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内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【089】|電気防食施設

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

🛠️電気防食施設の施設基準と安全対策

金属構造物の腐食対策として、近年注目を集めているのが「電気防食」です。海洋構造物、タンク、埋設配管、橋梁など、重要インフラを長期間にわたって保護するこの技術には、厳格な施設基準と安全対策が定められています。

この記事では、電気防食施設の配線方法・電源装置・電圧制限・接地・保護措置まで、設計・施工で押さえておくべきポイントを解説します。


⚡電気防食とは?

電気防食とは、鋼などの金属が腐食する電気化学反応を制御することで、腐食を防ぐ技術です。

主な対象:

  • 海洋構造物(桟橋、鋼矢板など)

  • 埋設パイプライン

  • 地下タンク

  • 橋梁の支承部・床版補強部


🔌使用電圧と電源装置の基準

✅使用電圧

  • 電気防食用電源装置へ供給する電路の電圧は「低圧(300V以下)」であることが必要です。


✅電源装置の構成と要件

項目 内容
外箱 堅牢な金属製外箱に収めること
変圧器 絶縁変圧器を使用(AC1,000Vの絶縁耐力試験に1分間耐える)
構成要素 絶縁変圧器、整流器、開閉器、過電流遮断器を含むこと

⚠️電圧・電位差の制限(安全対策)

項目 制限値 説明
防食回路の最大使用電圧 直流60V以下 感電リスクを抑えるため
陽極付近(1m以内)の電位差 直流10V以下 人の接触による危険を防止(※防護装置設置で緩和可能)
地表・水中での1m間隔の電位差 5V以下 広範囲な感電リスクの抑制

📡二次側配線と陽極施設の基準

✅陽極の設置方法

  • 原則として地中に埋設(水中を除く)

  • 埋設深さ:75cm以上


✅使用電線の種類と条件

用途 条件
陽極リード線 直径1.6mm以上の銅線
その他電線 直径2mm以上の軟銅線 or IV線、ビニル外装ケーブルなど

✅地中・水中配線の施工

  • 地中配線:地中電線路基準に準拠

    • 車両荷重がない場所:30cm以上の埋設+保護板で保護可能

  • 水中配線:金属管または堅牢な合成樹脂管で保護(損傷の恐れがなければ省略可能)

  • 地表・浅埋設部:接触や破損を防ぐ保護措置を必ず実施


✅地中箱・架空配線の基準

  • 地中箱:専用の施設基準に準拠

  • 架空配線:

    • 電線は直径2mm以上の硬鋼線等

    • 他の架空電線と併設する場合、電気防食回路の電線は下側に30cm以上の離隔距離を確保


🧯開閉器・過電流遮断器の設置

  • 電源装置一次側には、各極に開閉器・過電流遮断器を設置(中性極除く)

  • 遮断器が開閉機能を有する場合は遮断器のみでも可


🧷接地工事の基準

対象 要件
電源装置の金属外箱 D種接地工事を施す
被防食体を接地極にする場合 接地抵抗が10Ω以下であれば使用可

⚠️電食障害への対策(他構造物への影響)

電気防食を行うことで、周囲の埋設金属構造物に電食障害(逆に腐食を促進する作用)を与える恐れがあります。

✅対応方法

  • 他の構造物と被防食体を電気的に接続

  • または、絶縁・遮断など適切な措置を講じて電食を防止


✅まとめ:電気防食施設の施設基準チェック

項目 基準
電源電圧 低圧(300V以下)
電源装置 金属外箱/絶縁変圧器使用
防食回路の最大電圧 DC 60V以下
陽極周辺の電位差 直流10V以下(制限緩和には防護表示が必要)
地表・水中の電位差 5V以下
配線材料 銅線2mm以上/IV線等
配線方式 地中・水中・架空配線の各基準に従う
接地 D種接地または接地抵抗10Ω以下の被防食体
電食対策 接続または分離による障害防止措置が必要
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