技術図書館加熱装置の配線は50Aを境に分かれる50A以下と50A超の分岐回路、幹線の太さ、表を使った選定この資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
全体像:内線規程【117】配線設計(加熱装置)
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

電気オーブンやIHクッキングヒーターのような加熱装置は、消費電流が大きく連続使用も多いため、配線設計に専用のルールが定められています。ここでは内線規程3705節をもとに、分岐回路・幹線の設計基準と、便利な「3705-5表」の使い方を整理します。

加熱装置の配線設計の3つのポイントを示す図解
結論
加熱装置は定格電流の大きさで設計が分かれます。定格50A以下なら過電流遮断器は50A以下、50Aを超える単独装置は定格電流の1.3倍以下の遮断器を使い専用回路が原則。定格400A以下なら「3705-5表」で電線サイズと遮断器・開閉器容量が一発で決まります。
この記事でわかること
✔ 分岐回路の設置基準
✔ 幹線の設置基準
✔ 3705-5表でかんたん選定
ペン太ペン太
IHクッキングヒーターも普通のコンセント機器と同じ感覚で回路を組めますよね?
ハリタハリタ
加熱装置は電流が大きく連続運転なので、3705節に専用の設計ルールがあるんです。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 定格電流50Aを超える加熱装置の過電流遮断器は、定格の何倍以下にするか
  • 50Aを超える加熱装置の回路は、他の機器と共用してよいか
  • 3705-5表だけで選定できるのは、定格電流が何A以下のときか
この記事でわかること
選定を急ぐ方は、3705-5表の項からご覧ください。

分岐回路の設置基準

トピック1:分岐回路の設置基準
  • 定格電流が50A以下の加熱装置:過電流遮断器は50A以下、電線は定められた基準以上の太さを選定する。
  • 定格電流が50Aを超える単独の加熱装置:遮断器は装置の定格電流の1.3倍以下、電線の許容電流は装置の定格電流以上とする。
  • 50A超の装置は専用回路が原則。他の機器と共用しないで設計する。
ペン太ペン太
50Aを超える装置のときは、遮断器はどう選ぶんですか?
ハリタハリタ
定格電流の1.3倍以下で専用回路が原則。幹線は定格電流の合計以上のサイズにします。
装置の定格電流過電流遮断器電線回路
50A以下50A以下定められた基準以上の太さ—
50A超(単独)定格電流の1.3倍以下許容電流が定格電流以上専用回路が原則
ここまでのポイント
  • 定格電流50A以下の加熱装置は、過電流遮断器を50A以下とし、電線は定められた基準以上の太さを選ぶ
  • 定格電流50Aを超える単独の加熱装置は、遮断器を装置の定格電流の1.3倍以下とする
  • その場合、電線の許容電流は装置の定格電流以上とする
  • 50Aを超える装置は専用回路が原則で、他の機器と共用しない

幹線の設置基準

トピック2:幹線の設置基準
  • 電線の太さは、接続する加熱装置の定格電流の合計以上とする。
  • 需要率・力率が分かっていれば、それを考慮して電線を減少させることもできる。
  • 過電流遮断器は、幹線の許容電流以下のものを選ぶ。
ここまでのポイント
  • 幹線の電線の太さは、接続する加熱装置の定格電流の合計以上とする
  • 需要率・力率が分かっていれば、それを考慮して電線を減少させることもできる
  • 過電流遮断器は、幹線の許容電流以下のものを選ぶ

