内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【089】|電気防食施設

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

記事のテーマ

電気防食施設の施設基準と安全対策について解説する。

電気防食施設とは?

電気防食とは、金属構造物の腐食を電気化学的に抑制する技術です。主に、海洋構造物、パイプライン、タンク、橋梁などの鋼構造物の腐食防止に用いられます。

使用電圧

電気防食用電源装置へ電気を供給する電路の使用電圧は、低圧とする必要があります。

 

電源装置

電気防食用電源装置は、以下の各号に適合する必要があります。

堅ろうな金属製の外箱に収める

電源装置は、堅ろうな金属製の外箱に収めたものである必要があります。

絶縁変圧器

変圧器は、絶縁変圧器であって、交流1,000Vの試験電圧を1の巻線と他の巻線、鉄心及び外箱との間に連続して1分間加えて絶縁性能を試験したとき、これに耐える性能を有するものである必要があります。

注釈

電源装置とは、絶縁変圧器、整流器、開閉器及び過電流遮断器を指します。

電気防食回路の電圧など

電気防食回路に使用する電圧及び各部に生じる電位差は、以下の各号に適合するように施設する必要があります。

最大使用電圧:直流60V以下

電気防食回路で使用される電圧は、感電のリスクを最小限に抑えるために、直流60V以下に制限されています。

陽極と1m以内の距離にある任意の点との電位差:直流10V以下

陽極(電気を供給する電極)周辺は、特に電位差が高くなるため、人が接触する可能性のある場所では、電位差を直流10V以下に制限する必要があります。

ただし、適切な防護装置と危険表示を設けることで、この制限を緩和できます。

地表または水中における1m間隔の電位差:5V以下

地表や水中での電位差も、感電のリスクを考慮して、1m間隔で5V以下に制限されています。これにより、広範囲にわたる感電のリスクを低減します。

 

二次側配線

電気防食用電源装置の二次側端子から陽極、被防食体及び大地を含む電気防食回路の配線は、以下の各号により施設する必要があります。

1. 陽極の施設

埋設原則:

人が容易に触れない水中を除き、陽極は地中に埋設する。

埋設深度:

陽極および周囲の導電物質は、75cm以上の深さに埋設する。

2. 地中・水中電線

電線種類:

直径2mm以上の軟銅線または同等以上のIV電線、ビニル外装ケーブル等を使用。

陽極リード線は直径1.6mm以上とする。

地中電線:

地中電線路の規定に準拠。

車両等の圧力がない場所では、30cm以上の埋設深度で、保護板による保護も可能。

被防食体の下面や防食構造物内では、上記規定によらない。

地表付近の保護:

地表上2.5m未満、地下60cm未満の部分は、接触や外傷防止のための保護を行う。

水中電線:

金属管や堅牢な合成樹脂管で保護。

損傷の恐れがない場所では保護を省略可能。

3. 地中箱と架空配線

地中箱:

地中箱は、地中箱の施設に関する規定に従う。

架空配線:

架空電線路の規定に準拠。

ケーブル以外は、直径2mm以上の硬鋼線または同等の電線を使用。

低圧架空電線との併設時は、電気防食回路の電線を下側に、30cm以上の離隔距離を確保。

弱電流電線、光ファイバーケーブルとの併設時も条件付きで30cm以上の離隔距離を確保。

開閉器及び過電流遮断器

電気防食用電源装置の一次側電路には、開閉器及び過電流遮断器を各極(過電流遮断器にあっては、多線式電路の中性極を除く)に施設する必要があります。

ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができます。

接地

電源装置の外箱の接地

電気防食用電源装置の外箱は、D種接地工事を施す必要があります。

被防食体を接地極に使用する場合

前項の接地工事には、10Ω以下の接地抵抗を有する被防食体を接地極に使用することができます。

隣接する埋設構造物に対する措置

電気防食施設を使用することにより、他の工作物に電食障害を及ぼすおそれがある場合は、これを防止するためその工作物と被防食体とを電気的に接続するか、又は他の適当な措置をする必要があります。

 


(キーワード)

電気防食施設、施設基準、電気工事、安全対策


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