボックス、フライダクト及びボーダーライトの金属製外箱には、D種接地工事を施す必要があります。
開閉器及び過電流遮断器
舞台、奈落、オーケストラボックス及び映写室で用いる電灯その他の負荷に電気を供給する電路には、専用の開閉器及び過電流遮断器(多線式電路の中性極を除く)を施設する必要があります。
ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができます。
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