この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

溶接機は、金属などの材料を溶かして接合する機械で、抵抗溶接機やアーク溶接機があります。断続的に大きな電流が流れるため、回路の選定と等価電流の考え方、そしてアーク溶接機特有のルールを押さえることが安全のカギです。本記事では内線規程に基づいて図解で整理します。

溶接機の分岐回路・幹線設備の選定と安全施設の3つのポイントを示した図解

結論

溶接機の回路は断続負荷電流による等価熱容量と同等以上の電線・開閉器過電流遮断器で施設します。連続等価電流は I = Io√a(1台)で求め、アーク溶接機は絶縁変圧器を用い一次側対地電圧300V以下とします。

この記事でわかること
分岐回路幹線の選定方法
✔ 断続電流と熱的に等価な連続電流の計算
✔ アーク溶接機の施設ルール
ペン太ペン太
溶接機の回路って、定格電流をそのまま使って選定すればいいんですよね?
ハリタハリタ
断続負荷なので違います。熱的に等価な連続電流と同等以上の容量で選定するのがポイントです。

分岐回路・幹線の選定方法

  • 抵抗溶接機・アーク溶接機に供給する分岐回路及び幹線は、溶接機の断続負荷電流による等価熱容量と同等以上の電流容量を有する電線・開閉器・過電流遮断器を使用します。
  • 断続負荷電流による電圧降下が他の負荷に障害を及ぼさないよう十分に注意します。
  • 自動溶接機で通電が連続的なものは、3705-5表に適合するものを使用します。
ペン太ペン太
等価な連続電流って、どうやって計算するんですか?
ハリタハリタ
1台ならI=Io√aです。aは通電時間÷(通電時間+休止時間)で求める使用率ですよ。

断続電流と熱的に等価な連続電流の計算

  • 溶接機1台の場合:I = Io√a
  • 溶接機N台の場合:I = Io√N(1-a) + N²a² ≒ NIo√a
  • ここで I:連続等価電流、Io:定格(断続)電流、a:溶接機使用率です。
  • 使用率 a は電線の温度上昇が飽和する時間(約3時間)について推定し、a = 通電時間 ÷(通電時間+休止時間)で計算します。

アーク溶接機の施設ルール

  • アーク溶接機には必ず絶縁変圧器を使用し、一次側電路の対地電圧は300V以下に保ちます。
  • 溶接変圧器の一次側電路には、変圧器の近くで誰でも容易に操作できる開閉器を設置します。
  • 二次側電線は原則として溶接用ケーブル又はキャブタイヤケーブル(特定の種類を除く)を使用します。接地側にはより丈夫な一種キャブタイヤケーブル等や、電気的に完全に接続された鉄骨なども使用できます。

溶接用ケーブルの太さの目安は次のとおりです(電気用品安全法又は解釈第190条第2項の規格に適合するものを使用します)。

定格二次電流(A)溶接用ケーブル又はその他のケーブル(mm2)
100以下14
150以下22
250以下38
400以下60
600以下100

※表は定格使用率が50%の場合を示しています。

たとえ話で理解しよう

溶接機は「短距離ダッシュを繰り返すスプリンター」のようなもの。一瞬の電流はとても大きいので、平均ではなく“熱的に等価な連続電流”で電線を選ぶ必要があります。これが使用率 a を使う理由です。

見習いペン太
見習いペン太
先生、なぜ溶接機は普通の負荷と違う計算をするんですか?
はりた
はりた
電流が断続的に流れるからだよ。通電と休止を繰り返すので、使用率 a を使って“熱的に等価な連続電流”に直して電線を選ぶんだ。
見習いペン太
見習いペン太
アーク溶接機で特に気をつける点は?
はりた
はりた
絶縁変圧器を必ず使って、一次側の対地電圧を300V以下に保つこと。近くに操作しやすい開閉器を付けるのも忘れずにね。

よくある質問(FAQ)

Q. 溶接機の分岐回路・幹線はどう選定しますか?
A. 抵抗溶接機・アーク溶接機に供給する分岐回路及び幹線は、溶接機の断続負荷電流による等価熱容量と同等以上の電流容量を持つ電線・開閉器・過電流遮断器を使用します。断続負荷電流による電圧降下が他の負荷に障害を及ぼさないよう十分注意します。
Q. 断続電流と熱的に等価な連続電流はどう計算しますか?
A. 溶接機1台の場合は I = Io√a で求めます。Io は定格(断続)電流、a は溶接機使用率です。使用率 a は a = 通電時間 ÷(通電時間+休止時間)で計算し、電線の温度上昇が飽和する時間(約3時間)について推定します。
Q. アーク溶接機の施設で守るべき点は何ですか?
A. 必ず絶縁変圧器を使用し、一次側電路の対地電圧を300V以下に保ちます。一次側電路には変圧器の近くで容易に操作できる開閉器を設け、二次側には原則として溶接用ケーブルまたはキャブタイヤケーブルを使用します。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
アーク溶接機ならではの注意点はありますか?
ハリタハリタ
絶縁変圧器を使い、一次側対地電圧を300V以下に。二次側は溶接用ケーブルなどを使いましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。