結論

電験三種は受験資格がなく、実務経験ゼロでも挑戦できます。ただ、テキストの数式や条文は「現場のどの機器・どの数値のことか」が見えると記憶に残りやすくなります。このページは、理論・電力・機械・法規の出題分野ごとに、HARITAの設計室の実務解説記事を対応付けた学習マップです。記事が厚い法規と電力から使うのが効率的で、理論の電磁気・電子回路と機械の一部はテキストと過去問を主軸にしてください。

  • 法規:接地・絶縁・電線路・施設管理の数値を、内線規程解説と受変電マニュアルで「現場の姿」として確認できる
  • 電力:高圧受変電設備の設計マニュアル全14回で、遮断器・変成器・継電器・変圧器の役割が1本の単線結線図につながる
  • 機械・理論:変圧器・電動機・照明は実務記事で補強し、電磁気・電子回路はテキストに時間を割く
この記事でわかること
✔ 電験三種の試験の基本(科目・方式・科目合格・直近の合格率)
✔ 出題分野ごとの実務記事マップ(法規11分野・電力9分野・機械7分野・理論4分野)
✔ 実務経験がない人の読み進め方と、独学と講座の分かれ目

電験三種 試験のきほん

第三種電気主任技術者試験(電験三種)は、電圧5万V未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)の保安監督ができる国家資格です。受変電設備を扱う設計者・施工者・ビル管理者にとって、第一種電気工事士の次に目標になる資格です。まず試験の枠組みを押さえます。

科目 理論・電力・機械・法規の4科目(各科目マークシート式、A問題・B問題)
実施回数 年2回(上期・下期)。CBT方式(所定期間内に予約した会場・日時でパソコン解答)と筆記方式(指定日に会場で解答)を申込時に選択
受験資格 なし(年齢・学歴・実務経験は問われない)
合格基準 科目ごとに60点が目安(年度・回により調整が公表される)
科目合格制度 一部の科目に合格すると、翌年度および翌々年度の試験までその科目が申請により免除される
直近の実績 令和7年度上期:受験者24,766人・合格者3,201人・合格率12.9%・科目合格者6,859人(電気技術者試験センター公表値)
受験手数料 インターネット申込 7,700円/書面申込 8,100円(非課税)
公式情報 一般財団法人 電気技術者試験センター(日程・CBT期間・合格基準は必ず公式で確認)

※日程・手数料・合格基準は年度で変わります。本ページは学習マップが目的のため、申込前に公式サイトの最新情報を確認してください。

このマップの使い方(3タイプ)

あなたはどのタイプ?
  1. 実務未経験で受験する人:テキストの前に、電気の流れを1本で追える新人講座 第8回「引込・受変電のきほん」第9回「幹線・分電盤・回路のきほん」を読み、受変電設備が何をしている装置かを先につかむ。その後、下の「読み進め方」の順で本マップを使う。
  2. 科目合格を狙う人(法規・電力を残している):該当科目のマップを上から順に読み、過去問で間違えた分野の記事だけを開く。条文の数値が「どの機器・どの配線のことか」を一度見ると、選択肢の消し方が変わる。
  3. 設計・施工の実務者が受験する人:法規・電力はすでに知っている内容が多いので、本マップは確認用に使い、理論の電磁気・電子回路と機械の計算問題にテキストの時間を配分する。


法規|出題分野 × 実務記事マップ

法規の出典は電気事業法・電気設備技術基準(電技)・電技解釈です。HARITAの内線規程解説は電技解釈の数値を配線設計の言葉に置き直したものなので、条文の「なぜその数値か」を現場側から確認する教材として使えます(内線規程そのものは出題対象ではありません)。