3705-5表でかんたん選定

トピック3:3705-5表でかんたん選定
  • 定格電流が400A以下の加熱装置なら、3705-5表を使うだけで、幹線・分岐の電線サイズや過電流遮断器・開閉器の容量が決まる。
  • 個別に計算する手間が省けるため、実務での選定がスピーディになる。
たとえ話でイメージ
加熱装置の配線は、いわば大食いのお客さん専用のテーブルを用意するようなもの。普通の機器と相席にすると容量が足りず危険なので、容量に余裕を持たせた専用席(専用回路)を準備しておく、というイメージです。
見習いペン太
見習いペン太
加熱装置の配線って、普通のコンセント機器と同じ感覚でいいの?
はりた
はりた
ダメなんだ。加熱装置は電流が大きいから、50Aを境に設計ルールが変わるし、大きいものは専用回路が基本だよ。
見習いペン太
見習いペン太
いちいち電線や遮断器を計算するのは大変そう…
はりた
はりた
そこで便利なのが3705-5表だよ。400A以下なら、表を見るだけで電線も遮断器も一発で決まるんだ。
配線設計(加熱装置)の図解。50A以下と50A超の分岐回路、幹線の設置基準、3705-5表
加熱装置の配線設計(内線規程3705節)を1枚に整理した図です。①分岐回路は定格電流50Aを境にルールが変わり、50A以下なら過電流遮断器は50A以下、電線は定められた基準以上の太さを選定します。定格50Aを超える単独の加熱装置は、過電流遮断器を装置の定格電流の1.3倍以下とし、電線の許容電流は装置の定格電流以上、かつ他機器と共用しない専用回路が原則です。②幹線は接続する加熱装置の定格電流の合計以上の太さとし、過電流遮断器は幹線の許容電流以下のものを選びます。需要率・力率が分かっている場合は、それを考慮して電線を減少させることもできます。③定格電流400A以下の加熱装置であれば、3705-5表から幹線・分岐の電線サイズ、過電流遮断器と開閉器の容量を個別計算なしで選定でき、実務での機器選定がスピーディになります。
取り違えやすいところ正しくは
加熱装置も普通のコンセント機器と同じ考え方でよい50Aを境に設計ルールが変わる
50Aを超えても他の機器と同じ回路でよい専用回路が原則。共用しないで設計する
遮断器は装置の定格電流ちょうどで選ぶ50A超の場合は定格電流の1.3倍以下
幹線は分岐の一番大きいものに合わせる接続する装置の定格電流の合計以上とする
幹線は必ず合計値どおりの太さが要る需要率・力率が分かれば減少させることもできる
ここまでのポイント
  • 定格電流400A以下の加熱装置なら、3705-5表だけで選定できる
  • 幹線・分岐の電線サイズ、過電流遮断器・開閉器の容量が決まる
  • 個別に計算する手間が省け、実務での選定が速くなる

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問
Q. 定格50A以下と50A超で何が違うのですか?
A. 50A以下は過電流遮断器を50A以下にし、電線は基準以上の太さを選びます。50Aを超える単独装置は、遮断器を装置定格電流の1.3倍以下とし、電線は装置定格電流以上、かつ専用回路が原則です。
Q. なぜ専用回路にする必要があるのですか?
A. 加熱装置は消費電流が大きく連続運転も多いため、他機器と共用すると幹線や遮断器の容量が不足し、過熱や遮断器の動作などの原因になります。安全のため単独の専用回路で設計します。
Q. 3705-5表は何に使えますか?
A. 定格電流400A以下の加熱装置であれば、幹線・分岐の電線サイズ、過電流遮断器や開閉器の容量を、個別計算なしに3705-5表から選定できます。

まとめ|50Aを境に考え方が変わる

加熱装置の配線設計は、装置の定格電流が50Aを超えるかどうかで、遮断器の決め方も回路の組み方も変わります。そして400A以下であれば、3705-5表を引くだけで一式が決まります。

確認する順番見るところ決まること
Step1装置の定格電流50A以下か、50A超か
Step2400A以下かどうか3705-5表で一括選定できるか
Step3分岐回路遮断器の容量と電線の太さ、専用回路の要否
Step4幹線定格電流の合計以上の太さ。需要率・力率で減少の余地
Step5幹線の遮断器幹線の許容電流以下か

加熱装置は連続して大きな電流が流れるため、余裕のない回路にすると発熱の問題が出ます。まず3705-5表に当てはまるかを確認し、外れる場合だけ個別計算に進む、という順番が効率的です。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
計算が大変そうです…早く選定するコツはありますか?
ハリタハリタ
定格400A以下なら3705-5表で電線サイズと遮断器を計算なしに選定できますよ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。