H-01電気事業法・電気工作物の区分・主任技術者制度
一般用と事業用(自家用)電気工作物の区分、主任技術者の選任・保安規程・使用前自主検査。数値より「誰が・何を・いつ」を問う制度問題。
H-02電気工事士法・電気工事業法・電気用品安全法
電気工事士でなければできない作業と「軽微な工事」、登録電気工事業者、PSEマーク(特定電気用品)。
H-03電技・解釈:対地電圧・電路の絶縁・絶縁抵抗
対地電圧150V/300Vの制限、絶縁抵抗0.1/0.2/0.4MΩ、漏えい電流1mA、絶縁耐力試験の電圧と時間。
H-04電技・解釈:接地工事(A〜D種)と接地抵抗
A〜D種の接地抵抗値、B種接地抵抗の計算(150/300/600÷1線地絡電流)、0.5秒以内遮断で500Ω、接地線の太さ、共用・省略の条件。
H-05電技・解釈:電線路(架空・地中)と引込
架空電線の高さ・離隔、地中電線路の埋設方式と深さ、引込線の施設、高圧ケーブルの施設方法。
H-06電技・解釈:低圧屋内配線の施設方法・特殊場所
金属管・合成樹脂管・ケーブル工事の施設条件、電線の接続、接触防護措置、粉じん・危険物のある場所の工事種別。
H-07電技・解釈:過電流・漏電の保護、幹線と分岐回路
過電流遮断器の動作特性(定格電流の1.25倍・2倍で何分)、漏電遮断器の設置義務と省略、幹線の許容電流(Iw≧1.25Im+Il)、分岐回路の3m・8mルール。
H-09電気施設管理:需要率・不等率・負荷率と変圧器容量
需要率=最大需要電力÷設備容量、不等率・負荷率の計算、変圧器容量の決め方。B問題の計算で毎回のように問われる。
H-11電気施設管理:変圧器の損失・効率・過負荷(トップランナー制度)
鉄損・銅損と最大効率の条件、全日効率、V結線の利用率、設備不平衡率、省エネ法のトップランナー基準。


電力|出題分野 × 実務記事マップ

電力は「発電→送電→変電→配電」の流れで出題されます。HARITAの記事は需要家側の受変電・配電が最も厚く、発電・送電はニュース性のある「次世代電力技術の実力」連載で、いま日本の系統で何が起きているかを背景知識として補えます。

P-01発電:水力・火力・原子力・再生可能エネルギー
水力の出力計算と揚水、火力の熱効率・熱サイクル、原子力の仕組み、風力・太陽光・蓄電池の特性。公式暗記に「いま何が動いているか」を足すと定着しやすい。
P-08配電:許容電流・ケーブルサイズ・高圧ケーブル
許容電流の周囲温度・多条布設補正、ケーブルの太さ選定、高圧ケーブルの短絡耐量と過電流継電器の整合。
P-09電気材料:導体・絶縁材料・記号
銅とアルミの特性、絶縁材料(架橋ポリエチレン・ビニル)、ケーブル記号の意味、難燃性・耐火性。


機械|出題分野 × 実務記事マップ

機械は範囲が広く、4科目の中で最も「テキスト主導」で進める科目です。ただし変圧器・誘導電動機・照明は需要家設備そのものなので、実物の話として読むと計算式の意味がつかめます。電子回路・電気化学・情報の細部は過去問で補ってください。

M-03電動機応用:負荷容量の換算・所要動力
kW→入力kVA・電流の換算、効率と力率、ポンプ・送風機・巻上機の所要動力の式。
M-04パワーエレクトロニクス・電力貯蔵(EV充電・蓄電池・PCS)
整流回路・インバータの基本、蓄電池の種類と特性、充放電と自立運転、EV充電の方式。
M-06電熱・電気加熱
抵抗加熱・誘導加熱・誘電加熱・赤外線加熱の原理と用途、ヒートポンプ、熱量と電力量の計算。
M-07自動制御・シーケンス・情報
シーケンス制御(自己保持・インターロック・タイマ)、フィードバック制御の基本、論理回路と2進数。電子回路・電気化学の細部はテキストで補う。


理論|出題分野 × 実務記事マップ

理論は全科目の土台ですが、電磁気・静電界・電子回路はサイトの実務記事が少ない分野です。回路と三相電力・計測だけ本マップで補い、残りはテキストと過去問に時間を割いてください。

R-01直流回路・交流回路のきほん
オームの法則、合成抵抗、キルヒホッフの法則、交流のフェーザ表示、インピーダンス。
R-02三相交流・電力・力率・無効電力
線間電圧と相電圧、Y-Δ変換、皮相・有効・無効電力、力率改善のコンデンサ容量。
R-04電磁気・静電界・電子回路
クーロンの法則、静電容量とコンデンサ、磁気回路と電磁力、半導体・トランジスタ・オペアンプ。この分野は実務記事が少ない。テキストと過去問で時間を確保。

実務経験がない人の読み進め方

テキストを開く前に「電気がどこから来て、どこで何に変わり、どう守られているか」を1本の線で持っておくと、4科目がバラバラの暗記になりません。次の順番をおすすめします。

おすすめの順番(合計で3〜4時間)
  1. 新人講座 第1回第2回第3回:電圧・電流・電力・力率の言葉をそろえる(理論の入口)
  2. 第8回 引込・受変電のきほん第9回 幹線・分電盤・回路のきほん:受変電から末端までの流れを1枚図で持つ(電力の入口)
  3. 第11回 需要率・不等率第12回 ケーブルサイズ第13回 電圧降下第14回 ブレーカー第15回 接地:法規B問題の計算が「何を決める計算か」を知る
  4. 高圧受変電設備の設計マニュアル①からまで:遮断器・変成器・継電器・変圧器・コンデンサの役割を単線結線図でつなぐ(電力・機械の骨格)
  5. ここからテキストと過去問へ。間違えた分野だけ、上のマップから該当記事を開いて「現場の姿」を確認する

💡 ここがポイント

条文や公式は「どの機器・どの配線の話か」が見えた瞬間に覚えやすくなる。本マップは暗記の代わりではなく、記憶の“取っ手”をつけるためのもの。

テキスト・過去問と、講座の分かれ目

定番テキストと過去問の選び方は電気設備の参考書おすすめ|電験三種・第一種/第二種電気工事士の定番テキストで整理しています。サイト内の内線規程クイズ高圧受電設備規程クイズ電気設備理論クイズは、法規・電力の数値感覚のウォーミングアップに使えます。

独学で足りるか、講座を使うか
  • 独学で進めやすい:法規・電力。本マップ+過去問10年分で、条文の数値と機器の役割は固まる。
  • 講座が時間の節約になる:理論の電磁気・電子回路、機械の計算で手が止まる人。2年計画で科目合格を回す人は、質問できる環境と学習計画の管理が合否を分ける。
  • 判断の目安:過去問の理論・機械で「解説を読んでも分からない問題」が3割を超えるなら、独学の時間コストのほうが高い。



電験三種をキャリアにどうつなぐか

電験三種は取得後に「主任技術者として選任される」「設計・保守の職域が広がる」ことで価値が出る資格です。取る順番や転職での評価は、電験三種と電気工事士どっちを取る?キャリア別の選び方資格で広がる電気設備のキャリア|第二種電気工事士から電験三種までの転職ルート電気設備の資格とキャリアパス|合格率で見る「難易度の階段」電気設備の資格は「投資」として割に合うのかで整理しています。新人講座の第24回(終章)次に取る資格と勉強ロードマップも併せてどうぞ。

よくある質問

電験三種は実務経験がなくても受験できますか?

受験資格はなく、年齢・学歴・実務経験は問われません。合格後に免状の交付を受けると、電気主任技術者として選任される要件を満たします。

科目合格はいつまで有効ですか?

一部の科目に合格すると、翌年度および翌々年度の試験まで、その科目が申請により免除されます。年2回実施なので、残り科目を複数回に分けて計画できます。

CBT方式と筆記方式はどう違いますか?

出題範囲と合格基準は同じです。CBT方式は所定期間内に予約した会場・日時でパソコンで解答し、筆記方式は指定日に会場で解答します。申込時にどちらかを選び、CBTは別途会場予約が必要です。

内線規程は電験三種に出題されますか?

法規の出典は電気事業法・電気設備技術基準・電技解釈で、内線規程そのものは出題対象ではありません。ただし内線規程の数値の多くは電技解釈に由来するため、条文の数値が現場でどう使われているかを確認する教材として役立ちます。

電気工事士と電験三種はどちらを先に取るべきですか?

現場作業が中心なら第二種電気工事士、受変電設備の保安監督や設計・保守の職域を広げたいなら電験三種が目標になります。本文の関連記事でキャリア別の選び方を整理しています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。